44 初めての依頼
「最初にやる依頼といえば、やっぱりこれだよなー」
ダレンさんが冒険者ギルドのカウンターに行くと受付嬢に耳打ちして、一つの依頼を出してもらった。
依頼の内容はこの街にある水路の掃除だと言う。
それを聞いたエステルがダレンさんに噛みつく。
「ちょっと、ドブ掃除じゃない! まさかダーリンをそこらのスライムと一緒に考えてるんじゃないでしょうね!」
「いやいや違うって! これは冒険者に登録した奴が本来は一番最初に受けさせられる依頼なんだよ。ヴァルタさんに免除されたからって受けておいて損はないぞ? 報酬も悪くないし色々ためになるんだよ」
そう言われて、ダレンさんの出した依頼書を俺も見てみる。
内容は、街にある水路の掃除だ。
噴水の側で道具を借りて、三つある水路を一日おきに掃除していくといった内容で、拘束時間は朝から日暮れまで。
参加するだけでまず銀貨一枚、そして3日間こなせば、さらに大銀貨二枚の報酬だった。
「街の人の助けになるんでしょ? ボクはいいと思う」
「やってやるのー」
イリナ達もやる気のようなので、この依頼を受けることにした。
受付で受ける旨を伝えると明日の朝に噴水の前に集合との事だった。
次の日、移動にかかる時間も考えて早朝から噴水へと向かった。
イリナが自分の力でやりたいと言ったので、今はティトまーくⅡの状態になっている。
端から見たら、俺はイリナの頭に乗って寛いでいるだけのダメスライムだ。
噴水に着くとギルド職員のおねぇさんがすでに待機していて、何人かの冒険者の姿もある。
初心者用の依頼と言うだけあって、冒険者になり立ての子供が多い。
みんな緊張した面持ちで始まるのを待っていた。
「まずは地図を配ります。それを見て自分が掃除したい水路を決めて私に報告してください。それが済んだら、私の隣りにある箱から道具を選んで各自で開始してください」
渡された地図を開くと、地図には細くうねうねとした水路がいくつも書かれていて、色分けがされている。
「掻き出した泥やヘドロは専用の捨て場があります。地図で指定された場所に集めてください。夕方の鐘がなりましたら、道具を戻して終了になります」
(この中から選ぶのか。どこにする? この街に詳しくないし、近くて分かりやすい水路の方が良いか?)
俺達が地図を見ながら相談している間にも、何人かの子達がお姉さんに場所を宣言して、道具を持って走っていった。
そして、別の少年も宣言する。
「俺はこの水路の掃除をしたいと思います」
「すみませんが、その水路はすでに他の組が担当を宣言しています」
「そんな!」
場所の宣言に言った少年が、お姉さんに却下されていた。
どうやら、早いもの勝ちのようだ。
「急いで決めた方が良いのかしらね」
「むむむ~なの!」
地図を見ると場所だけじゃなく、担当する区画の大きさもかなり違う。
場所によっては五倍以上も長い区画まである。
楽をしたいのなら、近くて小さい場所が良いと思うのだが⋯⋯。
(ノエル、先にお姉さんにノルマはあるのか聞いてみてくれるか?)
そう、この依頼には参加した報酬しか書かれていないのだ。
そして、お姉さんも終了は時間になったらと言っていた。
「よくわかりましたね。この依頼にノルマはありません。正確には参加している時点で達成しているのです」
お姉さんが小声でノエルに教えてくれていた。
すると、地図とにらめっこしていたイリナが地図を掲げて宣言する。
「決めたの! ここをやるの!」
「⋯⋯そのエリアですか? 一番広いエリアですが⋯⋯」
「ここがいいの! きれいにするの!」
イリナが宣言したのは市場の近くの一番大きいエリアだった。
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