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3月7日 十歳の祝いの日
未来の自分への手紙といってもこれとって思い浮かばなかった。
将来何をしているかなんか誰にもわからない。
私は授業中ずっと何も書けずに無駄に時間を過ごしていた。
結果として明日までの宿題となったが私としてはいくら時間があったとしても書ける気はしなかった。
無駄にペン回しの技術だけがうまくなっていくだけの時間に嫌気がさしてきて父に助言を求めることにした。
「お父さん。」
「どうした。」
「宿題でわからないことがあって。」
「あー。なんだ。」
父は少し不安そうな瞳をしていた。
「十年後へ自分の手紙が思いつかないの」
「なんだ、そんなことか。」
「なんだ?」
「ごめんごめん。そんなことじゃないよな。十分な悩みだ。」
「そうでしょ。」
「そんな手紙適当に書いたらどうだ。」
「適当って?」
「元気ですかとか?そんなのだよ。」
「でもそんな手紙十年後の私が受け取ったらいやな気分にならない。」
「うーん。どうだろうなー。」
父はそこでしばらく考え込んでしまった。
私も十年後という遠い未来に何を届ければいいのかわからなくなってしまっていた。




