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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
二章

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32/64

32 告白?

「イリナ様はそのままで行かれるのですか?」


 土砂をどかすまでの滞在用に広げていたテントをまとめて、出発の準備を終えたセイガさんが訪ねてきた。


(どうする? 慣れる必要もあるしこのままで行こうか?)

「このまま行くの!」


イリナが気合を入れて返事をした。


「そうですか。では参りましょう」


 先頭はセイガさん、それにイリナ、ノエル、ヴァルタさんの順で並んで進む。

 峡谷の道を抜けると、山道ではあるが幅のある緩やかな下り道が続いている。

 

「このペースで行くと、街に着くのはいつになるのかしらね?」

「先は長いの ! このペースで行くの!」

「いやねー。私は純粋な疑問を口にしただけなのに、イリナったら必死になっちゃってー」

「違うの! 今なら負けないの!」

「申し訳ありません。これ以上は私がついて行けませんのでご容赦ください」


 エステルに挑発されて、走り出しそうなイリナをヴァルタさんがやんわりと止めてくれた。

 そして、セイガさんが振り返って大体の日数を話し始めた。


「このままですと、森を抜けるのに3日といったところでしょうか。そこから平地をさらに1日半行けば街に着くと思います。森を抜ける前に村もありますから、そこで補給としっかりとした休息を取りましょう」

「結構遠いのねー」

「街に戻ることを決めてしまいましたが、村で補給したほうが良かったでしょうか?」

「いえ、村まではかなり険しい登路でしたから、あそこで街に引き返す選択は間違いでは無かったと思います」

「楽しかったの」

(何度もはやりたくないけどね)


 イリナは楽しそうだが、俺はかなり神経がすり減った。

 山はゆっくり歩きたいね。


 その後は、イリナに軽く走ったり跳ねたりしてもらいながら進んだ。

 何回か休憩を挟んだ後、日が暮れるくらいの時間に水場が近くにあるポイントに来たので、そこで野営することになる。


「では、私とノエルで何か狩ってきたいと思います」

「ボクも頑張るから期待しててねー」


 セイガさんには、あえてテントは張らないで狩りをお願いした。

 ⋯⋯っと言うのも、街に行ってからでは試せないイリナの魔法を練習するためだ。


(イリナ、準備はいい?)

「大丈夫。むんんー⋯⋯ファルステン!なの」


 イリナがイメージを定めて呪文を唱えると、眼の前に小屋くらいの大きさの木が生える。

 上手くイメージ出来たみたいで、木の中は空洞になっていた。


(流石に内装までは出来なかったかー)


 欲張って扉や家具までイメージしてもらったが、椅子の代わりに出っ張りが出来てる程度で、家具は再現出来なかった。

 その後、中に入って更に個別で家具を作っていく。


「見事なものですね」


 会心の出来に、ヴァルタさんが感嘆の声をあげる。


(よーし、次は俺の番だね。スライム蔓生成!)


 俺は木の内側に蔓を飛ばした。

 ファルステンとの相性が良いのはわかっている。

 スキルで出した蔓は狙い通りに見事に壁と融合した。

 さらに編み込むように蔓を出していけば、あっという間にハンモックの完成だ。


(イリナ、乗ってみて)

「ハンモックいらないの! ティトがベットなの!」

(いや、ファリステンで作った木に、俺のスキルが融合して、どれくらい強度が維持されるのか知りたかったんだよ。おっ、なかなか丈夫だな)


 蔓は融合してしまえば、ファルステンからの魔力でスキルは維持される。

 出来栄えもなかなかのもので、これならファルステンを柱にして、蔓を間に繋げれば、即席の橋すら作れそうだ。

 満足して木から出ると、鹿を狩ったノエル達が丁度帰ってきたところだった。


「見て。大物だよー」

「これで明日のために精を付けましょう」

「お鍋の出番なの!」

(俺も具材を出すよ)


 ヴァルタさんは料理の腕も凄いようで、手際よく火を起すと具材を切って、あっという間に鍋の準備が整った。

 解体された鹿は、量が多いので鍋に入り切らない分は焚き火で焼肉にする。


「いやー、美味い! これがティト様の出した食材ですか」

「本当にそうですね。おそらく味だけではなく栄養もなかなかのものなのでしょう」


 俺の食材で作った鍋を始めて食べた二人が、実に満足そうに感想を口にする。

 だが、獣人はやっぱり肉の方が好きなのか、ノエルとセイガさんは焼いた鹿の足も美味しそうに食べている。

 そこで俺は、吸収したスキルの中にスパイス類があったことを思い出して、比率を調整して肉に振りかけてみた。

 触手を伸ばして肉を焼くと、それをノエルに差し出す。


(ノエル。俺の焼いたこのお肉を食べてみて)

「このお肉? ボクにくれるの? やった! いただきまーす。———ッ」


 喜ぶかと思って出した肉を食べたノエルは、なぜか口を抑えて固まったしまった。

 よくみれば尻尾が物凄く逆だっていて、目にも涙が溜まっている。


(ごっ、ごめん。もしかして辛かったり、刺激が強すぎたりした?)


 少し震えながら俯いてしまったノエルに、調合を失敗してしまったと思って謝るが、顔を上げたノエルは真面目な顔でセイガさんの方を向いた。


「お父さん。ボク、ティトと結婚する」

「(ええぇ!)」


 その場にいた全員の声が重なった瞬間だった。

読んでいただきありがとうございます。


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