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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両


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25 魔道具屋にて

「お鍋ーなのー。お鍋ーなのー」


 昨日の話し合いで、イリナには旅の装備が圧倒的に足りない、という話になり村の道具屋に向かっている。

 実際、寝袋や水筒は俺のスキルで対応出来るが、火を点けるための道具やナイフ、テントなんかは必要だ。

 俺の出せる食材の中には、火に掛けた方がいい物も結構あるので、イリナはお鍋を購入する気のようだ。


「ここが村の道具屋さんだよー」

(ええっ? 凄い立派なんだけど、これ村長の家じゃないの?)

「大きいのー」


 村で唯一の二階建てなんじゃないだろうか?

 村の中で一番古いそうな外観に、見晴らしの良い立地。

 普通に考えれば村長の家だと思ってしまう。 

 よく見ると建物の柱に掘ってある紋様は、ファリステンの広場に転がっていた瓦礫と同じだとわかる。

 他の建物には無かったので、もしかしたら都があった時代からの建物かもしれない。


「オン爺ー!来たよー」


 ノエルが元気よく店の中に叫ぶと、中から初老のドワーフが出てきた。

 ガッチリとした体に、鋭い眼光。

 その頑固そうな雰囲気に背筋が伸びる。


「あらぁ~、ノエルちゃんじゃな~い。な~に~? またナタを壊したの~?」

「ちっ、違うよ! 今日はお客さんを連れて来たの!」

「お客さま~? あら、エルフちゃんじゃないの~」


 見た目と喋り方のギャップで転けそうになる。

 オン爺と呼ばれたドワーフはヒゲを触りながらイリナを珍しげに見ていた。


「お鍋、買うの!」

「小娘、鍋だけじゃなくて、刃物や火打ち石も買うのよ? 覚えてる?」

「大丈夫なのー」

「お鍋はこっちよ~。妻のマルサが案内してくれるから必要な物は言うのよ~。ノエルちゃんはナタを見せてね~、状態を見るわ~」


 オン爺は雑貨のある右側にイリナを誘導して、ノエルを奥の工房へと呼んだ。

 エステルは、イリナの行動が気になるのか雑貨の方に行った。

 俺もイリナに付いて行くべきなんだろうが、正直ドワーフの工房は気になる。

 そうやってどっちに行くか迷っていると、ノエルが鍛冶場から戻ってきてイリナと合流した。

 流石に一人だけ工房に行くことは出来ないと思い、俺もノエルに続こうとすると、後ろからオン爺に呼び止められた。


「ちょっと待って~。スライムちゃん、わたしの言葉はわかるかしら~?」


 話しかけられた事に驚いたが、身振りで分かることを伝える。

 この村の人は当たり前の様に話しかけてくるが、世のスライムはコミュニケーションが取れるのが普通なんだろうか?

 これから活動する上で、常識の範囲内で行動することは重要かもしれない。

 もっと、ユミナに聞いておけば良かった。


(まぁ、ステータス的には、もう普通のスライムでは無いんだろうけどね)

「ちょっと頼みたい事があって~。これを見てくれないかしら~」


 オン爺が大事そうに布に包まれた物を持ってきた。

 布を取ると少し無骨なナイフが出てきて、鞘から抜いてこちらに差し出してくる。

 ナイフは、刃と柄までが一帯の作りになっていて、青みがかった刀身は、素人目にも業物だと分かる美しさだ。

 鍔には紋章のようなものが刻まれてい、無骨ながらも品の良さを感させる。


「これはねぇ~、私のお爺さんの、さらにお爺さんが打ったナイフなんだけど~、今の私にはどうやっても再現できないのよ~。そんで、もしかしたら鉱物以外に私の知らない素材が入ってるんじゃないかと思ったのよ~」

(それを俺に調べて欲しいのか? ポーションの時は出来たけど、制作の際に入れた素材までわかるかなー?)


