第五事件 調査開始
前回までのあらすじ
謎の男、霊人を頼ることにした。ちなみにソファーは中古屋で買ったぽい。
「幽日か。ふふっ面白い」
「なんか文句あります?」
やはり無神経な男だ。だが、少しはこいつを……霊人さんを信頼できるかもしれない。
「では、調査を始めたい。今の時間だと……いけるか。」
「?」
「今から君の家を調査したい。」
「えっ今から?」
「あぁ今からだ。」
彼はそう言って席から離れて外出の準備を始めた。
「母に家を開けれるように交渉してくれないか?」
「今ですか?でも母は体調が悪いんですよ?」
「どうにかしてくれないと困る。……そういえば母は病院に行かせたのか?」
「まぁ。」
「それじゃあ病院から連絡があったとか言って外出させろ。」
なんと横暴な。だが、私は霊人さんの言った通り電話で母に交渉をした。母は少し迷って二つ返事で答えてくれた。正直心が痛い。
「交渉は済んだようだな。家から病院まで何分だ?」
「往復20分程です」
「十分だ。急ぐぞ。」
霊人さんは足早に扉を開けて、外に向かった。
家の前についた。夕日も出てきて、少し赤い。
「調査を始める。先に家の中に入ってくれ。」
私は、先に家に入り母がいないことを確認した。
「霊人さん!お母さんいないです。」
霊人さんは私の家をじっくり見回していた。
「どうかしたんですか?」
「やっぱり霊力が強いな。」
「はい?」
私の返事も無視して家の中に入ってきた。靴を脱ぎ捨ててドカドカと入る。
「霊力ってなんですか?」
私はたまらず質問をした。霊人さんは他人の家だと言うのにタンスなども開け始めて、色んなところを眺めて答えた。
「霊魂が持つ神秘的な力だ。そいつは感情によって強くなる。」
「はぁ……」
「もっと簡単に言おう。お前が感じてる怪奇現象の正体だ。」
一気にわかりやすくなった。その霊力を持つ幽霊こそが、母の体調不良を引き起こしている元凶だろう。
「これは?」
「これですか?父の遺影です。」
「ふーん。」
彼は父の遺影をじっくりと見つめている。赤の他人に自分の父の写真を見られるのはどこか恥ずかしいものがある。
「親父さんの死因は?」
「……失礼ですね。」
「調査に必要だ。答えてくれ。」
私は少し躊躇したが、怪奇現象をどうにかしたいと考える気持ちが強く答えることにした。
「父は……交通事故でなくなりました。」
「……そうか。嫌なことを聞いたな。詫びる。」
「そうゆう気持ちはあるんですね。」
「あるさ。親父さんはどんな人だった?」
「とても優しい人でした。私に色々教えてくれました。」
父は優しい人だった。数学ができなかった私に教えてくれたり、一緒にスポーツをしたり様々なことを……何かが私の頬を伝った。
「……あれ?」
「そんなに泣かれると困る。」
「私……泣いてる?」
泣いたのなんていつぶりだろう。
「泣いてる時間はない。お前の部屋も見せてもらう。」
「……ほんとにデリカシーないですね」
「効率重視なだけだ。」
なんか涙も引っ込んできた。霊人さんと一緒にいて泣いているなんてバカバカしく感じる。なんとも不思議な人だ。




