120 スライムのテイム連操
(おおー、食べてる食べてる)
俺の出した野菜や果物にスライム達が集まる。
なんだかお母さんになった気分だ。
一番人気は、やっぱりスライム蜜で食べ初めに飛び跳ねて喜ぶ姿が、初期の自分を見ているようで微笑ましかった。
スライム達のステータスは見られないが、魔力探知で見ると体に帯びている魔力が濃くなっていることがわかる。
(そろそろ無茶をしても耐えられそうかな? スライム蜜はほどほどにしろよ~? あんまり食べて【甘露】に進化しても知らないぞ~)
「準備できたのなの?」
(行けるんじゃないかな~。イリナやってみよう)
「むむむ~。スライム連操なの~」
ミッシェの補助を受けてイリナの魔力が流れ込んでくる。
すると、なんとなく自分の声がスライム達に伝わるんじゃないか、っという感覚がする。
そこに意識して他のスライム達に向けると、魔力の糸のようなものが他のスライム達に繋がる感覚がする。
(おっ? 出来たかも? 試しに一斉にジャンプさせてみよう)
俺の思いを受け取ってか、スライム達が一斉にジャンプする。
それを見たミッシェが「成功したようね」と地面にしゃがみ込んだ。
ずっとペーちゃんとテイム連操をしていたのだ。
見た目以上に魔力も体力も限界だったのかもしれない。
(よーし、いまから俺のする行動と同じようにやってみて)
スライム達に体を筒状にして水面に差し込み、もう片方をその面より下にして下流の方に向ける。
すると、先から水が出始める。
他のスライム達も指示に従って、俺の真似をしはじめた。
(うわっ、魔力が吸い出される!)
スライムと言っても自分の体を変形させるのはスキルであり、スキルに使用されるのは体内魔力だ。
本来、長時間形を変えるなど無謀だったが、テイム連想はイリナと疑似的なテイムで繋がっているためか、イリナの魔力の供給を受ける様だ。
(これ、この作業が終わるころには、このスライム達すごいレベルになってそうだぞ)
俺と仕様が一緒ならスライムのレベルは食べる事と魔力を吸収する事、魔力を使いイリナの魔力を吸収するのは、パワーレベリングと言っても差し支えない。
実際、定期的に震えているが、レベルアップしているのだろう。
色も濃くなり、初期に比べて逞しくなっている気がする。
(誰も知らない山の中で最強スライム集団が生まれちゃったかも。まぁ、人に敵対しないだろうし大丈夫かな?)
お願いを聞いてくれるだけの知能があれば、これから先も定期的に水の流れの詰まりの監視させても良いかもしれない。
「ここまでで大丈夫よ。イリナちゃん連操を解いて!」
「わかったの」
「大丈夫? 連操はものすごく魔力を消費するの。慣れてないならなおさらよ? 体に異常はない? ちゃんと報告してね」
いろいろ考えている間にため池の水がかなり減った。
連操の終了を告げたミッシェがイリナを気遣うように体をさすっている。
(確かに、いくら魔力が多いって言っても、巨大なため池を囲むようにファルステンを使ったし、俺の生産も結局はイリナの魔力だよな)
イリナの魔力も無限にわけでは無い。
ちゃんと注視していかないといけない。
「大丈夫なの! 問題ないの」
両手を上げて力こぶを作るような仕草で問題ないとイリナがアピールした。
さっさと俺もやるべきことは済ませてしまおう。
(堰を壊しちゃうよ。みんな離れてー)
俺はため池の内側に立ち、堰を正面から見る。
何をしたいか分かったようで、ノエルとビースナスが離れた。
(イリナの魔力はまだ大丈夫そうだね。よし、スライムパーンチ!)
ラクスベアを殴った時よりも体積を増やし、堰を吹き飛ばす。
あの時の一撃がまだ本気じゃなかったことに気が付いたミッシェが言葉を失っているのがわかる。
堰を壊したが、一度に全て流れないようにそのまま増やした体で制限しながら水を流していく。
(もういいかな? あとは一気に流しちゃおう)
ザァーと流れる水流に、集めたスライム達が飛び込んで流れていく。
知能が上がったのか、それとも元々なのか、流されながらさよならの挨拶をしていたような気がする。
(守ってくれって頼むの忘れた!)
「大丈夫よダーリン。あの子たちにダーリンの思いは伝わっているわよ」
「見て見て! 凄いよ! この子って主かな?」
ノエルの声に反応して振り向くと、もとため池に巨大な魚が取り残されていた。
周りにもたくさんの魚がいる。
「お・さ・か・な・なの~」
(今日はお疲れパティ―だね。いっぱい食べてゆっくり寝よう)
「小娘はいつもいっぱい食べてるけどな~」
早めの夕食を取ったが、やはり相当に疲れていたようで、イリナは食事後すぐに寝てしまった。
それはミッシェも同じだったようで、見張りの話しをする前に眠ってしまっていた。
ビースナスとノエルが夜の見張りを申し出てくれたので、俺はミッシェもスライムベットで包んで眠りについた。




