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タイトル未定2026/04/12 02:52

 授業が終わり、日が暮れてすっかり暗くなった繁華街の中を、流花はのんびり歩いていた。

 講義を終え、自習室で渚と佐野と田中の四人で今日やった講義の復習をしていたら、いつの間にか時間が経っていた。

 繁華街は昼間と変わらず、人波が絶えなかった。

 その中で見たことがあった、大柄で広い背中を見かけた流花は声をかけた。

「馬場さん」

 流花に声をかけられた馬場は、立ち止まって振り返った。

「シロちゃん、久しぶり!元気だった?」

「はい。馬場さん、仕事の帰りですか?」

「そうそう。シロちゃんは?」

「大学の帰りです。講義の後、友達と復習をしていたらこんな時間になりました」

「おぉ、しっかり学生しているなぁ」

 流花は、思わず笑った。

 大柄で長身な馬場と、馬場より背が少しだけ低い流花が並んだ。

「俺、夕飯まだなんだ。シロちゃん、よかったら一緒に飯を食べに行かない?」

 流花は、ためらいがちに言った。

「良いんですか?」

「もちろん!」

 馬場が歩き出すと、流花も一緒に歩き出した。


 繁華街を歩きながら、馬場は言った。

「俺酒が飲みたいから、居酒屋でも良い?」

「はい。どこの居酒屋ですか?」 

「路地を通った、居酒屋だよ」

「なんだか、秘密めいた場所にあるんですね」

「居酒屋初めて?」

「はい。学生だから」

「シロちゃん大人っぽいから、初めてって感じがしないなぁ。じゃぁ今夜は、居酒屋デビューだな」

 馬場言葉に、流花は笑い声をあげた。


 華やかな繁華街から、細い路地を歩いていくと、何件かの居酒屋が連なっていた。

 その通りにある、一軒の店の前に馬場は立った。

 店の入り口には「酒」と言う字が書かれた、大きな赤ちょうちんをぶら下がっていた。

 馬場は、流花を振り返った。

「ここで、いい?」

「はい」

 二人はのれんをくぐり、店の中へ入って行った。

 店内は、コの字型カウンターが、三つ並んでいた。

 客層は、サラリーマンや五十代以上の男性客が店内をしめていて、女性客は流花一人だった。

 さすがに、流花は気後れをしていた。

 馬場の広い背中に、隠れるように歩いた。

 かろうじて空いていた席に、流花と馬場は座った。

「こんな所でごめん。もっと、おしゃれな店が良かったよな。俺、こう言うとこしか知らなくて」

 少し硬い表情をしていた流花は、ゆっくりと首を横に振った。

 目の前にあるメニュー表を流花に手渡しをしながら、馬場は言った。

「俺が奢るから、じゃんじゃん頼んでよ」

「でも……」

「遠慮するなって!少しは俺に、かっこつけさせろよ」

 流花は、少しだけ笑顔になった。

「はい。じゃぁ、今夜は甘えちゃいます」

「良いねぇ。まずは、生いこうかな。シロちゃんは?」

「私も、同じので」

「えっ、シロちゃん飲めるの?」

「はい」

 驚いた馬場は、流花をみつめた。

「飲んで、大丈夫?」

「大丈夫です」

「わかった!お〜い生二つ!」

 馬場はカウンター席から、大きな声を張り上げた。

 店のあちらこちらから、店員たちの返事の声が聞こえた。

 注文した生ビールと一緒に、お通しの枝豆も来た。

「乾杯」

 流花と馬場は、ジョッキを持ち上げて言った。

 生ビールを、軽く半分程飲んだ流花はそっと言った

「あぁ、美味しい」

「良いねぇ。普段から、よく飲むの?」

 馬場の質問に、流花は答えなかった。

「飲んでいるんだな」

 ニヤリとした馬場は、さらに流花に聞いてきた。

「いつ頃から、飲むようになった?」

 流花は生ビールを飲み、ジョッキを置くと馬場を見つめて答えた。

「ん〜中学の、終わり頃かな」

「マジか!」

「マジです」

 馬場は、流花の背中を叩いて笑いながら言った。

「よぉし……今夜は、飲んで食いまくろう!何にするか?」

 馬場がメニュー表を広げると、流花は馬場にもたれるように、メニュー表を眺めた。

「やっぱ、焼き鳥の盛り合わせだよな。焼き鳥好き?」

「大好きです」

「内臓系とか、平気?」

「なんでも、いけます」

「良いね〜シロちゃんも、頼んでよ」

「そうね〜だし巻き卵と塩ダレキャベツを、お願いします」

「おっとぉ、そこはやっぱ乙女だな」

「じゃあ、オヤジ系いっちゃいます?」

「良いね〜オヤジ系。食いもんは何?」

「もつ煮込み!」

「オヤジぃ〜」

 馬場が声を張り上げると、流花と馬場は揃って、声をあげて笑った。


 追加をした生ビールと、料理が次々に運ばれてきた。

 流花は、馬場に聞いてきた。

「赤井さん、いつ頃帰ってくるんですか?」

「それが、まだわからないんだよ。ラインを送っても、素っ気ない返事しか返ってこないし」

「やっぱり馬場さんたちや、スイと離ればなれになって、淋しいのかな」

「スイちゃん、元気?」

「久々に会ったけど、元気なふりをしていて、寂しかったです」

「スイちゃんマスターにまだ、惚れているのか。惚れていても、赤井と離ればなれになって、やっぱ寂しいんだ」

「スイに、何も言ってあげられなかった」

「それで良いよ。こればかりは、本人たちの問題だから」

 流花は、馬場をじっとみつめた。

「馬場さん……まともなことが、言えるんですね」

「ゴラァ、大人をなめるじゃねぇ」

 流花は、声をあげて笑った。

 二人とも、二杯目のジョッキは既に空だった。

 運ばれてきた料理も、既になくなっていた。

「次は、酒にしようかな。冷酒にしよう。シロちゃんは、何にする?」

「何にしようかな」

「冷酒とか、飲める?」

「さすがに、飲んだことないなぁ。飲んでみようかな」

「良いねぇ」

 馬場は、冷酒を注文し

 冷酒はすぐ運ばてきた。流花は、恐る恐る冷酒を飲んだ。

 冷酒を飲む流花に、馬場は聞いてきた。

「どう?」

「……美味しい」

 流花の表情は、酔った感じがしなかった。

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