 正直、金属製のナイフはポーションとは勝手が違う気がする。

 しかし、もしこのナイフの様な完成品の中に使われている植物系の素材すら鑑定吸収出来るとしたら、ちょっと世界が変わってくる。

 それはもう規格外のチートスキルだと言えるのだ。


「テイムされてるスライムには、鑑定出来る子がいるって、ユミナが言ってたから、どうかしらと思ったのよ~。仮に鑑定できなかったとしても良いの~。やるだけやってみてくれないかしら~?」


 俺はやってみるの意味を込めて体を伸ばす。

 そして、眼の前に差し出されたナイフに触れてスキルを使った。



 鑑定失敗。


 鑑定失敗。


 結果成功

 結果:願いの種

 魔樹アリエッタの種であり、願いを込めることで効果が変化する調合素材。

 希少な為、市場には滅多に出回らない素材。

 かなりの金額で取引されている。


 注意:この素材を鑑定吸収してしまうと、このナイフは形を保てずに消滅します。

 吸収しますか? YES\NO?



 結果成功

 結果:グレン樹の枝

 鋼鉄よりも硬いと言われる魔樹の枝。

 金属のように溶ける性質があり、他の植物系の素材を馴染ませる為に使用される。

 希少な為、市場には滅多に出回らない素材。

 かなりの金額で取引されている。


 注意:この素材を鑑定吸収してしまうと、このナイフは形を保てずに消滅します。

 吸収しますか? YES\NO?



 鑑定失敗。


 鑑定失敗。



(うおっと! 鑑定出来たけど吸収したら壊れちゃうのか、危ない危ない。しかし、二種類も入ってた。こんな金属系の物にも意外と植物素材って使われてるんだな)


 俺はわかった内容を伝えるべくエステルを呼ぶことにした。

 すると、鍋やランタンを持ったイリナがオン爺の奥さんを連れてやってきた。

 なぜか奥さんは、明らかに旅に必要のないドレスのような商品まで大量に持っている。


「イリナ通訳するのー」

「小娘もダーリンの役に立ちたいみたいね。いいわ、今回は譲ってあげるわよ」

(そうか、ありがとうイリナ。お願いするよ)


 そう言ってイリナに頼むと、胸を張ってオン爺に通訳を開始する。

 イリナの話をしばらく聞いたオン爺は、ヒゲを撫でながら唸った。


「なるほどねぇ~。グレンの枝は別として、願いの種を使ったのね~。随分と難しい素材だけどルーンは安定するわね~。これはやり甲斐があるわ~」

「他はわからないなの」

「金属類の素材なら私の専門だから大丈夫よ~。ところで、中の種を吸収して複製とか出来ないのかしら~」


 オン爺の質問を考えてみる。

 最初にスライム蜜を使えるようになったのは、【甘露】に進化した為だ。

 種が自然スライムなら、鑑定吸収でスキルを得て複製出来るだろうが、ただの植物の素材を吸収しただけでは、スキルは手に入らないだろう。

 では、魔樹ならどうだ?

 ファルステンの様に素材だけでなく、魔法も手に入るかもしれない。

 正直、これはやってみなければわからない。

 ただ⋯⋯。


「こわれるの~」

「じゃあ、だめねぇ~。使用もしないで壊したなんて、ご先祖様に顔向けできないわ~」


 口調が写ったイリナが、吸収するとナイフが壊れる事を話したら、オン爺は諦めた。

 俺も流石に吸収するためだけに、あの綺麗なナイフを壊すのは気が引ける。


「そうだわ! これお嬢ちゃんにあげるわ~。元々は、とあるエルフ様に献上する品だったらしいのよ~。そのエルフ様もテイマーだったらしいから~これは運命ね~」


 オン爺がいきなりそんな事を言い出した。

 素材だけでも希少で高価だと書いてあったそれを、俺は必死で断ろうとする。

 なぜかオン爺までムキになり出し、そのまま押し問答になってしまった。

読んでいただきありがとうございます。

評価してくださった方も本当に感謝です。


引き続き、面白いと思っていただけたら、気軽に評価の方をお願いします。

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