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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両


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18/19

18 夜明け前の時間と

(ん? 誰か起きたみたいだ)


 朝、ノエルの目覚めに反応して俺も目を覚ます。

 ノエルはイリナを起こさないように慎重に移動すると、そのまま家を出ていった。


(川の方に向かってる。顔でも洗いに行ったのかな?)


 朝と言うにはまだ早い時間帯だ。

 獣人が早起きなのかとも思ったが、ノエルのお母さんが起きた気配はない。

 俺も目が覚めてしまったのでノエルの元に向かう。


「あっ、おはようティト」

(おはよう!)


 俺の声は聞こえないので身振り手振りで、おはようを伝えるとノエルが嬉しそうにする。


「えへへ。こんな早くにおはようを言えるの嬉しいなー。村のみんなもまだ起きてこない時間だし」

「早いのねー。昨日あれだけハシャいでたのに」

(あっ、もしかして起こしちゃった? おはよう、エステル)

「いいのよダーリン。せっかくだから私がノエルにダーリンの言ってること伝えてあげるわ」


 エステルが起きてきて、俺の言葉を通訳してくれると言ってくれた。

 もしかしたら、その為にわざわざ起きてきてくれたのかもしれない。

 とても助かるのでありがたく申し出を受け入れる。

 エステルには感謝だ。


「あっ、エステルもおはよう。楽しかったよねー。夕食をみんなで食べて」

「イリナは食いしん坊だったわね」

(あんなに夕食食べてたのに、リンゴンもお替りしてたもんな)

「あんなに美味しそうに食べてくれると、こっちも幸せな気持ちになるよー」


 話す内容はイリナの事が多かったが、話の流れで出会った時の話になる。


「ティト、あの時はいきなり斬りつけてゴメンね。普段は匂いで自然スライムだってわかるんだけど、あの時は焦ってたから気が付かなかった」

(まあ、森でスライムが女の子を取り込んでたらビックリするよね)

「そういえば、ティトは男の子なの?」

(無性だよな? 転生前は男だったが⋯⋯)

「ダーリンは無性よ。そもそも森スライムは、魔力溜まりで生まれるから、親もいないし子も作らないもの」

「そうなんだー」

(そうなのかー)

「ダーリンはステータスで、ある程度は知ってるでしょ。もう、そんなところも愛おしいわね」

(全肯定だなー⋯⋯)


 そんな取り留めのない会話をしていると、ノエルがソワソワしている事に気が付く。

 村に案内してくれる途中に見せた、走り回りたくて仕方ない時の仕草だ。

 イタズラ心で木の枝を投げたら、走って取りに行っていた。


「獣人は元気ねぇー」

「うーん。時々、なぜか無性に体を動かしたくなっちゃうんだよね。夜に目が覚めちゃった時は、狩りに行ったり、自然スライム集めに行ったりしてるんだー」

「あんたまさか、自然スライムを狩ってるんじゃないでしょうねー」

「ええー!」


 エステルが声に若干の威圧を交ぜて、ガルルと威嚇をした。

 それを見て、ノエルは怯んだ仕草を取る。

 どちら本気でやっているようではないが、これではどちらが獣人かわからない。


「体の一部を分けて貰ってるだけだよ。ちゃんと断って貰ってるし、その後も村で大切に育ててるから大丈夫だよー」


 その言葉を聞いて、エステルが少し驚く。


「へー。自然スライムの一部とはいえ、定着させてるなんて、凄いわね」

「えへへー、今日はそこに案内するねー」


 そこでイリナの気配を感じる。


(あっ、イリナが起きそうかも?)


 結構な時間を話し込んでいたのか、空はすでに白んできていた。

 イリナが起そうな事をノエルに伝えるとノエルが慌てる。


「大変だー! イリナちゃんが起きて、みんなが居なかったら驚いちゃう! ちょっと待ってね。水汲んじゃうから」


 ノエルが顔を洗うようの水を川で汲むのを待って、みんなで急いで家に帰る。

 家に着くと、ノエルが言った通り、イリナが外に出てキョロキョロと俺達を探していた。


「いたの! ひどいの!」」

「ごめん! イリナちゃん。おはよう」

「大げさねー。あんただってダーリンの居場所がわかるでしょうに」

「そうなの? ⋯⋯ほんとなの!」


 言われて目を瞑ったイリナが、俺を感じ取ったのかビックリした顔をする。

 そんなやり取りをしていると、ノエルのお母さんが来た。


「みなさん、朝ご飯の準備が出来ました。食べちゃってくださいな」

「わーいなの。 ごはんなの!」

「ボクもお腹ペコペコー」


 晩ごはんの時と同じ様にちゃぶ台の上に朝ご飯が乗っていた。

 朝から肉多めのワイルドなもので、量も結構あったが、、ノエルとイリナが次々にぺろりと平らげていく。


(イリナって大食いだよなー)

「いっぱい食べるの! 大きくなるの!」

(よし、俺も負けてられないな!)


 俺とエステルの前に置かれているのは、朝どれの瑞々しい野菜で作ったサラダだ。


(このサラダも、もしかして自然スライムかな?)

「⋯⋯そうですよ。遠慮なさらずに⋯⋯食べてくだい」


 いきなり後ろの方から、声がして驚いて振り向く。

 すると、入口にエステル以外の妖精が飛んでいた。

 眠そうなたれ目に、紫の長い髪が印象的な妖精だ。


「あっ、ユミナ様。おはようございまうー」

「⋯⋯おはようございまうー、皆様。⋯⋯ノエル、ゆっくり食べてくださいね。⋯⋯昨日、シューから連絡を受けて⋯⋯私も少し浮かれていたようですね。⋯⋯早く来すぎました」


 口にお肉が入っていた所為か、ノエルが噛んでしまう。

 少し恥ずかしかったのか、今は飲み込むためモグモグと咀嚼を頑張っている。

 ユミルと呼ばれた妖精は、柔らかに笑うと、ノエルの横に移動してテーブルに座った。


「⋯⋯ユミナと申します。カティ村の⋯⋯村長のようなものを⋯⋯やらせてもらっています」


 独特な間で喋るユミナの自己紹介を受けて、俺達もそれぞれ名乗った。

読んでいただきありがとうございます。

評価してくださった方も本当に感謝です。


面白いと思っていただけたら、引き続き気軽に評価の方をお願いします。


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