第四十二話
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勝利!!!!!!!!!!!!!!
「うう……ひっく。えへへえ」
緩んだ笑顔を向ける先には……ベッドがある。
コハナちゃんに手を引かれて彼女の住む部屋に来たんだ。
石造の四階建ての建物の屋上にある小屋の中。
真夜中を照らすランタン。
窓からは灯台や海が一望できる……まさに絶好のロケーションを背に、ベッドの上で足を開いているコハナちゃん。
スケスケの黒いランジェリー。ショーツにはうっすらと染みが浮いている。ランタンの火がもう少し明るければ、透けて見えちゃっていてもおかしくないレベル。
「もう……そんな目で見られたら、コハナたまりません」
と微笑む顔はまさに小悪魔。
その頭のネコミミは角に変わり……ん?
俺の鼻先をくすぐる猫の尻尾は悪魔のそれに……んん?
「ほら……早くきて。コハナをだめにしてください……」
両手でくぱ、と何かを広げる。
滾る。滾るよ? そりゃね?
このために真夜中まで飲み倒して、吐いては呑んでを繰り返して、やっと勝利をもぎとったのだから。
しかし、待て。
「こ……コハナちゃん、一つ聞きたいんだけど」
「もう、ここまできて……あんなにコハナを犯すために頑張って、じらすんですか? ひどいです……」
刺激的なワードを意識して使っているこの子を、ちょっと冷静になって見てみよう。
アルコールで頭が回らないから、一度拳で自分の頬を殴って……見つめ直す。
尻尾は明らかに黒い。黒くて細くて、先端がハート型。
ネコミミは……なんと、ネコミミカチューシャが台の上に置かれている。
ということは、つまり……耳から生えている角みたいなそれ、って。その。
「つかぬことを聞くけど、コハナちゃんってば悪魔だったりしない?」
「コハナはこの街の男達の小悪魔です」
「……うん、まあ、うん。その側面があるのはわかるんだけども自分で言っちゃう、的な? っていうか待って。ねえ待って」
尻尾で俺の懐刀をくるくるっと巻き付けてしこしこしないで。お願い待って。
「コハナちゃん、魔王と仲良かったり……しません?」
「んー、なんのことかなあ。下のお口に何かをいれてくれたら思い出すかもぉ」
くい、と下着をよけたそこを見たら負けだと思って、さっと顔を背ける。
「あくまでウェイトレスだと言い張る気?」
「だってコハナ、悪魔でウェイトレスですもの」
うふ、と笑う。
けど。あれ? 今のイントネーションおかしかったよね。
真っ黒い最強執事みたいな言い方だったよね……うっ、頭が!
「呪いの魔法使いと一緒の勇者……ねえ、はやく味わわせて? コハナ、こんなに燃えてるのはじめてなんです」
尻尾で引っ張られて思わず腰を近づける。
熱が。熱がやばい。とろっとろだ。こんなん知ったら後戻り出来ないに違いない。
「待て。俺は悪魔とはやらんぞ、勇者をなめるな! っていうか他の子としたら俺死ぬんです、そういえば」
めちゃめちゃいまさらなことを言った時でした。
「んー……ちゅっ」
「ふお」
のど元にキスされた次には、ぺろおおおり、と舐めあげられました。
「くふ。へんてこな呪いがかけられてるけど……これくらい、解くのは造作もないです」
尻尾が不意に熱を帯びて俺の何かがさらに膨れ上がった。
それは……つまり、クルルとクラリスがかけた呪いを容易く解いた、ということで。
そのものずばり、コハナちゃんが魔物だという証拠なのでは?
「もうだいじょうぶです……誰にもいわないからぁ……しますか? しませんか? あなたを想ってとろとろなのに」
くっ! なんて巧みな話術なんだ!
俺の首を抱き寄せて、耳元で囁く。
「悪魔だから……孕まないし、好きにしていいんですよ?」
くっ。うお。うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
◆
「で、なんなん」
「……悪魔れーす」
枕を抱き締めて至福の顔で寝ている裸のコハナ。
ちゃんは不要だ、悪魔だし。
「尻尾はどうごまかしてるんだ」
「幻術れーす」
「……クルルの呪いについて知ってるのか」
「それなりれーす……くふ、くふふふ」
ごろごろ転がって俺の身体にぶつかってくる。
「男の淫魔も顔負けのテクれした。すごいのれすね、勇者さん」
ろれつも回らないくらい励んだわりには元気ですね。
「んー……こんなにすごいとは正直思いませんでした。港町に張っていた甲斐があったにゃあ」
とんだ経験者でした。
経験者ゆえの超絶テクはクルルともクラリスとも違う威力をもっていました。
俺は正直足腰がたちません。
「人生ではじめてですー。ねえねえ、まだこの街にいるならしばらく一緒に住みません?」
「やたら気に入ってくれたのはいいが……魔王について聞かせてくれ」
「んぅ? んー……話したらまたしてくれますか?」
欲望に素直か! この悪魔め!
