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じじいとVIP

「覚えておりますでしょうか、モブデス家三女ダレヤネンです」

いや、本当に誰やねん…

村の顔役やら役職者やら商人やらが代わる代わる挨拶に来る

貴族やその子息も挨拶に来た

本当にちょっとした式典と化しておるのぅ

オニ達は今日の為に拵えた格好いい式典用の礼服を着て警備をしていた

「兄さん、あんまりカタナ様に馴れ馴れしくしないで貰えませんかねえ」

アカがアッシェを睨んで迫る

「んだ?客にケチ付けんのかぁ?」

アッシェも負けずに睨み返す

赤髪被りの二人がオデコを擦り合わせる勢いで接近して睨み合う

誰じゃ、悪そうな奴大抵友達とか言った奴は

「喧嘩は良くないですよ」

ワシは仲裁のつもりで二人のお尻を叩く

子供の背丈ではどうしてもその高さになる

「あっ…」

オデコを擦り合わせる勢いの距離にあった二人は違うもんを擦り合わせてしまうのじゃった

「ぼく、何かしちゃいました?」

不快感と馬鹿馬鹿しさから二人のヤンキーはおとなしくなったので一件落着じゃ、多分…

その時じゃった

「領主、パーパス・ランス辺境伯が参られました」

というソンの慌てふためく報告が入る

この数ヶ月はお互い忙しくて滅多に顔も合わせておらんかったパーパスが向こうからやってきた

「ここが噂のオニの村かぁ」

物珍しそうにパーパスが、やってくる

護衛の騎士を一人連れておるだけの様じゃ

まあ、この国最強の剣士に護衛が必よ…

「やってくれましたね父上…」

護衛の騎士、鎧の中身は国王でワシの叔父のジョンじゃ

ここは魔族との最前線じゃぞ、幾らコイツらに勝てる魔人クラスがそうは居ないと言っても大問題じゃ…

「あ、いいよ今日の主役はカタナだし俺は今日オフだから」

皆がひれ伏す中パーパスは村民達にフランクに話しかける

オフとかナナシ村の村民以外には通用しないんじゃよ

パーパスは平民上がりの英雄なので出世した今でもその感覚は抜けていない

が、それは彼自身の感覚の話でしかなく周囲から見れば勇者パーティ最強の物理アタッカーで王の妹を嫁に取った自分達の領主で直接統治しているワシの父親なのじゃ

「お久し振りです父上、隣の騎士殿のもオフなのですか?」

ワシはパーパスのところにすっ飛んでいって問う

「うーん、いやね、村が見たいって」

ヘルメットで顔を隠す騎士の正体が割れてる事に気付いているのかパーパスは目を合わせてくれない

「魔獣討伐、よくやった」

パーパスはそう言うとワシの頭を雑に撫でる

昔からこれは嫌いではない

「父さんがBランクの魔獣倒したの12歳の時だからなぁ、流石はカタナだ、凄いぞ」

パーパスは愉快そうに笑って話す

ワシ…111歳なのじゃが…本当にこの男は何者なのじゃろうか?

「剣のスキルで無理矢理倒せただけでぼくが何かした訳じゃありませんから」

ワシの言葉に周りが騒然とし、スミスが顔をしかめる

「武器にスキルを付与…だと…」

「そんな事が物理的に可能なのか!?」

ざわざわとそんな声が聞こえてくる

「いい武器を手に入れたみたいなだな」

パーパスはあまり気にしていない様じゃ

『スキルが付与された武器はこの世界においては特殊であり存在を知る者は少ないと思われます』

ガイダンスさんが教えてくれる

最近は特に親切じゃのぅ

これが学習機能というやつか

『お役に立てて何よりです』

そう言うとガイダンスさんの気配は消える

「お目出度い席で済まないが色々と話したい事は沢山あるんだ」

パーパスは神妙な顔で言う

まあ、そりゃそうじゃろうな

来訪者の顔を立て、護衛の騎士の正体を悟られん様にしつつ偉い人向けの式典は幕を閉じたのじゃった

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