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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
四章

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86/124

86 のんびりな移動

(ん? これはスライムの気配?)

「スライムがいるのなの?」

「自然スライムの可能性もあるかしら?」


 長閑な道を馬車で揺られていると魔力探知でスライムの魔力を感じた。

 スライムは魔法生物な為か、魔力の吸収と消費を同時に行っている。

 そのため、魔力で見てみると、他の生物に比べて境界がぼやけて見えるのだ。


「どれくらいの距離でしょうか? 馬車で向うことは出来そうですか?」


 ビースナスが馬車を止めて尋ねてきたので、魔力探知を飛ばして感じた魔力の周辺を確認してみる。

 距離は離れていないが、道から外れているので森の中を進まなければならない。

 舗装もされてない山ではさすがに馬車で向うのは無理だろう。

 かといって、途中に渡れない幅の川でもあったら、無駄足にもなってしまう。

 

(えーと、特に問題はないかな。距離もそこまでじゃないし、歩いて行こう)

「山道だし、先頭は僕が歩くね」

「私は馬車を見張っています。危険を感じられたらすぐに引き返してください」

「わかったのー」

「私も外に出て後ろを警戒するわ」


 ノエルを先頭にしてイリナと俺、エステルの順番で歩き出す。

 俺は魔力探知で警戒しながら、スライムの魔力以外の姿を確認する。


(あれ? 人の姿をしている?)


 スライムの姿は人に見える。

 しかし、なぜか変な態勢で動いてはいない。


(なんでか不気味だな)


 少し茂った藪をノエルが鉈でかき分けながら進んでいくと、その場所に着いた。

 そこは、大雨の時には川にでもなっているのか、木が生えておらず砂利や大き目の石が並んだ一段低い空間だった。


(これがスライムって、あれ? ただの木だな?)


 確かに遠視で見た時は人の形だったはずだがこうしてみると二メートルくらいのただの木だ。


「根付きは終わっているようね」

「これが自然スライムなの?」

「わー、イリナちゃん離れて」


 イリナが木に触って確認していると、急に波たって木の姿が変化する。

 その姿は、手をかざし上を見上げるイリナの姿そのものだった。

 ただし、色は木の幹の色のままで、まるで木製の彫刻だ。


「イリナなの! マネマネなの!」

(凄いな。ちょっと鑑定してみようか)



 鑑定成功

 結果:自然スライム【リューゲ】

 魔力を感じ取って、姿を映しとることの出来る魔木のスライム。

 自然スライムになったことで、効果が上がっているが、変わるかどうかは気分次第なところがある。

 魔道具の材料にもなるので元の木も希少価値が高い。

 吸収しますか?

 YES/NO?



(魔木の自然スライムなのか。……っていうか、変化するのが気分次第って、気まぐれな奴なんだな。おっ? 俺の姿に変わった)

「きゃーーー! 素敵。なんて美のわかる自然スライムなのかしら」


 魔木に触れて鑑定をした事で、今度は俺の姿に変わった。

 少しだけ吸収させてもらって、離れるとしばらくしてから元の木に戻った。


(んー。その振る舞いには意思が働いているようにも見えるけど、実際に意識があるかどうかは、正直わからないなー)


 呑気に風に揺れている葉に感情があるようには感じられない。


「ティト! ティト! 場所を移したいなの! ここは危ないの」

「そうね。大雨で川になる場所のようだし、移動させましょう」

(オーケー。じゃあ、移す場所をまずは掘っちゃおうか。って言っても掘る道具が無いな。どうしようか)

「ビースナスさんに聞いてみようよ」

(だな。とりあえず、すぐに大雨は降りそうにないし、大丈夫かな?)


 木をその場に残して一旦馬車まで戻る。


「道具ですか? 流体金属の魔道具でシャベルを作るくらいならできますが」

「じゃあ、ボクが馬車を見てるから行ってきてよ。ボクには魔道具は使えないからさ」

(わかった。じゃあ、すぐに移動させて戻ってくるよ)


 ビースナスに土の魔法で木の根を傷つけないように掘り起こしてもらう。

 イリナも穴掘りしたいようなので、ティトマークⅡになって、穴を掘っていく。

 木を持ち上げた際にはビースナスになったり、俺になったり、揶揄う様に変化していた。

 どうやら、過去の姿もある程度は記憶しているようだ。


(これでよし! さて、馬車に戻って食事をしよう)


 魔力探知で鹿の魔物を発見したので、馬車に戻った時にノエルに伝えようと思っていると、馬車の止めてあるところに、さらに別の馬車が止まっていた。


「あっ、ビースナスさん。商人のおじさんと会ったんだけど、話変わってー」


 ノエルが逃げるようこちらに駆けてきた。

 すぐにビースナスが代わりとして商人のところに向かう。

 なにか交渉があってもビースナスなら大丈夫だろう。

 面倒くさそうなことはほとんど任せてしまって申し訳ないが、適材適所なのだと自分に言い訳をしつつ、ノエルには狩りの方をお願いした。


「本当? やったー。久しぶりの狩りだよー。すぐ狩ってくるから楽しみにしててね」

「お鍋のでばんなの!」


 ノエルが嬉しそうに飛び出していくのを見送り、イリナと一緒に焚火を作るために石を集めて火をおこす。

 そこにビースナスが戻ってきた。


「お待たせしました。商人のようで、一緒に近くの村に行かないかと誘われました。馬車が二台の方が野党に襲われる確率が下がるので、それが目的だと思いますが、いかがいたしますか?」

「寄り道は旅のだいごみなの!」

「わかりました。ではそう伝えます」


 ビースナスと入れ替わりでノエルが帰ってきた。

 しっかり鹿の魔物を仕留めている。

 昼飯の準備を進めていると、商人が挨拶に来たので一緒に食べることになった。

 商人の運んでいた商品は装飾品だったので、食事の招待を遠慮していたが、イリナが強引に誘っていた。


「みんな一緒がおいしいの」

「わかりました。町での噂話でもお話ししましょうか」

(おっ、商人の噂話は貴重だね)


 さて、なにか良い情報が聞けるだろうか。


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