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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
四章

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81 好奇心の結果

 「ガーガル辺境伯と懇意にしている方とはつゆ知らず、とんだご無礼をいたしました。どうか……どうかお許しください」


 クロース男爵が冷や汗を流しながら、俺たちに深々と頭を下げている。

 どうしてこうなったか、経緯を思い出すと、こんな感じだ……。


――衛兵の詰め所に連れてこられた俺たちは、まず一人ずつ取り調べを受ける事になった。

 荷物を調べられ、全員が別々の部屋に軟禁された。

 俺はテイムされているとはいえ、魔物なので牢屋だったが、魔力探知で壁を無視して様子を見ることが出来た。

 すぐにイリナ達の様子を確認すると、軟禁といっても部屋も綺麗で、理不尽な目にあっているようではなかった。


 その中で、一番大人で話が出来そうなビースナスが、最初に取り調べを受ける事になった。

 そして、ビースナスは部屋に入るなりギルドカードを見せてこう宣言した。


「私のギルドカードの推薦人はナーシュ公爵です。公爵によって私の立場は保証されています。もし取り調べしたいのであれば、ミラン領領主様の許可の元、公爵に申請する必要があります」


 いきなりの発言に目を白黒させる衛兵が、隊長らしき人物を呼んだ。

 そして、その人物が部屋に入ってくるのを確認したビースナスは、さらに書類を出して隊長に渡す。


「こちらはガーガル辺境伯によって領内での我々の自由を保障する書状です。したがって、この連行は不当であり、メルビを治めるクロース男爵に強く抗議いたします」


 すぐに動揺が広がり、隊長が書類に目を通すと、顔を青くした。


「――すぐに確認いたします。どうかお待ちください。おい! 部屋にお連れするのだ。くれぐれも失礼のないようにだぞ」


 隊長らしき人物が、部下に指示を出すと血相を変えて走って出て行った。

 上等な部屋に通された俺たちがしばらく待っていると、ドタドタと慌てて走る音が響き、部屋にクロース男爵が滑り込んできた。

 その勢いはもはやスライディング土下座だった。


「これだけの事をされたのです。我々は詳しい経緯の説明を要求します」

(なるほど、それが狙いだったのか)


 書類を見せるだけなら宿でも出来たはずだ。

 なぜわざわざ連行までされたのかと思ったが、事情を話さない訳にはいかなくする為だったようだ。


「ぐっ、それは言えません」

「このままでは、正式な聴取が行われ、事態が広く知れ渡る事にもなりますよ? 今ならいち冒険者としての協力するに留めることができますが?」

「……この事を、他言しないようにお約束いただきたい」


 ビースナスの視線に根負けしたように、男爵が首を垂れると外の衛兵も外に出す。

 イリナとノエルが出されたが、俺はビースナスの計らいで残された。


「ご存じの通り、ワインの製法は秘匿とされています。その地域で醸造所を任されているものが製法を厳重に守っているのです。そして、今日の未明の事なのですが、メンゲ醸造所に保管されていた酵母が無くなっている事に、見回りの物が気が付いたのです。すぐに醸造所にいる者全てに対する調査が行われました。しかし、遅々として進まず……」

「昨日の夕方にメンゲ醸造所に入ろうとして止められた私達が怪しいと動いたわけですか」

「もし、酵母が持ち出されれば大事なのです。どうか、衛兵の暴走は、どうかご理解願いたい」

(衛兵の暴走って……しれっと部下の勝手な行動にしたなー)


 酵母を盗まれたと言う不祥事を聞いてしまった。

 協力以外の選択肢が無さそうで、面倒くさいことになったとビースナスを見る。


「……大丈夫です。私は操作は得意ですから……」


 ビースナスはそういうが、俺の魔力探知はビースナスの「失敗した」と言う感情を見抜いていた。


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