第三事件 致し方なし
前回までのあらすじ
押しかけてきた謎の男から逃げてきた。ちなみに情けない声で止めてきた。
翌日、私は学校だったため。朝から準備を始めて、家を出た。今日の授業は面白いものもなく、政治の授業で睡魔と戦かったりしながら、昼休みまで耐え忍んだ。
「また疲れてるって顔してるよ。」
「まぁ、ちょっとおかしなことがあって」
昨日あった。不思議な男の話を日代ちゃんにしてみた。話しながらなんともバカバカしい話だと思った。
彼女は楽しそうに話を聞いてくれた。まるで映画でも見ているように表情がコロコロ変わった。
「多分その人詐欺師だったと思うんだけどね。」
「そう?実は本当に探偵でした〜って可能性も全然あると思うけど。」
「え〜?そうかな。」
日代ちゃんは楽観的に男の正体を信じた。しばらくしてチャイムが鳴り、自然と解散した。
長い午後の授業が終わった。私は部活を引退しているためそそくさと帰りの支度をして、下駄箱に向かった。
まだ、暦的には夏前だと言うのにとても暑く感じる道を一人歩きながら足を家の方に運んだ。大学受験の勉強をしないとなと考えて、少し憂鬱な気分になった。
家の前に着いてポストを覗いた。水道管の修理を促すマグネットや寿司をデカデカと宣伝しているチラシが入っていた。手にチラシを抱えて家の扉を開けようと鍵を取り出したとき、チラシの中から一つの紙切れが落ちた。鍵を出すのを中断して、落ちた紙切れを拾う。その紙には奇妙な殴り書きがされていた。
”霊専門 探偵事務所
〇〇市〇〇区……”
見た瞬間、確信をした。昨日出会ったあの男が入れたものだと。必要最低限の住所のみで私の家からそれほど遠くない場所なのがわかった。
気持ちを切り替えて、家の鍵を取り出し、ドアノブをひねって、中に入った。チラシたちをダイニングの机の上に置いておいた。ただ一つあの奇妙な紙切れだけは私が持っておいた。
ある日、母の体調が以前にも増して悪化していた。私は必死に看病をしたが、
治らず、病院へ出向いた。だが、これと言って病気であるという証拠は見つからなかった。きっと何かしらのストレスでしょう。一応おくすり出しておきますね。と言われ会計を済ました後、家に帰ることにした。終始母は体調を悪そうにしていた。これはやはり霊のせいではないか。何かに取り憑かれたのではないか。そんな思考が頭を回った。
「やっぱり、幽霊のせいだよ。お祓いに行こうよ」
「幽日。そんな訳無いでしょ。そんなことにお金は使ってられないわよ。」
冷たい返しをされたが、確かにそうだと納得してしまう自分が何処かにいた。だが、そんな訳がないと考える私もいた。
家に帰って母はすぐ自身の部屋に戻った。私も自分の部屋に戻って、一体どうしようかと考えることにした。最初に思いついたのは母に内緒でお祓いをしてもらうことだった。だが、私だけお祓いをしたところでさほど意味などないし、家自体をお祓いをしてほしかった。
仮にできそうとなったところでお金がどのくらい出るかわからないし、母が許してはくれなそうだと思った。一体どうしようとまた一から思考を巡らせようとしたそのとき、机の上においたあの奇妙な紙切れが目に入った。
私はそれを手に持ってもう一度眺めた。霊専門 探偵事務所と住所しか書かれてないメモ帳を千切って書いただろう紙。あまり信じられなかったが、今はそれしか縋るものがなかった。