「全部話してくれたらな。交換条件だ」
「勇者にも得だから成立してないれーす」
「う」
「でもいいですよ」
なんだよそれ。
「コハナはね? 男を惑わす淫らな淫らな悪魔なのです。魔王に召喚されて、お願いされたから……本当ならここで勇者ご一行を足止めする予定だったんですよね」
「ばりばり敵やんけ」
「でもでもぉ。別に魔王が主とかそういうんじゃないしぃ……勇者がコハナと契約してくれるんなら、味方になって、道案内だってしてあげてもいいんですよ?」
「マジで」
いや待て。悪魔が契約だって?
「代償はなんだ」
「そんなの……はむっ」
これにきまってるでしょ、と懐刀を愛でるコハナ。
マジで……クルルの言うとおりだった。
あの夜のあれは営業だったのだ。
まるで男を知らないあの初心で、だけど男心を擽るあれは! すべて! 嘘だった!
しかしこれはこれで! あの顔でこんな! 待て!
「これ以上は話せなくなりそうなんでやめてくだちい」
「ふぁーい」
言うとおりにするんだから案外素直。
なら……いっそ聞いてみるか。
「クルルの呪い、解けないか?」
「ああ、あの魔法使いの子の? 見ただけで気づいたけど、まあコハナはそんじょそこらの魔物と違うし只者ではないんで、はっきりいって楽勝ですね」
「……おお」
「コハナと一発やれば済むかな」
「……おお?」
どういう理屈なん。
それすごいことなんじゃないですか。それすごいことなんじゃないですか。
え、もしかしてすごいもの見れちゃうんじゃないですか。
「多分だけど、産まれながらに何らかの理由で魔界と回路が繋がっていたんじゃないかな。だから膨大な魔力を得てる。けどそれに代償はつきものですから」
「魔法を使ったら発情する、か……待てよ? 呪いを解いたら弱体化したりしないか?」
「べっつにー。コハナと回路を繋げるだけですし」
「……それでなんで弱体化しないんだ? お前ほんとにただの悪魔か?」
「くふ★」
しょうがないにゃあ、と言いながら身体を起こして、俺の背中に抱きついてくる。
ふにゅんとつぶれるおっぱいぱい。落ち着け。
「人間に比べて魔物は魔力を生み出す力が強いの。対して人間は魔力を蓄積し、印章にして身体に刻みつけるわけです」
クルルの右腕に刻まれた証……いや、印か。
「あの子くらい刻んだら、その身体はもう魔物……いいえ、悪魔と変わりません。それに長く回路が繋がっていたから、生み出す力も同じくらいに引き上げられてます。その代わり……代償として、悪魔と同じような振る舞いをしてしまうほど、身体の何かが壊れてもいます」
「それが発情か」
「呪いは解けるし魔力にも影響ないですよ。悪魔にしかわからない理屈だから、理解できないのもしょうがないけどー」
解きたいなら解いてあげるから、一発やらせろ、と。
コハナのしたいように任せてマグロになりながら(いいようにされる俺どうよ)、悩む。
クルルに包み隠さず話すべきか。
言ったら傷つけてしまう。でも言わずにいるのもどうかと思う。
「んっ……まあ、でもぉ? 魔界と回路が繋がっている以上、魔王にもいろいろ筒抜けなんじゃないかなあ……あっ。ひょっとしたら北の島国で……魔法使いの弱点となる男の淫魔が山ほど待ち構えていたりして……いっ」
腰を動かしながら言うんじゃない!
それにそれは……困る。いやだ。コハナと繋がっている俺のそれはまぎれもなくわがままだが。
パンツをくれるクルルたちが敵に回ったら、途端に俺は武器なしになるし。
断じて困る。
「んっ、ねえ……うごいてくださいよう。そうしなきゃ、教えてあげませんよ?」
「わかった……で?」
「そ、そう……そう……えっと……んと、あの呪いが、あったら、弱点をさらして、いくような……ものかも」
しなだれかかってきても尚、貪欲。
なにが、とはいうまい。
「どうします?」
悩むことないな。
「じゃあ解いてくれ」
「ん……しおわったら、ね? ハルブに潜入して長い、けど……人と、するの、はじめて……すごい、いい」
「う……ううん」
ここへきて元気になるワード吐かないでもらいたい。
「さあ、契約……しましょう? 悪魔との……魂の、けいやく……」
そういって唇を塞いでくた。
入り込んできた舌が俺の舌に何かを刻みつけていく。
痛くはない。ただ気持ちいい。それがいかにも……危ない。何せ相手は悪魔なのだから。
いやあ、因業ばかり溜まっていくなあ!
ステータス異常がどんどん酷くなっていくし。
悪魔と契約て、どうなん? 勇者的にどうなん?
そういやペロリが聖女みたいなもんなんだっけ。
明日にでも罪を告白しよう。
清めてもらおう。そうしないと酷い目にあう気がする。
それに悩みがある。
クルルにどう説明したものか。
案外、酷い目にあうのはそう遠い話じゃなさそうだ。
つづく。




