じじいとじい様と弟子〕~その2~
「やっちまった、もう少し火加減調整したら昼飯になったのにちょっと見栄張って張り切り過ぎたぜ」
とんでもない火力でグレートボアを黒炭にしたマナは笑って語る
「い…今の魔法は…」
ライバもあまりの火力に何とか質問するのが手一杯だった
「お前が放ったファイヤーボールと同じもんだよ、魔力はかなり押さえ込んだけどミスって焼きすぎた、あれじゃ食えん」
マナは腹が空いていたのか残念そうに語る
ファイヤーボールは火属性の魔法使いが着火の魔法の次に覚えると言われている初歩の初歩という魔法で火球を生み出しコントロールするという火属性の基本動作の練習用の魔法だ
当然だが普通はあんな馬鹿げた火力が出せる物ではない
「それにしても貴族だから戦うか…良いじゃないか、カタナを見てる時よりよっぽど良い面してたぞ」
そう言うとマナは雑にライバの頭を撫でる
そこにもう一頭のグレートボアが森から飛び出してくる
グレートボアは群で行動する事があるのです一匹見掛けたら注意する必要がある魔物なのだ
「小僧、褒美に面白い物を見せてやろう」
マナはそう言うと念を込める
手のひらに集まった炎が剣の様な形状になる
「因みにだが俺様も剣術のスキルは一つも持って無いぜ」
そう言うとマナはグレートボアに切りかかる
その太刀筋は素人のライバから見ても拙いのは見て取れる
が、その炎の剣はかすっただけでグレートボアの皮膚を激しく焼いた
「面白いだろ、これが敵に魔法を直接叩き込む魔法剣だ、俺様のオリジナル魔法だがお前向きなんじゃないか?」
そう言うと今度は拳を石に変える
「工夫次第で四大元素全てを武器に変えられるぜ」
そう言うとマナは風魔法で空を飛び頭に石の拳を打ちつける
「さあ、仕上げだ」
マナは右手に風魔法、左手に火魔法を発生させる
「合体魔法、お前にこれのコントロールが出来る様になったら一人前として認めてやるよ」
そう言うと炎の風がグレートボアを一気に飲み込む
焼かれたグレートボアが轟音を立てて倒れる
「よし、この焼き加減なら昼飯になりそうだな」
そう言うとマナはライバに向かってVサインをして笑う
「これが…世界最強の魔法使い…」
おそらくは本気ではなかろう、それは子供のライバが見ても解る
だが、魔法の一つ一つの威力や精度、そしてどんな書物にも書かれていない魔法の数々は見られただけでも幸運と言えた
「どうよ、剣術も悪くは無いが魔法も強えだろ?」
マナはライバの方に歩みながら笑う
「魔法剣…魔法を飛ばすのではなく直接叩き込む…剣士のスキルが無くても剣士として戦えるんですね」
ライバは自分の持つ四大元素魔法のスキルに可能性を見た
「使いこなせるならな、俺様の弟子になるなら教えてやるぞ」
マナはライバを勧誘する
これでマナも弟子に芽ぐまれないだけで弟子はほしいのだ
「お願い…します」
ライバはマナに深く頭を下げる
「いいねいいね、ガキはこう素直な方が可愛げもあるってもんだ」
マナの頭の中には申し出をあっさり断ったカタナの姿が思い浮かぶ
「俺様の修行は厳しいからな、逃げ出すなよ?」
そう言ってマナはライバに手を差し出す
「はい、師匠!」
ライバはそう言うとマナの手を取る
こうして魔道士界隈を震撼させる師弟が誕生したのである




