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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
四章

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79/119

79 商人ルヒェン

「わっはっはっはっ」

「わっはっはーなのー」


 イリナとドワーフのおじさんが焚火の前で、乾杯するようにお肉をぶつけ合う。


 ジーズの町を出て街道を進んでいた俺たちは、車輪が轍に嵌まって動けなくなっている馬車に遭遇した。

 その場で救援を申し込まれた俺たちは、協力して馬車を轍から出すと、商人の馬車だったらしく、お礼に商品の中の一つをお礼にやると言われた。

 迷わず肉を選んだイリナだが、量がそれなりにあったので、おじさんも呼んで肉を食べることになったのだ。


「いやー、久々に気持ちのいい嬢ちゃんにあった。今日は気分がええのう」

「このお肉は最高なの」

「そうじゃろう! 高かったんじゃ! まあ、轍に三日も嵌まってたんで悪くなる前に食ってもらって満足じゃ」

「本当にいいお肉だねー。凄く肉に油が乗ってる」

「そうじゃろうそうじゃろう。かぁー、いかん! こんないい肉に酒を飲まんなんぞ失礼じゃ!」


 ドワーフのおじさん、ルヒェンが自分の馬車に戻ると樽を持って帰ってきた。


「この肉には赤が合うんじゃ」

(おいおい、商品じゃないのか。豪快な人だな)


 ルヒェンの馬車の大半は酒樽だった。

 種類も豊富で量も多い。

 商売相手は同じドワーフだと言われれば、そのラインナップに納得してしまう。


「おい。姉ちゃんも飲むか?」

「私は、護衛もありますので遠慮しておきます」

「かぁー。仕方ねぇか、こんなちびっ子ばっかだからな。しかし、一人で飲むのは寂しいねぇー。スライム、お前さんは飲むか?」

(せっかくだし飲もうかな? ワインの中身も気になるし)


 ビースナスは護衛を理由に断った。

 ノエルが飲めるかわからないが、肉に夢中で酒を飲む気はないらしい。

 俺は大きな丸を作って、飲む意思を伝えた。


「お? いいねぇー。ほれ」

(デカいな。どれだけ飲むんだよ。商品なんだよな?)


 俺の前にドスンと置かれた木製のカップは、イリナの胴の太さくらいある。

 カップと言うより、もはや小型の樽だ。

 そこに並々とワインが注がれる。


「ダーリン、私も飲んでいいかしら?」

「エステルも? なんだか珍しいな」

「ちょっとね。私の勘が、このワインはなかなかの物だと言っているのよ」


 実際に飲んでみるとエステルの言う通りに凄まじく美味かった。

 その美味さは【甘露】の称号を持つ身としては、少し対抗意識が出てしまうほどだった。

 次に鑑定吸収のスキルを使う。



 鑑定成功

 結果:ヤーマの実

 ワインに用いられる実で、普通に食べると渋い。

 吸収しますか?

 YES/NO?


 鑑定成功

 結果:酵母(?)

 アルコール分によって休止状態。

 量が少なすぎるため吸収不可。



(おっ? 今回は酵母が鑑定出来たな……って言ってもほとんど出来てないようなものだけど。しかし、主原料は前の毒入りワインと同じか……)


 なんだかトゥッティーンの所為でワインのイメージが悪くなるが、あの時のワインはここまで美味しくなかったんじゃないだろうか。


(この酵母が凄いのか? 気になるから購入した地域を明日にでも聞いておこうか)


 ルヒェンに目を向けると、ジョッキを振り回しながら浴びるように飲んでいる。

 まだまだ終わりそうもないので、俺はイリナの元に戻ると、肉もなくなっているようで、イリナが眠そうにし始めた。

 ビースナスの馬車に行ってスライムベットになると、イリナとノエルが追いかけるように入ってきて眠りについた。


「かぁー。やっちまったー」

(二日酔いにでもなったのか?)


 翌日、ルヒェンが頭を抱えていた。

 しかし、それは俺の予想とは違うりるうだった。


「調子に乗って、メルビのワインを全部飲んじまった! さすがに買いに戻りゃにゃならんわい」


 俺たちが寝た後もワインを飲み続けたルヒェンは、注文されていた分まで飲んでしまったようだ。


「私たちもそのワインの産地には興味があります。良かったら同行してもいいですか?」

「あっ? ああ、かまわんよ。旅は道連れじゃ。ただ、もう酒は振舞えんぞ」

「あはは、大丈夫だよルヒェンさん」

「かわりに今夜も肉パーティーじゃ」

「お肉パーティーなのー」

(大丈夫か? この人は)


 こうして計画性のなさそうなルヒェンとの短い間の旅が始まった。

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