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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
四章

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119/121

119 水嵩削減作戦

(この水をどうにかする必要があるのか)


 目の前の湖のような水たまりを見る。

 山の谷に出来上がった湖は、見た目こそ広大だが傾斜が緩やかなために深さはそれほどでは無かった。

 しかし、端が霞むほどの広さがある。


(とりあえず堰の部分を補強しないとな。イリナ、ファルステンを使ってくれ)

「わかったの」


 堰を覆う様にして木を生やし支える。

 その間に、ミッシェがテイムで従わせたカエルたちを使って少しでも水を減らしていく。


「ダメ……流れ込んでくる量が多すぎるよ。こんなんじゃ焼け石に水だわ」

「それでもやらねければ、崩壊は時間の問題です。泣き言は後にしてください」

「泣き言! 言ってないわよ!」


 ミッシェが事態の大きさに心が折れかけたようだが、ビースナスの煽りで気持ちを戻した。冒険者歴が長いだけあって、心の芯の部分は強いのだろう。


「あなた達が居てくれて良かったわ」

「お礼は終わったら、ちゃんとしてもらうの!」

「あはっ、そうね」

(イリナ、山の斜面沿いに薄くファルステンを張って!)

「ファルステンなの!」

(よし! スライム生産シリカ苔!)


 イリナに指示を出して山の斜面に浅く張って貰った根にシリカ苔を生やせる。

 触手を伸ばして届く範囲に出すと、斜面が緑色に染まり水嵩が少し減る。

 水面からはピンクの花が顔を出した。


(よい。効果はあるな。あとは移動しながら繰り返そう。イリナ、体は大丈夫?)

「問題ないの! じゃんじゃんいくの!」


 水中の見えない部分にまで魔法で根を生やすには、俺との感覚共有が必要だ。

 しかし、俺の魔力探知も魔法との並行利用だと広げられない。

 山の斜面全てにシリカ苔を生やすには、移動しながら何度も生やすしかない。

 そうして、二時間以上かけて一周しながら、ファルステンとシリカ苔生産を使っていく。

 全ての斜面に苔を生やし花が咲くが、水は依然として多かった。


「イリナちゃん大丈夫? 顔が少し青いよ」

(魔力も体力もかなり使ったからね。イリナ、少し休んでいて。ノエルも他のみんなも休憩しよう)

「そうですね。ミッシェも五分だけでも休憩しましょう」

「そうね。ペーちゃんも休みましょう」

(さあ~、栄養たっぷりのスライム蜜だよ~)

「ダーリン、蜜を配るのは私がやるからダーリンも休んで」

(ありがとうエステル)

「私の体じゃそれくらいしかできないもの。お礼はいらないわ」


 疲労困憊のみんなにエステルがスライム蜜を配ってくれた。

 蜜を口にすると、甘さでみんなの顔が綻ぶのがわかった。

 栄養面でも奮発しているので、少しは体力も回復するだろう。


 湖の水嵩はみんなの努力もあり、半分近くまで減って、もはや溜め池レベルだ。

 これなら堰はそのままでも壊れる事は無いだろう。

 しかし、シリカ苔をこれ以上生やせないとなると、ミッシェのカエルたちが水を吸って外に吐くを繰り返す以外にほとんど水を減らす方法がない。

 苔で水の流入が減っていると言ってもゼロでは無いので、堰は最終的には壊さねければならない。

 堰は、水嵩が減ってきたと同時で、必要のない上部をノエルとビースナスで壊し始めて小さくし始めている。


「あと、もう少し水が減ってくれれば一気に壊して流しちゃうのに」


 下流の被害を考えると、もう少し水嵩を減らしてから壊したいとミッシェが口にする。


(とりあえず人手がもっと欲しいなー。まあ、言っても仕方がないんだけど)

「待ってダーリン。昨日のテイム娘のやっていた技を使って見るのはどう?」

(テイム連操だっけ……そうか、スライムを呼べるかもなのか)


 そこで考える。

 スライムが来たとして、どこまで出来るのだろうか?

 スライムのレベル自体は俺の生産物で底上げできる。

 しかし、力がどこまで上がるか分からない。


(いや、待てよ)


 そこで不意にひらめきが来た。

 ペーちゃんが水を吸って吐いているのを見た時、俺ならばもっと効率的に出来るとは思ったのだ。


(スライムの体をホースのようにして、形の維持だけで着ればサイフォンの原理で水を抜けるな!)


 サイフォンの原理とは、水槽の水を抜く時などにホースの中を水で満たされた状態で両方の口に高低差を作ると、低い方に向って水が流れるあれのことだ。


「小娘、ぶっつけ本番だけど、あんたなら出来るわ」

「楽勝なの!」

「私も! 感覚の補助くらいなら出来ると思うわ」

(呼ぶのもいいけど、先に探し出して集めちゃった方が早いかも)

「それもそうだね。まずはスライムを皆で集めに行こう」


 散開してスライム集めを開始する。

 スライムは森の中なら結構たくさん存在している。

 基本的には弱くて無害なのでスルーされている存在なのだ。

 初期の俺がそうだったように、動きも遅いし消化力も無い。

 森スライムはいつでも安全安心の最弱種なのだ。


(うわー。ウネウネ祭りだな)


 みんなの集めたスライムの前で感想をこぼす。

 小さくて遅い。

 プルプルしてなければナメクジを集めたみたいな様相だ。


(そして、全部がそのナメクジより弱い悲しみ。まずは俺の生産物で強化だな)


 俺はスライム達の前に生産物を出した。


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