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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
四章

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118/119

118 テイマーのミッシェ

 仕留めたラクスベアの血抜きと解体を済ませる為に、今日はこの周辺で一日過ごすことになった。

 テイマーの少女とは、そのタイミングで自己紹介を済ませた。


 少女の名前はミッシェ。

 ギルドカードを見せてもらうと黄の大翼だった。

 遺跡の調査や採取をメインで活躍している中堅冒険者のようだ。


 ミッシェは毎年この地域の水量などの調査を請け負っているようで、急な増水でも危険がない場所を教えてくれた。

 今はその場所に馬車を移動させて食事の準備中だ。


「お肉なの~。お肉なの~」

「ラクスベアは美味しいのよね~。この個体は冬眠明けでもしっかり体が戻ってるみたいね。ただ、この時期はどうしても脂肪が少ないのが難点なのよね~」

「熊系の魔物は、季節によって食べる物が違うから、味が変わるんだよね~」

「そうそう、わかってるじゃない。秋の木の実で脂肪を増やした頃が私は好きなのよ」

「干し肉にするのなら、脂肪分が少ない今の時期の方が向いていますよ」


 女性陣(っと言っても、俺以外全員女性だが)が、和気あいあいと鍋の準備をしている姿を、俺はペーちゃんと眺めている。

 今回はミッシェが集めた春の山菜があるので、俺の生産の出番はない。

 仕方がないので焚火を眺めるが、相変わらず水の滴る音のコーラスが響き続けている。

 こうしていると、耳障りじゃない騒がしさに心が癒される。


(雨音といい、潮騒といい、どうして水の音は人を癒すのかねぇ~)

「ティト、なんだかお父さんみたいだよ~」

「失礼ね。ダーリンは歳を取ったとしても、魅力が増すだけよ」

(相変わらず、エステルは全肯定だな~)


 どうやら鍋の支度が終わったようで、ノエルが焚火に持ってきた。

 この人数で食べるには明らかに多い量だが、イリナとノエルの食いしん坊コンビならば楽勝だろう。


「今日一日で思ったけど、イリナはテイマーとしての知識が無さすぎるのよ」

「イリナとティトは良いあいぼうなの! 問題ないの」

「それは二人を見てればわかるわよ。そうじゃなくて、テイマーとして出来る『技』があるのよ。それを知らないだろうなってこと!」

「イリナ様とティト様がテイム関係になってからまだ一年も経っていないと言いますからね」

「それはそれですごいわね! 以心伝心って感じじゃない」

(実際、会話してるからね)


 次の日、ミッシェがその技を見せてくれると言うのでついて行く。

 案内された場所は、流木が詰まってため池になっている場所だ。


「このままだと堰きが崩壊した時に下流で被害が出るわ。だからこういう場所を探して事前に壊して回っているのよ」


 「見てて」っと言ってミッシェがペーちゃんを前に出す。


「テイムしている魔物を経由することで、その魔物と同種で、なおかつ下位の魔物を簡易的に支配することが出来るの。これを『テイム連操』って言うのよ」


 手をかざすと、魔力の流れがミッシェからペーちゃんに注がれた。

 次の瞬間、ペーちゃんの鳴き声が周囲に響き渡り、複数のカエル型モンスターが集まり始める。

 そして、ミッシェの号令で規律正しく動いた。


「ペーちゃん、溜まってる水を使って流木を壊して。他のカエルたちは中の水を吸い出して減らすのよ!」


 カエルたちが一斉に行動を始める。

 堰を切っても被害の出ない量に水量を減らすと、詰まらせていた流木を吐いた水圧で破壊する。


(見事なもんだなー)

「ふー。他も回りましょう」


 その後も、流木や土砂で詰まっている個所を探しだしては壊していく。

 詰まっている個所は多かったが、水が大量に溜まっている場所が少なく、俺達でも壊せたので順調だ。


「おかしいわ。いつもなら溜まっている水の量はもっと多いわ」


 五か所目を壊したところでミッシェが呟いた。


「もっと上の方で詰まってるかもしれないわ。私はそこに向かうおうと思う。あなたたちとはここでお別れね」

「ここまで来たなら手伝うの!」

「でも、私が受けた依頼にあなたたちを巻き込むわけには……」

「いつもと様子が違うなら、それこそみんなで行った方が良いとボクも思うよ」

「そうですね。乗りかかった船ですから、最後まで付き合いましょう」

「わかったわ。本当は少し心細かったの、ありがとう」


 ミッシェについてバラッサ山脈へと進路を変える。

 登ってみると、水源に近いはずなのに思ったよりも水が少ない。


「ここら辺一帯は、水はけが良い土なのよ。湧き水が出ない分、麓よりは水が少ないのは普通よ。でも、やっぱりいつもより少ない気がするわ。嫌な予感が当たらなければいいけど」


 しばらくそのまま登っていく。

 しかし、残念なことにミッシェの嫌な予感は当たってしまったようだ。


「大きな湖なの」

「こっ、こんなところに湖はないわ。土砂が崩れて、ため池状態になっているのよ。こんな規模……私じゃどうにもできないわ」


 目の前の湖が詰まって出来たものならば、堰が壊れればどれだけの被害が下流に出るか分からない。

 あまりの事態にミッシェの顔が青くなる。


(とにかく、少しでも被害が出ないように行動しよう)

「おーなの!」



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