タイトル未定2026/04/12 03:17
流花が渚達と買い物をしていた頃、若菜はキャリーバッグを手にして、新幹線のホームに立っていた。
若菜にとって、初めての一人旅だった。
馬場やちはるに背中を押され、赤井に会う為、赤井の出張先を目指していた。
初めての一人旅と赤井に会いに行く、緊張と不安と少しの喜びを若菜は抱えていた。
新幹線が到着すると、若菜はキャリーバッグを引きながら、新幹線に乗り込んだ。
車内は混み合っていたが、なんとか座ることができた。
新幹線はスピードを上げて走り出し、都会の景色から住宅街の景色に変わっていった。
いくつかの駅を通過して、新幹線の駅を降りると、都会ほどではないが、ビルが立ち並んでいた。
若菜はバスに乗ると、ビル街から風景は住宅街に移り、さらに遠くには山々が見えてきた。
目的の停留所に若菜が降りると、昔ながらの商店街が並んでいた。
若菜は、商店街を眺めながら歩道を歩いた。
商店街の中にある煎餅屋に目がとまった。
店頭のケースの中には、いろんな煎餅が並んでいた。
店内は狭く、売っている煎餅は店頭のケースのみだった。
若菜は、定番の醤油煎餅を選んだ。
店を出る時、商店街の地図が載った無料配布のプリントが置かれていた。
プリントを一A枚手にして若菜は、店を出た。
店を出た後、邪魔にならないように、歩道の隅によってプリントを眺めた。
プリントには、神社のイラストが記載されていた。
若菜は、神社に向かって歩き出した。
歩き続けていると、目指していた神社が見えてきた。
神社は奥行きがあり、ちゃんと駐車場があった。
若菜は真っ直ぐ歩き、賽銭箱に小銭を入れ、鐘を鳴らすと両手を合わせ目を閉じた。
お参りを終えた若菜は、神社の中にある社務所に行き、ピンク色の縁結びのお守りを買った。
袋に入ったお守りを、大事にハンドバックに入れ、若菜は再びキャリーバッグを引いて歩き出した。
商店街を歩いていた若菜は商店街を抜け、路地を通り抜けると、湖があった。
湖は大きくて広く、湖の周りには遊歩道がしっかり設置してあり、湖を眺めながら散歩やジョギングができる。
若菜は湖を眺めながら、住宅街を目指して歩いた。
……赤井さんって、こんな静かな所で暮らしているんだ。
そんなことを思いながら、若菜は歩いていた。
やがて住宅街に入っていき、赤井が住んでいるアパートが、見えてきた。
ここまでの道のりは、馬場から教わった。
アパートは、会社の寮として借りられていた。
少しだけ、年季が入ったアパートだったが、一人で住むにはじゅうぶんすぎる。
若菜は気持ちを落ち着かせるため目を閉じて、ゆっくり深呼吸をした。
若菜が目を開けた時、二階の部屋のドアが開き、赤井が出てきた。
……赤井さん!
そう叫びそうになったが、声にならなかった。
赤井は一人ではなかった。
赤井の後ろには、若菜と同じくらいの、150センチほどの背丈の女性が歩いていた。
階段を降りきった所で、赤井と女性は手を繋いで歩いた。
女性はショートカットで、明るい笑顔で赤井に寄り添うように歩き、赤井も楽しそうに歩いていた。
若菜は氷ついたように、立ち尽くしていた。




