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じじいのビジネス

連れ去られたレバニラくんの事は取り敢えず放っておいてワシはアッシェを連れ池の建築現場に向かった

「俺らに土木作業しろって話で?やってる連中見繕って来るのはワケ無いですが」

現場を見たアッシェが後頭部を掻きながら言う

まあ、人手は足りてるとは言わんがのぅ

「いえ、もっと複雑でお金になる話ですよ」

ワシはちょっといやらしい顔をして言う

「ビジネスの話ですかい、旦那の頼みと在れば何でもやりますが」

アッシェは飄々とした態度を崩さず答える

「水利権の管理をお任せしたい、あとこの村が発展したら裏側の顔も必要になって来ます、ガーディアスで中堅組織やってるよりいい話だと思いますがどうですか?」

要はラゴウの村の管理を任せたいという事じゃ

「旦那、簡単に言ってくれやすがね…ガーディアスどころか王都の連中も放って置きやせんぜ…」

それまでの飄々とした態度のまま固まったアッシェが言う

まあ、そりゃそうじゃろう

「どうせ今回の騒動が片付けば彼らの大半が弱体化して勢力拡大どころじゃなくなりますよ」

アッシェの残した手帳のリストの中には計らずも裏の大物の名前もこれでもかというくらいズラリと並んでいた

彼等の処分も避けては通れまい

「王宮派の方達がそれらを吸収する事になるのでしょうが、そしたら私が仕切ってるこの村にちょっかいなんて掛けて来ませんよ」

ワシはアッシェに近づき上目遣いに言う

食らえぷりちー眼力

「ほ…本当に七歳児なんですか、旦那は…」

アッシェはぷりちー眼力よりもワシの考えの方に怖れおののき後ずさる

「ダメぇ?」

ワシは両手を口許に持っていきうるうるした目で訴える

「ぐぐっ…あ…圧が…」

アッシェにはどうやらぷりちー攻撃は不評らしい

「出来れば知っている方にお願いしたいのです」

ワシはぷりちー攻撃を止めて真剣に訴える

「旦那…」

ワシの真剣な表情に遂にアッシェは落ちる

「あともう一つお願いがありまして」

ワシは更なる追い討ちを掛ける

「へいへい、この際なんでも言ってください」

アッシェは思わぬ追撃に何時もの軽口がでる

「この村商店が無いんですよ、支店が欲しいんですマース商会の」

ワシは指を立てて言う

「旦那…その名前はズルいですぜ…」

その名を聞いたアッシェはワシに背を向き言葉を紡ぐ

マース商会はアッシェが子供の頃に理不尽に潰された親がやっていた商会の名じゃ

今回の件が片付けば当然罪その物が消滅する訳じゃから再建は国としての義務でもある

何より自分達の飯の種であるハズの小悪党のスキャンダルを迷わず提供してくれた事には報いたい

「それじゃ悪ぃ事出来ねえじゃねえですか…」

アッシェは後ろを向いたまま返事をする

「善人になれとは言いませんよ、今までだって街の皆さんには悪さしてないって評判でしたよ」

ワシは駄菓子屋のマダムの顔を思いだしながら言う

「ここもその内そういう人が必要になります、それなら出来たらあなたが良い」

ワシの言葉にアッシェは両の手で頬をパンと叩いて振り返る

「一生着いて行きやすぜ、旦那」

そういうアッシェの顔は涙でグシャグシャになっておる

野暮は言うまい

「助かります、これからも宜しくお願いしますね、アッシェさん」

ワシはそう言うと今日一番のナチュラルぷりちースマイル10000点満点で笑っていた

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