じじいと父と叔父さん
日が暮れお祭りは一般客をメインにした飲めや歌えやの大騒ぎになっていた
「ここがカタナの国なんだね」
大騒ぎしてソンにぶん殴られるオニを見ながらジョンが笑って言う
「叔父上が国って言い方すると誤解されますよ」
ワシは呆れてジョンに言う
辺境のパーパス領の中でも更に辺境のラゴウ村
そこには一騎当千の戦闘奴隷を飼い慣らす王と血の繋がりがある地方領主の子供
の、国は色々と不味い表現じゃ
「ははは、冗談だよ」
相変わらず笑えない冗談が好きな男じゃ
「それでお二人は本日はどの様なご用件でしょうか?」
彼等がただの親バカ、甥バカなのは知っとるがそこまで暇では無いのも知っておる
「お前が手掛けてるもう一つの仕事の件と言えば解るか?」
パーパスが何時になく神妙な顔で言う
例の先王の長男次男のスキャンダルのはなじゃろうな
「話が大きくなり過ぎてね、流石のボクでも笑っちゃったよ」
ジョンがパーパスに続く
「経緯はコッパー卿から聞いているよ、大変だったね、ここからは大人のボク達がちゃんとするからカタナは気にしなくても大丈夫だよ」
そう言ってジョンは優しく微笑む
パーパスも顔は整っとる方じゃがやはり男前っぷりではジョンの方がずっと格上じゃのぅ
「それとだ…」
パーパスがバツの悪そうな顔をして顎を掻きながら言う
「お前、兄ちゃんになるぞカタナ」
おっと、そう来たか
「それとね、叔父さんにもなるんだよ」
パーパスとは対照的に優しそうな笑顔でジョンも続く
ワシが忙しくしとる間にコイツらは…
「それは楽しみです」
言うて子供の設定崩す訳にも行かず無邪気に喜んでる風にするしかなかろぅのぅ
「それでだね、今回の件で次期国王候補が何人か居てボクの味方になってくれる人が居るありがたさを思い知ったよ、これからも生まれてくる我が子をよろしく頼むよ」
そう微笑むながらワシに握手を求めてくる
「弟かなぁ、妹かなぁ、甥っ子かなぁ、姪っ子かなぁ」
ワシは気付かぬ振りをしてはしゃいで見せる
ややこしい話に巻き込まれてやる気もないからのぅ
そんなはしゃいで小躍りするワシを見てまだまだ子供だと二人は笑うのじゃった
翌日
ワシはパーパスとジョンの二人を旧村民寄り合い所…多目的会館の貴賓室に呼んだ
元々そんなもんは無かったのじゃが今回の祭りで偉いさんが来ても対応出来る様にと宿泊施設と応接室を用意しておいてくれたらしい
ソン、グッジョブじゃ
「それでですね、お二人を呼んだのはお願いがありまして…」
ワシはこの村の今後の展望を話した
多人種共存共栄、商業の発展、嘆きの森の開発…
どれも確実にこの国に莫大な富をもたらすじゃろう
「案としては素晴らしいんだけどね」
ジョンがワシの話を聞き感想を言う
「嘆きの森はそんなに甘い場所じゃない、それは父が長年監視をしていたからボクもそれを肌で知っている」
ジョンは続ける
「それをオニを中心に他人種の力でなんとかしようと言う発想は素晴らしいけど、人は残念ながらカタナが思っている以上に差別的で傲慢な生き物だよ…」
ジョンは少し悲しそうな顔をする
何かあったかのぅ
「父さんは応援してるよ、やれるところまでやったらいいさ」
パーパスはワシの案に賛同する
「でもな、嘆きの森の開発は父さんも反対だ、入り口付近の資源の利用なら構わないと思うが奥に入って開墾するのはちょっとリスクが大き過ぎる」
パーパスがワシを諭す様に言う
確かパーパスも嘆きの森の近くの村の出身じゃったな
「解りました、では今まで通り森の資源の利用に留めて森を切り開いていく方向は止めておきます」
地元の経験者二人が首を立てに振らんもんを強引に推し進めても未来は無かろう
「そうだね、そのレベルならボクも許可を出せるよ」
まだ納得をしていない感はある物の国王であるジョンの承認も得られた
「それはそうとカタナ、王都や俺の街から優秀な人材引き抜いて回ってるそうじゃないか」
パーパスが不意に話題を変える
「それは…そのぉ…」 ワシは両の人差し指をチョンチョンしながら誤魔化す
「おや、それは初耳だねぇカタナくん」
話に乗っかったジョンが悪そうな顔でワシに近付いてくる
「ダメぇ?」
ワシはかわいい顔で上目遣いにねだってみる
これ、成功率低いのじゃがのぅ
「あはは、全然構わないよ」
ワシの姿を見たジョンが笑いながら言う
「ただあんまり派手にやるな、嫉妬は受ける側になると結構面倒臭いからな」
今度は逆にパーパスが難しそうな顔で語る
…多分世界一派手な引き抜きをしてしもうた直後じゃ
ワシは当代随一と謡われる名工の引っ越しと商売の独占を確約したばかりじゃ
何も起こらんといいのじゃがのぃ




