第六十三話
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ふと寒気を感じて目を開けると、たき火が小さくなっていた。
枯れ木を慎重に足して見守ると、徐々に元の勢いに戻っていく。
ほっとしたらくしゃみが出た。腕の中でナコが声をあげるけれど、起きる気配はない。
繋がったまま向かい合って抱き合っている。
思いのほか……いいや、正直に言えばかなりよかった。俺はな。
心配なのはナコだ。相当痛がってたんだ。途中で何度も根を上げそうになっていた。
妙に頑固なところがあって、こんなに痛い目を見たのに中途半端は許せないだとかなんとかいって……結局最後までやった。
クルルの時にも思ったことだけど、衝動が強くないとかなり難しい。
まず痛い。どんなに事前準備をしても、そもそもナコの中はこなれてないので、その中へ侵入しようとすると穴を全力で閉じようとする力に抗いながら入るので……まあ痛い。マジで痛い。
それをこじ開けて奥へ到達しようってんだから、堅さを維持しなきゃならない。けど痛がる女子を相手に興奮できる何かがないといけないってんだから難しい。別に俺にそんな趣味はないからな。気持ちよがってくれる方が何倍もいいに決まっている。
要するに気遣いがなきゃだめなんだけどさ。理性でやろうとすればするほど萎えるし。萎えたら奥には届かないわけで。けど別に無理矢理やるぜってわけでもないので……そんな悩みを抱えていたら萎えるわけで。
これを体験してみると、コハナのような熟練者がいいという意見もわからないでもない。
入れても終わりじゃねえしな。ナコが落ち着くまで腰は動かせないので、彼女をひたすらなだめ、落ち着かせ、身体をあたため、いたわり、愛することを繰り返す必要がある。
なかなか大変だ。正直、なかなか大変だ。
けど、そこまでやって、精霊に頼んで治癒をした彼女とひたすらに愛し合って……最終的には喜んでもらうところまでこぎつけた時の達成感はやばい。そりゃあ情が湧くよ。ナコもそうならなんというか、こっぱずかしいですけどね。
最後には喜んでもらえたからよしとして。
そっとクルルのパンツを握って念じてみたが……大剣は出なかった。
内心でこっそり危惧していた危機が目の前に現われてしまった。
時間が過ぎたら武器は出ないといつだったか言われた気がしたんだが……まさか現実になるとはな。こんな状況下ではひたすらに困る。
ナコに説明してパンツを借りるしかないが、それによって出てくる武器が微妙なものだとかなりピンチだ。山の洞穴で一生過ごす気もないからな。いずれは脱出しなきゃならない。
もっとも、耳に聞こえる外の風の音はかなりやばい。吹雪いているのだろう。今出て行くわけにはいかない。
とはいえ……腹も減る。クルルがいてくれれば獣がいるかどうか魔法で探してもらえただろうに、今はナコと二人きりだ。
なんとかしないとな。
「ん、ん……ん?」
目を開けたナコが俺の顔を見て瞬きした。
「……タカユキ、どうかした?」
している最中に名前を聞かれて答えてから、彼女の呼び方は勇者からタカユキに変わっていた。
「いや、飯の調達も考えないとなあ、と。死んだ獣は見かけたんだが」
「病気とかもってたら困る。新鮮な方が良い」
「そうはいうが……」
「吹雪がおさまったらいこう」
「案外たくましいな」
「あんな壁があるとは知らなかったが、自分の村もいずれ雪まみれになる。慣れているぞ」
自慢げだな。
「それより……寒い。もっとあたためあいたい」
首元に額を擦り付けてくるナコに、俺は一言断りを入れて尋ねた。
「確かめておきたいんだが……子作りして、精霊の力を使えなくなった的なことはないか?」
「ん? ないよ。なんで?」
「いや……」
巫女って普通、なあ? あるじゃん? なんか、その。貞操が大事的なの。
「問題ないならいいか? 寒いんだ」
首筋に唇を擦り付けてくる。待て、今はまだ、と言ったんだが。
「……わたしの中で大きくなってくる。やる気だろ?」
ふふーんと自慢げに笑われると否定出来ない。
「お、お前の準備が出来てないだろ」
「準備って?」
色々あんだよ、と唸ることしかできない。
「まあいいからさ」
寝る前のそれでコツでも掴んだのか動き始める覚えたての少女に敵う道理はありませんでした。
◆
体力を浪費するだけ浪費して、寝たいだけ寝て。
いい加減腹が減りまくってやばくなった頃には幸い吹雪もやんでいた。
二人で身支度を調えて、入り口へ向かう。
俺が用意しておいた穴は吹雪のせいか塞がってしまっていた。
松明で照らした先は雪に埋もれた様子しか見えない。
「ナコ、どうにか出来るか?」
「ここにいる子たちだけでは無理だ」
ふるふると首を振った少女が「奥を探すか?」と言うので、俺は少し考えてから手を差し出した。
「パンツをくれ」
「……なんで? 続きするのか?」
少し照れた様子で見てくるから咳払いをして説明した。俺がパンツから武器を取り出す力を持った勇者であることを。
「なんだ、そうか……まあいい。確かに門を抜ける前にパンツを借りてたもんな。まってろ」
いそいそとパンツを脱いで渡してくれるのはいいんだが……恥じらいがないのは寂しいです。
コハナがわざとやるようなあざとさはナコには似合わないが。あざといのも好きな俺としては悲しい。何か手を考えよう。それは後回しにして。
「何が出るかな?」
どきどきしながら右手にパンツを巻き付けて念じる。
俺の右手に出現した武器、それは――
「弓……だよな?」
「矢がないぞ?」
なんの材質で出来ているのか不明の弓だった。
強いて言うなら骨を削って作ったような感じだが、ところどころ尖っているデザインは少し物騒な印象がある。まあ武器だから物騒も何もないけども。
矢がないんだけど、どうすりゃいいの? おいおい、大丈夫か?
困った顔を見合わせる俺とナコだった。
つづく。




