表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
78/121

78 自然スライムが残した意志

 鑑定成功

 結果:自然スライム【ゼント・変異種】

 枯れかけていた自然スライム【ゼント】を養分として吸収し進化した個体。

 すでにその行為は吸収元の個体の時点で繰り返されており、魔力が淀んでいる。

 枯れかけの状態で進化が引き継がれており、寿命が短い。


 自然スライム【ゼント・変異種】を吸収しますか?

 YES/NO?



(吸収元の個体の時点で繰り返されており……か)


 おそらく、魔力の少ない坑道内で『枯れかけては吸収され、別の個体が自然スライム【ゼント】として生きる』を繰り返してきたのだろう。

 コピーをコピーする……そんな行為を続けてきた結果が【変異種】に表れているんだと思う。

 魔力探知でも、すでに何かが壊れてしまっている事が伝わってくる。


(これを吸収して良いものなのだろうか……)

「ティト?」


 イリナが心配そうに俺を見てくる。

 予感では、この自然スライムはまもなく枯れて死ぬ。

 代わりを引き継げるようなスライムは、周囲を探知した限りではもういない。

 この種は、現時点では詰んでいるのだ。


 ……俺だけが引き継げる。

 だけど、【変異種】を吸収することによる影響がどんなものなのかが解らないのが……正直、怖い。


『ダーリンなら大丈夫よ。気持ちは決まっているんでしょ? 不安なら小娘達にも打ち明けてあげなさいよ』

(そうだな……ありがとうエステル)


 疑似枝の中からエステルがそう言ってくれた。

 俺はみんなに、この自然スライムが直に枯れる事、【変異種】を吸収するリスクと不安がある事、それでも受け継ぎたい事を素直に話した。


「問題ないの! ティトは無敵なの!」

「残してやりたいんだね。すごくティトらしいと思うよ」

「私から何かを申し上げることは出来ませんが、ティト様なら大丈夫と思います」

「ワシからも頼む。ゼントを残してくれ」

「……俺からも頼むよ」

(イリナ達は俺を買いかぶり過ぎだよ)


 信頼の厚さに苦笑いが出る。

 だが、おかげで迷いも不安も無くなった。


(よし、いくぞ。吸収だ!)


 鑑定吸収のスキルを発動させると、感情のようなものが流れ込んでくる。

 それは凄く根源的なもので「生きたい」と言う意志だった。

 吸収進化を何世代にも渡って蓄積された願い。


(そうか。こういう風に変異したかったんだな)


 まさに最後のピースが俺だったのだろう。

 変異の方向性が急速に定まっていくのを感じる。

 俺はみんなに吸収の成功を告げて外に出る事にする。 


(イリナ、ファルステンを使って)

「わかったなの! イメージはティトに任せるのなの!」


 イメージが流れてくる。

 根は浅く、薄く広がるだけでいい。

 このゼントが根付ければそれだけで十分だ。


「ファルステンなの!」


 細かい根が地面に広がる。

 魔力は多めに込めてある。

 ゼントの花の世代交代まで持てば十分だ。


(よし! 生産、スライム花【ゼント】)


 イリナが出したファルステンの上にゼントが咲き乱れていく。

 そこに、さっそくビャック蜂が蜜を吸うために飛んできた。



 鑑定成功

 結果:ゼントの花【ティトオリジナル】

 自然スライムの何世代にも渡る願いの結晶。

 魔力の少ない土地でも咲き誇り、種を存続させる強い花。

 花の蜜は甘く、その姿は人に生きる希望を与える。



 俺の出したゼントの花は、元の大きさよりも一回りも小さい。

 しかし、その花の美しさは生きる力に溢れていた。


「ゼントの花じゃ。これで町は甦る。……こうしちゃおれん! 急いでばあさん等を呼んでこなけりゃ!」

「あっ、待ってよ。じいちゃん!」


 花を見て感動した後に、我に返った顔でカクヤがギルドに走っていく。

 メーゲンも一緒だ。

 走っていく二人の笑顔にも、力が漲っているように見えた。


(よし! 完璧だな)

「お疲れ様。ティトー」

「お腹すいたのー」

「なんじゃこれは! ゼントが……ゼントが蘇っておる」

「なんという奇跡……聖女様じゃ。聖女様がゼントを蘇らせてくれたのじゃ」

(あっ、これは……カクヤさん! ああ、いないんだ!)


 声に振り返ると、花畑の中に立つイリナを前に、膝をついて涙を流すおじいさん達。

 良く考えれば、カクヤもきっと似たような感情なのかもしれない。


(……よし。逃げるかー)

「逃げるが勝ちなのー」

「あはは、また聖女の伝説が出来ちゃったねー」

「ふふふ、宿の料金は済ませていますし、このまま出発してしまいましょう」


 おじいさん達が状況に飲まれている隙に、俺たちは馬車に飛び乗った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