7 増えた選択肢と増えない結末
(えぇーい止め止め! とにかく進化は後回しだ。スキルポイントが増えてたし、自分の強化と今の状況の打破だけ考えよう)
気持ちを切り替えるためにステータスを開いて、レベルアップで増えたスキルポイントを振ってしまおうとすると、すると少し前に見た時とは明らかに変化している部分があった。
種族: 森スライム【甘露】
レベル 24
体内魔力量 870
スキル
生産 F
スライム蜜生成 F
吸収 F
消化 H
貯蔵 E
粘力 F
魔力探知 E
スキルポイント 1
ユニークスキル
現状把握 A
New 限定スキル
自然物鑑定吸収 A
(自然物鑑定吸収? 新しい⋯⋯限定スキル? しかもランクがすでにAある)
すぐさま詳細を見る。
自然物鑑定吸収:
自然スライムへの進化をキャンセルした時のみに、一時的に解放される限定スキル。
進化先の自然スライムの種類を任意で選ぶ為に、主に植物系統の鑑定と消化吸収を可能にするスキル。
このスキルがある間は吸収可能な自然物の、毒などのデメリットは受けない。
このスキルで進化した場合は必ず自然スライムへと進化する。
(おっ? 鑑定スキルだよねコレ? 任意ってことは使用したらいきなり進化するわけじゃないよね。早速使ってみよう)
まずは、近くの草を見ながら鑑定と念じてみるが反応はない。
(あれ? 鑑定できないじゃん。もしかして直接触れないと駄目なパターン? スキルの名前も吸収とセットになってるみたいだし)
鑑定対象に接触している事が条件かもしれないと思い、今度は草に触れながら鑑定を試みる。
鑑定成功
結果:デモアル草
世界中に分布している一般的な草。
生命力が強くどこにでも生えるが、食用には適さず家畜も好まないので利用価値は薄い。
デモアル草を吸収して自然スライム【美味しい雑草】に進化しますか?
YES\NO
(いやいやいや。美味しい雑草ってなんだよ! 美味しくなったら家畜にも好まれちゃうじゃん!)
わざわざ雑草に進化してすら、食べられる未来を回避できない事にツッコミを入れる。
しかも、【】の中の文言も若干適当になってる気もした。
このままだと毒キノコを吸収して進化したとしても、美味しい毒キノコとかになりかねない。
(このスキルは便利だけど、進化までの限定スキルなんだとしたら、今は鑑定だけに使った方がいいな)
このスキルの進化後は自然スライムになってしまう。
どれくらいの期間で最終段階に進むかはわからないが、根を張って草木の様になってしまう進化は、焦ってなるものではないだろう。
余裕があるわけではないが、慎重に決めたい。
次に石を鑑定しようと触って見るが、植物系統とステータスに書いてあった通りに『鑑定失敗』と表示されるだけで、情報も得られず吸収も出来そうになかった。
(さっきの自然スライムは鑑定出来るのかな? あっ、出来るみたいだな)
鑑定成功
結果:大自然スライム【倒木激旨キノコ】
この地に定着し、長い時間をかけた末に倒木になった自然スライム【カリ宿の木】と、同じく長い時間をかけてこの地に定着した自然スライム【ウマトメ茸】の胞子が合体して進化した大自然スライム。
合体により倒木とキノコの部分の両方で一つのスライムになっている。
進化によって高い再生能力を手に入れた種で、食べた後でもお腹の中で少し再生する。
限定スキルを使わずに食べて、美味しさのあまり食べすぎると、内側から弾けてあなたは死ぬ。
大自然スライム【倒木激旨キノコ】を吸収して自然スライム【極上旨蜜キノコ】に進化しますか?
YES\NO
(食べすぎても死んじゃうの?! って、いまさらか⋯⋯進化はしませんよっと。しかし、倒木の部分もスライムなんだ。これなら美味しくなっても食い尽くされる心配はないな)
まさに、美味しく進化した上に食べ尽くされない模範解答のような進化だ。
いや、そもそも俺は美味しくなりたいわけじゃなかった。
(それに、この限定スキルじゃ倒木とキノコの両方を同時に取り込んでの進化は出来ないっぽいよね。キノコしか進化先がないみたいだし。とにかく候補を増やそう。鑑定! 鑑定!)
その後、毒キノコにスキルを使ったが予想があたってしまい、進化先はやみつき毒キノコや魅惑の痺れキノコだった。
その場で生えている草木も片っ端らから鑑定していくが、特に有用な進化先は無かった。
純粋な木に進化したとしても『小さな芽の状態で食べ尽くされて、あなたは死ぬ』だった。
気持ちを切り替えようと、食べられたくない以外に自分が進みたい進化を考えてみる。
(そもそも植物に強い弱いなんてあるのかな? 食べられなくなっても、嫌われるだけの進化って言うのも良く考えたら嫌だし。芽の状態で食べ尽くされないなら、開き直って美味しさを極めた果実の木にでも進化して、森の動物達を喜ばせてやるのにな⋯⋯あー、駄目だ。一旦落ち着こう)
食べられる以外の選択肢がない状況に、若干心が折れてきた。
面倒になって適当な進化を選んでしてしまいそうだったので、考えるのを一度やめる。
今は限定スキルのおかげで毒が無効になっている。
この状況を利用して、当初の目的通りに毒キノコ盾に生き残る方針に戻る事にした。
(さてと、次のキノコの群生地に移動しますか⋯⋯うわっ、なんか凄い魔力の反応があるぞ!)
大自然スライムの一部を吸収してレベルが上がったことで、更に広くなった魔力探知が他とは比べ物にならない大きさの魔力をとらえた。
(ドラゴンとかじゃないよな?)
いざとなったら大自然スライムを囮にしてやり過ごそう。
そんなゲスい考えをしながら俺は大自然スライムの元に向かった。
読んでいただきありがとうございます。
まさかそれがこんなに嬉しいとは思いませんでした。
よかったら、ついでに評価もしていってください。
泣いて喜びます。
補足
菌類のキノコは正確には植物では有りませんが、作中では森の魔力由来の魔法生物として、鑑定可能ということになっています。




