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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
四章

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69/120

69 もはや逃れられない展開

「やったのか! 向こうに落ちたぞ!」

(あっ、冒険者たちが来る。 イリナのところに戻らなきゃ)


 イリナはまだ認識の魔道具をつけている。

 俺は液体金属の魔道具を回収してイリナのもとに戻る。

 跨っているレオントラは正体がわからなくなっているが、攻撃されないだろうか?

 できれば襲撃者だという誤解も解いておきたい。


 藪をかき分けて冒険者の一人が来てイリナを見ると何故か跪く。


「これは! もしや聖獣の御使い様であらせられますか? この度は、我らへのご助力ありがとうございます」


 追いついてきた他の冒険者や村の若者もその声に反応して一斉に跪いた。

 俺はとっさにイリナの顔を確認するが、梅干を食べたような顔をしていた。

 どうしたらいいのか、わからないのだろう。

 イリナのしゃべり方は特徴があるので、喋ってしまってはバレるリスクがある。

 ここはやはりエステルに任せるしかない。


(お願いエステル)

『まったく、仕方ないわね』


 エステルが疑似枝から上半身だけを出す。

 その姿が認識阻害でどう変換されたのか分からないが、こちらを見ていた面々が眩しそうに眼を細めた。


「おおお。光が!」 

「なんと神々しい」

「……聞きなさい人の子よ」

(エステル、今回もそれでいくの!)

『だって、面倒くさいじゃない? こんな騒ぎ、全部神秘の力で済まればいいのよ。検索されても鬱陶しいでしょ? 触れがたい存在を演じる方が楽よ絶対!』

(そうなのかなー。そうなのかもー?)


 俺も良く分からなくなってきた。

 エステル任せにしちゃってるし、この場をやり過ごせば何とかなるだろう。

 ……たぶん。


「……感謝ならダー……要りません。女神からの信託を受けて行動した結果です。邪悪なるものは打倒されました」

「なんて禍々しい! ただのバーバリヴルじゃなかったのか」

(それは俺が原因ですっ!)


 紫に変色したバーバリヴルを見て、冒険者が驚愕している。


「ティト! ティト! 毒抜くの! お肉なの!」


 イリナはバーバリヴルの肉を食べたいらしく、俺に毒抜きを小声で要求してきた。

 もともと俺が出した毒なので、鑑定吸収を使えば綺麗に毒が抜ける。

 了解すると、イリナが俺をバーバリヴルに押し当てる。


「おおお、悪しき気配が浄化されていく!」

「なんて神聖な! 女神さまの使徒様万歳!」

「万歳! 万歳!」

「万歳なの! お肉なの!」

「えっ! 今の声は」


 思わずイリナが歓喜の声をあげてしまい、突然の別の声に冒険者たちが困惑する。


「……女神の信託を授かりました。すべての命に感謝を万歳! ……この魔物も命あったもの、奪ったからには生きていく糧としなければなりません」

「バーバリヴルを私たちにお与えになるのですね。……わかりました。我々が責任を取って全てをいただきたいと思います」


 冒険者達が覚悟を決めたように顔をあげる。

 あとはレオントラの誤解を解くだけだ。


「……それから、私の聖獣をレオントラに化けさせて行動させていました。あなたたちの見たレオントラは悪くないから、ちょっかい出すんじゃないわよ」

(エステル口調が戻ってるー)

『もう良いじゃない。終わり終わりー』


 レオントラも空気を読んで、その場から離れ始める。

 幸いバーバリヴルの解体に入ったようで、追ってくる人はいないようだ。

 そのまま一気にシリカさんの小屋まで移動する。

 そして、イリナが魔道具を解除して、レオントラから降りた。


「疲れたの! でも、お肉たのしみなの!」

「あんたは何にもしてないでしょ」

「おつかれさまイリナちゃん」


 俺たちの気配に気が付いて小屋からシリカさんが出てくる。

 そして、レオントラを見て、近づいて頬を触る。

 レオントラも嫌がっている様子はない。


「……そう、行くんだね。アタシなら心配いらないさ。だてに長年狩人をしてないよ」


 レオントラは喉を軽く鳴らすようにすると、シリカさんから離れて森の中に消えていった。


「ありがとうね。これで森の魔獣も数は戻るだろう。レオントラ用の肉も出すから、依頼はおしまいだよ」


 シリカさんは満足そうに森を見ていた。

 軽く今後の事を話したが、もう問題なさそうなのでシリカさんと別れて宿に戻って依頼達成だ。

 

「お肉なの! 食べ放題なのー」

「食べ放題にはならないと思いますが……」


 スキップして帰ったイリナだが、結論から言って、バーバリヴルの肉は臭くてまずかった。 


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