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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
三章

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46 水路掃除二日目

 次の日、また同じ時間に噴水前に集まり職員のお姉さんから地図をもらう。

 地図を広げてみると水路のある場所が大きな丸で囲まれているだけだった。


「今日の水路の掃除に関しては、丸の範囲の中にある水道橋です。範囲内のどの橋を掃除しても構いませが、高所での作業になりますので注意をしてください。それから、今回回収したカスは量によって追加の報酬が支払われます」

「「おおっ!」」

「各自に道具とバケツを渡します。それに溜めた後、水路の脇に設置されている手押し車に移し替えて、最後に運び出してください」


 追加報酬の発言を聞いて、周囲に集まった冒険者たちが色めき立つ。


「それと、今回作業するに当たって、皆さんにはこちらで指定した冒険者同士でパーティーを組んでいただきます。報酬はパーティー内で平等に分けられ、回収したゴミの多い上位の三パーティーには、さらに特別な報酬が与えられます」

「「おおおー」」


 特別賞的な報酬の提示で、さらに冒険者達はヒートアップする。


(ええっ、報酬は別として、見ず知らずの人とパーティーを組むのか)

「ボク、イリナちゃんと別々になったらどうしよう」


 他の人とのパーティーと聞いて、ノエルが不安そうにする。

 そして、次々に人が呼ばれてはパーティーが出来あがっていった。

 そして、ついにイリナとノエルが呼ばれ、さらに二人の少年が呼ばれた。

 この四人でパーティーを組むようだ。


「良かったー。イリナちゃん一緒のパーティーだね!」

「いっしょなの!」

「よっ、よろしく」

「けっ、なんだよ。チビの使えなさそうな奴ばっかじゃねえか」

「イリナなの! よろしくなの!」


 いきなり年上っぽい少年が悪態をついてきたが、イリナは一切気にせずに自己紹介を始める。

 さすがに、面食らったのかその後も食って掛かってくる事はなく、スムーズに自己紹介がされていく。

 メンバーは、悪態をついた14才くらいの少年がスグン。

 気弱そうで10才くらいの少年がベルだ。


「パーティーを組み終わったようでしたら、話し合って掃除する場所をパーティーで決めてください。私が三回鐘を鳴らしたら一斉にスタートです」


 職員のお姉さんの声で、それぞれが相談を始める。

 上位陣に報酬が出ると言うことで、みんな真剣だ。


「おいお前ら、俺が一番いい場所を選んでやるよ。ここだ! ここが絶対ゴミが多い場所だ! よし決定!」

「ちゃ、ちゃんと話し合おうよー」

「なんだよ! 俺がここだと言ったらここなんだよ!」


 スグンが勝手に場所を決めた事にベルが文句を言うが、年上の言うことが聞けないのかと怒鳴る。


「ここがいいの!」

「うんうん、ボクもそこが良いと思う」

「なっ! おれの提案が飲めないって言うのか?」

「ここならどこにでもいけるの! それにイリナの方が年上なの!」

「本当だ。今回はあとから場所を変えることが出来るし、状況によって他の

場所にも行けるこっちの方が絶対いいよ」


 スグンの示していた場所は、一見良さそうに見えるが地図の端なので、別のパーティーとかち合ってしまった場合、別の場所に移動するのに時間を取られてしまう所だった。

 一瞬さらに何かを言おうとしたスグンだが、イリナの意見も一理あると思ったのか、悔しそうにしながらも意見を引っ込めた。


「何よあいつ! 生意気ねー」

(まったく難儀だよなー)


 エステルはスグンの態度が気に入らないらしく、ご立腹である。

 幸いイリナ達はそれほど気にしていないようで、パーティーの空気は悪くなっていない。

 すると、カン! っと鐘のなる音がして、散っていた冒険者が集まり始める。

 二回目の鐘が鳴る頃には、全てのパーティーが水路に向かう道に集まって、三回目の鐘の音を待ってた。


 カン!

 三回目の鐘がなると同時に、ドドっと冒険者達が走り出す。


「おい! なにやったんだ。この掃除は早いもん勝ちなんだぞ」

「ちがうの! きれいにするのが仕事なのー!」


 焦ったように怒鳴るスグンだが、イリナは後方からゆっくり歩き出した。


 イリナの選んだ場所に着くと、すでに他のパーティーが掃除を始めていた。

 しかし、そこでもイリナは慌てること無く、四方に伸びる水路を順番に覗いていく。

 水道橋自体が高所のため、掃除している箇所は簡単に見分けることが出来た。


 冒険者同士でパーティーを組まされているので、水路の数の方がパーティーより多い。

 すぐに人の少ない区画は見つかった。


「あそこなら他の人がいなさそうだよ」

「そこにするのー」

「ああー、クソ。さっさと始めるぞ!」


 スグンも諦めたのか、素直に付いて来て掃除は問題なく始まった。

 ハシゴから上に登ると、水路に結晶のようなものがこびり付いている。

 これがお姉さんの言っていたカスだろう。


 水路は昨日のに比べて太く、カスも分かりやすいが水の流れはかなり早い。

 各々がスコップを使い、慎重にカスを削りとって配られたバケツに入れていく。


 黙々と作業を続けているとガシャンと音がなった。


「お前ー! どうしてくれんだよ! 俺の集めたゴミが流れちまったじゃねぇか!」

「ごめんなさい。ごめんなさい」


 声の方を見ると、ベルが水路の端に置いていたスグンのバケツをひっくり返していた。

 スグンの集めたカスは水流によって流されてしまっている。


「ふざけんな、やってられるか! お前らで勝手に掃除してろ!」


 スグンが怒ってハシゴを降りていってしまう。

 肩を落としたベルは、スグンの後を追いかけずに作業を再開した。

 俺達はベルの元に行く。


「ごめん、迷惑かけちゃって。あとは僕がやっておくからイリナさん達も休んでていいよ」

「大丈夫なの! イリナも掃除つづけるの!」

「そうだねー。がんばろー」


 スグンはどこかに行ってしまったが、その後もイリナ達は協力して掃除を続けた。

 そして、終わりが近づいてきた頃に、スグンが戻ってきて俺達に囁いてきた。


「今、すげぇ無防備な手押し車見つけたんだ。このままじゃ追加報酬も期待できないだろ? 少し貰っちまおうぜ?」


 それは他の冒険者を襲う悪魔の囁きだった。


「やらないのー」


 その誘いをイリナはあっさり断った。

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