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じじいと池

父や叔父がワシが忙しくしていた時に遊んでましたという話をされた翌日の事じゃった

「若様様、ちょつと見て欲しい物がありまして」

日課の早朝トレーニングをしておると村長のソンが現れた

「それは俺達も見に行っても構わないのかな?」

偉くなっても鍛練を欠かさないパーパスと隣にヘルメットで顔を隠す怪しい国王もおった

「それは勿論来てくだされるのならこれ以上の喜びは御座いません」

ソンが領主である父パーパスに返事をする

隣の騎士が国王だと知ったら何を思うのかのぅ

少ししてワシらやまだ残っていた多くの来賓客が貯水池の予定地に集められた

既にほぼ完成しており水路まで万全に出来ておる

「いつの間にここまで進めたのですか?」

ワシはびっくりしてソンに問う

「ホッホッホ、今日の為に皆で頑張りました、若様の村を村民全員でお客様方にどうしても自慢したくてですな」

ソンは朗らかに笑いながら言う

「皆…ですか?」

ワシは新しく合流した村民の事を思い出す

「はい、皆です」

そう言うとソンは目配せをする

視線の先には黙々と作業をする村民の姿があった

旧村民、新しい村民、オニ、ドワーフ…

様々な人達がそこに居たのじゃ

「ヒッ、オニ…オニが居る…」

誰かの悲鳴にも似た声がする

昨日もおったのじゃがのぅ

その時大きな足踏みの音がして地面を揺らす

「俺の大切な領民を侮辱する事は誰であれ許さんぞ」

そう言うとパーパスが普段見せない怒気の混じった声を発する

ワシも初めて聞いたかも知れんのぅ

「気持ちは分かるけど落ち着いてね?」

ジョンがパーパスに耳打ちをする

「解ってるさ、でだ村長、これをただ見せたかった訳じゃ無いんだよな?」

パーパスは静まり返る作業現場で切り替えるかの様にソンに訪ねる

こういう気持ちの切り替えの早さは凄いのぅ

「はい、見せたいのはこれからでございます領主様」

たった今多くの人々けら忌諱の目を向けられていたとは思えない朗らかな笑顔で片手を上げて合図を送る

すると掘りの中心部の何もないところから二人の男が突然出現する

「カッカッカ、出番だぞ小僧」

大賢人マナ・ライとレバニラくんじゃ

「うっ…」

大勢の視線にレバニラくんは緊張しておる

「そこの有象無象のボンクラ共と鼻垂れ共、聞くがいい!隣に居る小僧はワシ唯一の直弟子、ライバ・コッパーだ、今から一週間かそこらで俺様が教えた大魔法をこいつが見せてやるから刮目して見ろ!」

結構な距離があるのにマナが大きな声で宣言をする

「直…弟子…」

「あの大賢人様の…」

世界最高の魔法使いが弟子を取ったという話のインパクトが強過ぎて周りはそれ以外の情報が入っておらん様じゃ

「煽るねぇ、ライの爺様」

パーパスが楽しそうに笑う

「結構本気で弟子は探してたんだよ、アレでも」

ジョンも楽しそうじゃ

そう言えばワシも以前弟子になれと言われたのぅ

「おおおお…お師匠様…そんなにハードル上げないでください…」

レバニラくんが震えながらマナに抗議する

「なに、気にすんな、俺様がお前の魔力を強化してやるから教えた事だけやりゃいい、派手なデビュー決めてやれ」

マナは可愛くもないウインクをして弟子に笑いかける

「わ…解りました…男は度胸…ですもんね…」

レバニラくんの腹は決まった様じゃ

「大地の精霊ノームよ…我が呼び掛けに応え我が願いを叶えたまえ…」

レバニラくんが魔法の詠唱をする

詠唱魔法は初めて見たのぅ

『魔法の詠唱:この世界では無詠唱魔法が基本ですが、より精度を高めたり魔力を集中する為に詠唱を唱える事もあります。ただ詠唱その物が失伝している事が多く詠唱を知らない魔法使いも多い様です』

ガイダンスさんが教えてくれる

成る程のぅ

ひ孫が読んどった本では無詠唱の方が凄いって書いてあったがここでは逆なのじゃな

『無詠唱は速さ、詠唱は確実さが求められるので一長一短です』

ガイダンスさんが会話してくれとる気がする

これも学習機能なのかのぅ

『このガイダンスは役に立ちましたか?』

ガイダンスさんの何時もの〆じゃな

ありがとう、大変参考になりました

『また何時でも声を掛けてください』

そう言うとガイダンスさんの気配が消える

レバニラくんの方に目をやるとハイホーとか歌い出しそうな小さなドワーフみたいなのが出現する

そのちっこいのが地面を持って居た木槌で叩くと掘ったばかりでまだまだ緩い地面を硬い岩盤に変えていく

池も水路もあっという間に補強されていった

「これは凄い…」

そもそもあまり魔法という物を見た事が無かった事もありワシは思わず漏らす

「うん、ボクも欲しくなるくらい凄かったよ彼」

ジョンが後方腕組み国王面で頷く

「親子共々返さんけどな」

パーパスもその光景にまんざらでも無いと言った風じゃ

「ほれ小僧、次はお前の番だぞ」

マナは大声でワシを呼びつけるのじゃった

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