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のんびりスライム道中 ~エルフの少女とのんびり世界を旅します~  作者: 千両
四章

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115/121

115 人工奇跡の結末

「にわかには信じられん。例え女神さまの奇跡であっても……。それが毒でないと言うのならば、貴様がまず飲んでみよ!」

(まずいな。あの薬、プラスの効果になっていても、健康な人にとっては毒になるんじゃないか?)

「……わかりました」

「もうやめてお父様。私には、プランハルは少し取り調べるだけと言っていたじゃない。捕らえられていたなんて聞いてないわ」

「それは……」

「どうしてプランハルを疑うの! プランハルは私の為に必死で薬を完成させてくれたのよ。私が! 私が飲んでプランハルの無実を証明します!」

「アイリア!」


 プランハルの手から瓶を奪い取ったアイリアが、その薬を一気に飲む。

 そして、全てを飲み干すと瓶を落として苦しそうにする。


「うっ……うぐぅ」

「やはり! 貴様ぁー!」

「待って! 私は大丈夫よ。調べた時は猛毒だったのでしょう? 私がいま生きている事が毒ではない証明です」

「アイリア、わかったから! もうプランハルを捕らえよとは言わん。だから、部屋に戻ってくれ」

「プランハルも一緒です!」

「……ああ、やはり女神さまのお言葉は本物だったか……」

(アイリアさん逞しいな~)


 そのまま俺も部屋に行くべきか迷ったが、事情を説明するために、皆との合流を優先した。


(エルドに早く無事を知らせないと、陽動の為に街の中で騒ぎを起こしちゃうかもしれないしな)


 ビースナスに合流してエルドの元に向ってもらう。

 イリナ達にはエステルから事の顛末を説明してもらったが、明らかに脚色された俺の存在しない活躍を吹き込むのは止めてもらいたい。


「ありがとう。本当によかった。俺はアイリア嬢のいる内に、領主様からしっかりとプランハルの無実の言質を取っくるよ」


 ビースナスの説明を聞いてからお礼に来たエルドは、そういって館に走っていった。


「大団円なの~」

「一時はどうなる事かと思ったね」

「さすがの私も少し緊張しました」

(みんなお疲れ様~)


 巻き込まれてからは、ずっと動き回っていた。

 ひと段落したと言う事で宿に戻った後は、俺の生産した食べ物で久しぶりにささやかなお疲れパーティーをした。


 その後、プランハルは自らの鑑定スキルを領主に報告したのだが、その力は女神がアイリアを助けるために授けた力だと語り、女神の意思を利用してアイリアとの婚約をこぎつけたらしい。

 結婚はアイリアの病気が完治してからだと言う事で、プランハルは薬の更なる改良に躍起になっているらしい。


「あったの! これなの!」


 新種の薬草の場所も公表され、冒険者の依頼として俺たちは素材の採取をしている。

 ものが毒草や毒キノコなので、採取できる人間は限られているが俺たちは今回の活躍を考慮して特別に採取の許可が下りている。

 領主主体の採取依頼なので依頼料はウハウハだ。


 それとは別で、俺はゲラーテにポーションの作り方を習っている。

 それというのも、プランハルを治療するために薬草汁をぶっかけていたが、それが無駄の塊だといわれてしまったからだ。

 薬草を生産できるなら体内でポーションの生産が出来るはずで、それが出来ることでいざと言う時に助けられる命があると説得されたからだ。


 教わってみると俺にとってはポーションは実に簡単だった。

 しかし、俺と一緒に隣に机を並べて勉強しているイリナにはそうではなかったようだ。


「全然わからないのー」

「薬草の種類を覚えなきゃだものねー」

(俺には簡単だったけど、これはスライムがポーション作りと相性が良すぎるからだな~)


 ポーションと薬の根本的な違いは魔力にある。

 薬は薬草などを煎じて作る物だがポーションは違う。

 ポーションは薬草などの帯びている魔力を抽出して合成する技術なのだ。


(まぁ、巷で売ってるのは、その抽出した魔力に、さらに元の薬草を粉にして混ぜる事で、格安で効果を出してる物がほとんどみたいだけどね)


 要するに、ポーションとは薬草などの癒しの効果がある魔力のみを抽出して合成し、回復の効果を高めた『疑似回復魔法』なのである。

 俺自体が魔法生物で、なおかつ魔力で薬草を生成できる能力がある俺は、ポーション作りと相性がいいのだ。


(初めの頃に森で魔力と本体を分けて吸収していた経験も生きてる。人生何が役に立つか分からないね)


 イリナはポーション作りを学ぶことで、回復魔法が使えるようになるかもと考えた様だが難しそうだ。


(ポーションも作れるようになったし、この街ともお別れかな~)

「次の街も楽しみなの。新たな料理がイリナを待ってるの!」

「どんな景色に出会えるかなー。温かくなってきたし、川で水遊びもいいね」

「私はダーリンがいればどこでもいいわ」

「それでは出発します」


 この街でも仲良くなった人たちに見送られて旅に出る。

 手を振って別れる時はいつもさみしい。

 でも、この寂しさがあるのは、その前に出会いがあったからだ。

 今は新たな出会いをワクワクして待とう。


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