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天使な悪魔の絶対運命  作者: みきもり拾二
◆【第二章】天使な悪魔の護り人
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(ニ)発見:帰ってきたお宝


 次の日の放課後、いつものゲーセン仲間に囲まれていた────。


「悪い、また今度な」

「なんだよ、付き合い悪ぃな」

「来ればいいじゃん。そばで見てるだけでもよ」

「『資金の宛ができた』とかSNSで言ってた件はどうなってんだ?」

「いや、あれは、その……」


 残念ながら、俺の小遣いはゼロのままだ。


「(あの荷物、早く見つかってくれないかな……)」


 父さんから譲り受けた、ガラクタが詰め込まれたあのスポーツバッグ。一応、ゼノリスの滝宮隊長には、ミストに巻き込まれた際に置き去りにしたことを伝えてある。見つかれば、連絡をもらえるという話だ。


 父さんと姉さんにもその話はしたんだが……。


『見つかるまで小遣いはやらんぞ!』

『え〜、あたしの漱石さんいつ帰ってくるのよ? 諭吉さんを連れてきてくれるのよね?』


 という始末。父さんに、神妙に土下座して前借りを頼み込んでみたものの……。


『返す宛無き者に貸す金など一銭も無し! 痴れ者が!』


 と一喝されて終了。芝居がかってるくせに、そういうところは硬いんだよな。

 遊びの誘いを断るってのは本当につらい。でも横で見てるだけなんてのはもっとつらい。拷問にも等しい。


「ポータブルだったらいつでもやれるんだが?」

「新モンスターのレア確率アップ期間中だぞ? せこせことポータブルなんかやってられっかよ」

「社会人金満ギルドのヤツらに負けてらんねーし」

「Sランク日向様がいなくちゃ始まんねーんだよ」

「おいBランク『スポ専』は黙ってろ」

「『スポ専』じゃねーっつの! ちゃんとデュエルしてっだろ!」

「おま、昨日ひでかったじゃんよ〜。神風特攻隊かよ、ってツッコんだわ」

「バーカ、俺が本気出したらマジやべーっての、バーカ」


 ああ、いいな。楽しそうだ。

 いつもの日常って感じで、心穏やかな気分になる。


「そうだ、お前が日向にゲーム代おごってやれよ」

「おお、ナイスアイディア!」

「その手があったか!……って、ねーわ! 訴訟訴訟!」

「よし弁護!」

「なに!? しからば秘技! 逆転敗訴!」

「控訴!」

「弁護断念!」

「なんでだよ! 諦め早すぎんよ!」

「あ、よく考えたらそもそも第一審が逆転敗訴っておかしくね? 勝つ可能性が高かったみてーじゃん」

「いや俺が弁護しちゃったら白も黒になるからさ」

「お前のせいか! じゃあ弁護断念で良いわ!」


 先立つモノが無ければどうしようもない。コントを続ける3人を尻目にカバンを手に取ると、席を立った。


「悪ぃな、じゃ。3人でがんばってくれ」

「明日はどーだ?」


 呼びかけに肩をすくめて返すと、教室を出る。廊下を下駄箱に向かって歩き始めた時、向こうから担任の教師がやってきた。


「おお、日向。いいところに」

「はい?」

「校長先生がお呼びだ。至急、校長室に来てくれと」


 校長先生が……? 一体、どんな用件だろう……。



 ◆



「やあ、日向くん」


 校長室のドアをノックして、恐る恐る開けると、そこには校長先生と机を囲むゼノリスの滝宮隊長の姿があった。


「すっかり元気なようで安心したよ」

「ご心配おかけしました。……あ、家まで送って頂いたのに、お礼も言わず……」

「いやいや、構わないさ。あれも重要な任務の内だからね」


 暖かい言葉に恐縮して、思わずペコペコ頭を下げる。


「本日の昼に、これを発見してね」


 と言いつつ、校長先生の机の上を指し示す。そこには、あのスポーツバッグが乗せられていた。

 ひとまず中身をチェックしてみるが、間違い無い。さすがにこんなもの、誰も持ち去ったりしなかったというところだろう。

 結構早いタイミングで見つかってホッとする。今日にもゲーセン資金がなんとかなるかもと思うと、心踊らずにはいられない。同時に、電車賃が無いこととあの坂道のことを思い出して憂鬱にもなるが……。


「(絶対運命の枷で精霊魔術を使って、あの町までピューッと飛んじゃうか……?)」


 いやいや。昨日、つまらないことには使わないと誓ったばかりじゃないか。


「失礼だが、すでにゼノリス本部で中身を改めさせてもらったよ。危険物などあっては責任問題になるからね」

「あ、はい……」

「と言っても……ガラクタばかりのようだが?」

「そ、そうなんですよね……」


 改めて指摘されると、なんと答えて良いものやらわからない。


「父さんの知り合いが質店を経営してるとかで、そこへ持って行くようにと」

「ほう、質店?」

「はい。真舟(まふね)質店という店なんですが」

「真舟質店? ああ、あそこか。盾冬(たてふゆ)教授のいらっしゃるところだね」

「『たてふゆ』……あ、父さんが言ってた知り合いの人が、確かそんな名前です」

「ほう、そうなのかい? 盾冬教授は国際魔術評議院(マグマリア)の元顧問にして、精霊プリズムの開発者という素晴らしいお方だが……その御仁で合ってるかな?」


 滝宮隊長の言葉に、驚きを隠せない。父さんの知り合いが精霊プリズムの開発者だって?

 そんなこと一言も言ってなかったけど……。


「えっと……ちょっと待って下さい」


 確か、スマホの電話帳に住所を登録したはずだ。


「この人です」


 滝宮隊長にスマホを差し出して見せる。


「ああ、どうやら間違いないようだ。ここに住んでおられるよ」


 マジか……。父さんはいったいどういう繋がりでこんな凄い人と知り合いに……。


「ふむ、日向か……なるほど」


 戸惑う俺とは対照的に、滝宮隊長は納得顔だ。


「まあ詳しい事情はこの際置いておいて……どうかな? キミさえ良ければ真舟質店までお送りするよ?」

「ホントですか!?」


 これは渡りに舟だ! このガラクタさえ資金に変われば、帰りはなんとかなるだろうし!


「私も、盾冬教授がこのガラクタ……もとい、不思議な品々にどのような反応をするか見てみたいのでね。是非とも」


 イタズラっぽい表情でウインクをする滝宮隊長。乗り気なようだし、ここはご好意に甘えよう。




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