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じじいと爺さんと弟子

話は数日前に遡る

ライバがマナ・ライに引っ張られ強引に連れられて行った先は開拓中の畑だった

「ホレよ」

マナはそう言うとライバに鍬を手渡す

「えっと…これで何をしろと?」

魔法の杖、という訳でも無さそうなそれを見詰めてライバは困った顔をする

「決まってんだろ、耕すんだよ」

マナは当たり前の様な顔でそう言うと近くの切り株に腰を下ろす

「こんなんでぼくは強くなれるのでしようか?」

意図が解らずライバはマナに質問をする

「四の五の言わずさっさと始めろ」

マナに怖い顔で睨まれライバは拒否する事が許されないと悟る

「硬い…」

仕方なく鍬を地面に入れて耕すが硬い地面は簡単には崩れない

「戦士だろうが魔法使いだろうが基礎体力は必要だぞ、小僧にはそれが足りなさ過ぎる」

マナは苦戦するライバに笑いながら言うと

「じゃあ体力作る為にやってるんですか?」

ライバは手を止めマナに問う

「誰が手を休めて良いと言った?」

マナはそう言うと魔法で動かしているそこらのら木の枝でライバの尻を叩く

「んぎゃっ」

痛くてライバは情けない声を出す

「体力を作るのはついでだ、目的は自分で考えな」

そう言うとマナは風の魔法で宙に浮き、そのまま居眠りを始める

「身体を作る以外に何の目的が有るって言うんだ」

ライバは硬い大地に悪戦苦闘しながら周囲を観察する

そこには自分以外の開拓者達が畑を耕す姿があった

オニという大型の戦闘種族

怖い噂は聞くものの実際目にする彼らは想像以上に文明的な生活をしている

オニが豪快に硬い地面に軽々と鍬を入れた後に続いて耕すのはかつてこの場所を追われた村人達だ

カタナの活躍で彼等は帰ってくる事が出来た

「ぼくだって機会があればそのくらい…」

口ではそうは言う物の、カタナと自分の差は歴然である

流石のライバもそれには気付いている

「ぼくにも剣の才能があれば…」

華々しいカタナの活躍を考えると武術に関するスキルを持たない自分とどうしても比較してしまい悲しくなる

「四大元素魔法の才能なんて欲しく無かった…」

武芸を重んじる騎士の国ソーディアスでどれだけ優れた魔法の才能があっても騎士になれない事は子供のライバにも解る

こんな地面一つ掘る事もままならない非力な自分が情けなくて涙が落ちる

「どうせぼくなんて…」

ライバがそう思っていた刹那、どこからか悲鳴が聞こえてくる

悲鳴の方に顔をやると巨大なイノシシが村人目掛けて突進していた

「危ない!」

ライバは何も出来ずその場で叫ぶ事しか出来なかった

イノシシが村人を襲う刹那、オニの農夫がイノシシの巨大なキバを両手で掴み突進を止める

「大丈夫ですか!」

オニが背後の村人に声をかける

「ひぃっオニ…」

助けてくれたオニに恐怖する村民

それを見たオニは少し寂しそうな顔をするがイノシシの方に再び顔をやるとキバを掴んだその腕に力を込めてイノシシを持ち上げ放り投げる

「俺の話はいい、兎に角この場から逃げなさい」

オニはそう言うと手にした鍬でイノシシに立ち向かう

「た、助けてくれぇ」

礼も言わずに村人は走っていく

その無礼な態度にライバは苛立ちを覚える

「グレートボアだな、流石に武器無しじゃしんどいだろうな」

ライバの横にいつの間にかマナが現れて言う

「それなら助けてあげてください」

ライバはマナの服を掴み懇願する

「本当にヤバくなったらな、ホレ見てみろよ」

マナはそう言うと戦っているオニの方に視線をやる

「ここは俺達の村だ、彼等ばかりに危険な事はさせないぞ!」

逃げたのとは別の村人が投石器でイノシシ相手に石を投げる

威力はそれ程では無さそうだがイノシシへの牽制となっていてオニへの攻撃が散漫になる

「なあ小僧、あいつらに投石のスキルがあると思うか?戦闘種族のオニに農耕のスキルがあると思うか?」

マナは問う

「無いだろうなぁ、じゃあなんでそんな効率の悪い事をしてると思う?」

マナが考える間も無く次々と言葉を発する

「三割」

マナが謎の数字を言う

「こんだけ必死に開墾して危険な目にあって国に税金として取られる農作物だ」

マナの言葉に父ハモンの言葉が頭を過る

我々は民の支払う税によって生かされている事を決して忘れてはならない

「小僧、お前の本質はなんだ?騎士になって、剣士になってカタナを見返す事か?」

マナがそう言った直後、投石に激怒したイノシシが村人の方に標的を変えて襲いかかる

が、イノシシは火球に打たれ炎に包まれる

ライバが放った魔法、火属性の初歩の攻撃魔法ファイヤーボールだ

「ぼくは英雄である前に貴族です、国の民を助けるのは貴族の責務です」

ライバはそう言い放つ

「結構な距離が有ったがいいコントロールだな、そして威力もそこそこあったしやるじゃねぇか」

マナはそう言うと小指の先に小さな火球を作り炎に包まれて暴れ回るイノシシに向かって放つ

その火球を受けたイノシシは一瞬にして炭になる

「お前の魔力の才能があればその内この程度なら出来る様になるぜ」

マナはそう言うと楽しそうに笑うのだった

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