じじいと女神の都合
少しして落ち着いたのかようやっとメイスイ様が会話可能な状態になった
「ワルドちゃんに衛くん…カタナくんの名付けの儀の時の不手際がバレちゃって、さっきまでずっと怒られてたの…もう怖くて怖くて…そしたらカタナくんが上位の水魔法を使っていたからそれを口実にここに逃げて来ました テヘペロ」
さっきまでって…もう七年怒られてたのか…苛烈じゃのぅ…
そしてそこから堂々と逃げてくるとかその後の事を相変わらず考えとらんのか、この神様は…
「成る程、事情は把握しました、それでどうなされるおつもりですかな?」
ワシはメイスイ様に問うた
この閉じた空間に引きこもりられたらワシが困るからのぅ
「うっ…」
メイスイ様は言葉に詰まる
やはり何も考えとらんかったか…
「そ、そうだ、ここに神殿を作ってください、暫くの間カタナくんの使った上位魔法の効果が機能しているか見届けます」
物凄い思い付きをしたといった風に満足気に朗らかにメイスイ様はニコニコとしながら言う
「流石に神殿は無理なので祠で勘弁願えませぬかのぅ?」
今のこの村に特定の神を祀る神殿を建築する余裕なんぞどこにも無いからのぅ
「うぐっ…祠せまいから嫌い…」
素晴らしいアイデアを一瞬で潰されたメイスイ様のテンションが一気に下がる
「王都の神殿ではダメなのですか?」
ワシは問うた
「あそこはね、ワルドちゃんのお家が近いから…」
しょんぼりした顔のメイスイ様が答える
まあ、確かに近いと言えば近いのじゃが
「とは言えここに神殿を作る余裕は御座いませぬので祠で我慢して頂くか王都の神殿に行かれるかお帰り頂くか決めて頂けますかのぅ」
ワシは冷たく突き放す
この神様の都合なんぞ一々聞いておれんからのぅ
「むぅ…じゃ、じゃあ祠で我慢すりゅ…ますので出来るだけ大きめで立派なのお願いします、変わりにこの村に私の祝福を与えますので、この通り!」
メイスイ様は両手を合わせてワシに懇願する
本当に大丈夫なのじゃろうか、この神様は…
「ぜ…善処します…」
神様に拝み倒されたワシはそう答えるより無かった
「わーい、約束だよカタナくん」
ワルド様から逃れられたのがよっぽど嬉しいのか小躍りするメイスイ様
すると視界が徐々に色付いて行く
どうやら神様タイムは終わりらしいのぅ
光輝いた場所からじわじわと水が溢れ出し始める
「レバニラくんも大賢人マナ・ライ様もこの場を離れてください、水に飲まれますよ」
ワシはそう言うと飛翔の魔法で宙に浮く
「その魔法完全に物にしたみたいじゃないか小僧」
マナはそう言うと同じ様に宙に浮く
レバニラくんもそれに続いて宙に浮く
レバニラくん、この短期間で色んな魔法が使える様になったみたいじゃのぅ
ワシらがギャラリー達が居る場所に着くタイミングを見計らったかの様に湧水は勢いを増して行った
「ソンさん、この場所に水神様の祠を建ててください、出来るだけ大きくて立派な物を」
ワシは近くにいた村長に指示を出す
「解りました、すぐに取り掛かりましょう」
ソンは短くそう返す
暴走して神殿を作らねば良いのじゃが
ここの住人は油断しとるとすぐに暴走するからのぅ
まあ何にせよ問題が一つ片付いたのぅ
残るは新しく移民してきた連中をどうするかだけじゃろうか?
正直これが一番厄介なのじゃがのぅ
ワシは手立てが無くただ途方にくれるのじゃった




