じじい帰路に着く
ナナシ村からガーディアスまでの道のりは少し長い
馬車に揺られて十日程かのぅ
旅なれてないレバニラくんの口数は少なくなっていった
若いのにだらしがないのぅ
ひ孫が好きそうな読み物だとここらでお姫様やら大商人の娘やらが山賊に襲われてて助けを求めるところなのじゃろうがこのソーディアスは治安が良くそういうイベントはそう都合良くやっては…
やって来ないハズなのじゃがのぅ
馬車が止まる
「解ってるよなぁ、金目のもん置いてけば命までは取らねえさ」
下品な声がする
数は八人…と隠れてる奴か
お姫様じゃなくワシらが狙われとる
まあ、護衛も付いとらん豪華な馬車じゃからのぅ
「見ない顔ですがこの辺りの方では無いですね?」
ワシは馬車を降りて問う
「やめなよカタナ、危ないよ」
レバニラくんが必死てワシを止める
「あんなに沢山居たら勝てるわけ無いよ」
レバニラくんの言う事もまあ、尤もなのかも知れんがのぅ
「ケッケッケ、それじゃ少なきゃ勝てるみてえな言い方じゃないか」
賊の一人が笑って言う
「え?たった八人で私に勝てる気で居るんですか?」
ワシは笑ってる賊に向かって言うと石つぶてを明後日の方向に投げると茂みの中から間抜けな声が聞こえる
「失礼、12人でしたね」
ワシはぷりちーに笑って返す
「中々やるじゃねえか、だが12人じゃねえ、もっと居るぞ」
自信あり気に賊の男が言うが…
「今八人になりました」
ワシは賊に向かって言う
「何言って…」
そう言い掛けた賊の一人が倒れる
「これで七人ですね」
護衛が付いていないワケが無かろう
ずっとハモンのところの忍者みたいなのが着いて来とるわい
「ああ、後はやりますので」
ワシは誰に言うでもなく言う
「レバニラくん、この程度の数に任せるだけの賊に臆してたらダメだよ」
ワシはキーホルダーの軍刀を実体化させる
「王族の馬車に奇襲を掛けたのです、相応の罰は覚悟して貰いますよ?」
ワシは軍刀の刃を賊に向けて言う
「お…王族…?」
王族という言葉に賊の一人が反応する
ランス家の紋章が派手に描かれた族車仕様なのじゃが本当に他所者なのかも知れんのぅ
「へっ、そりゃいいや身代金で一財産稼げるじゃねえか」
後ろの方に居る二回りくらい大きな、そしてその体躯に負けない巨大な斧を担いだ大男が先頭に割って出る
「あなたが彼らのリーダーですか?」
ワシは大男に問う
「さあてな、俺はお前らを売っ払うもんだ」
大男がニヤケた顔で言う
意外と上手い切り返しじゃのぅ
「あなた達の人数でどうやって私達を浚うつもりなのですか?」
ワシは軍刀をキーホルダーに戻し腰に戻し大男に背を向ける
「チッ、旦那にはバレてましたか」
ワシらの馬車の天井にアッシェが座っておる
格好付ける為にわざわざ登ったと思うと可愛いのぅ
「けっ、一人増えただけじゃねえか!」
大男は強がるが、その刹那色んなところから無数の男達が姿を表す
100人近く居るじゃろうか?
「兄貴、陰でもうくたばってる連中がいますが」
その中の一人がアッシェに報告をする
「ああ気にすんな、殺ったのは客人の護衛で取り敢えずお仲間だ」
アッシェめ、ハモンのところの忍者みたいなのまで把握しとるとはやるのぅ
抵抗虚しく賊の集団は直ぐに取り押さえられ縛られる
「すんません旦那、縄張りを荒らしてるバカ共捕まえに来てただけなんですがね、巻き込んじまったみたいで」
アッシェはへらへらと笑いながら言う
どうせワシらをエサにおびき出したのじゃろうがな
「構いませんよ、彼らをどうするのですか?」
ワシはアッシェに問う
「あぁ、アレです、子供がそういうの考えなくて大丈夫ですよ」
アッシェが笑って答える
まあ、ろくな目には遇わんのじゃろうな
「そんな事より例の手帳ですが、お礼として今回は乗っかってあげますけど次からは相談してくれると嬉しいです」
ワシはぷりちージト目でアッシェを睨みなから言う
「いやはや、なんとも借りを作ってしまった様で」
アッシェは悪びれもせず後頭部をポリポリかきながら笑うのじゃった




