レバニラくん
ライバ・コッパー
彼に名字は無い
と言うよりは未成年で名字があるのは、王族くらいな物だ
彼の父、ハモン・コッパー・ナイフはソーディア王国の貴族である
若手政務官の出世頭で子爵に王手を掛けているとも言われている
武門こそ誉れとするソーディアス王国の貴族である彼も多分に漏れず相当な実力者である
ライバは父が勇者パーティ最強の剣士パーパスにも引けを取らないと考えている
ただ勇者や騎士ジョン・ソードと出会ったのがパーパスの方が運良く早かったから勇者パーティになれなかっただけ
彼はそう考えていた
自分も何時かは父の様に強くて立派な剣士になる
彼は何の疑問も無くそう信じていた
しかし、彼には剣士としての才能…
スキルが存在しなかった
大賢人マナ・ライの再来と言われる四大元素魔法全てに高レベルの適正がある
それを母は我が事の様に喜んでくれたが父が自分の能力を褒めた事は一度も無かった
やはり剣士としての才が無い事に絶望していたのか?
と幼心にライバの心は酷く傷付いた
そんな事を知ってか知らずか母はライバをとことん愛してくれた
その結果王族のカタナに無礼な振る舞いをしてしまい父ハモンに迷惑を掛けてしまった
ライバは父から益々嫌われてしまったと思い心が張り裂けそうになった
しかし実際には違った
父は多忙な時間を可能な限り割いて自分の為に時間を使ってくれる様になった
ライバは優しい母よりも厳しくて正しい父が大好きだった
しかし、勇者パーティの一角で国王のジョン・ソーディアスの友であるパーパスとその子カタナに無礼を働いた事で父が不利になる
そう思っていた
しかし現実は人手不足に悩むパーパスからの要請で左遷どころか出世街道を突き進む彼の右腕として雇われる事となった
幼いライバには何が起きたのか理解出来なかった
ただ、正しい父が正しく評価されている
その事が嬉しかった
今度カタナに会う機会が有れば癪だがちゃんと謝る
今度こそ父に恥をかかせる事の無い立派な貴族の息子として振る舞うと幼いライバは思った
時が流れ人伝にハモンがカタナの部下の様に振る舞っていると聞き複雑な気持ちになっていた
父親のパーパスはまだ解る
父とは歳も近いし腐っても勇者パーティの一角だからだ
しかしカタナは自分と同じ歳の子供だ
幾ら国王の甥と言っても大人の貴族を顎で使うなど我満ならない
そうライバは感じていた
そんな時父に会いにカタナが家を訪ねてきた
母は何時かの無礼を詫びようと接待に勤しんでいた
何時かの誓いを果たす為にライバはカタナに無礼を謝ろうとした
しかし、その無邪気に笑う笑顔を見ているとどうしても
腹が立ってしまいつい無礼を重ねてしまった
しかし、カタナはそんな自分を責めるどころか必要だと言ってくれた
この親子はどうなっているのか?
そんな事が頭を過る
その日の夜父が久し振りに家に帰り日中の話を聞いてライバの肩に手を置き外の世界を見てこいと言ってくれた
怒られると思っていたがハモンの表情は優しくて穏やかだった
レーバーニーラーくーん
朝から能天気な声がする
貴族の嗜みとして剣術の稽古をしていたライバはそのマヌケな声によって現実に戻されていた
あの男は一体何なのだろうか?
という当然の疑問が脳裏を過る
とは言え客人を待たせる訳にも行かないので慌てて身支度を整えて迎えに行く
そこには我が子と同じ年齢の子供に頭を下げている父の姿があった
自分の事をよろしく頼む
そう言って頭を下げている父の姿に不思議と嫌悪感は感じなかった
そこにはただ子を思う父親の姿があった
カタナと目が合う
不思議と心が落ち着く
その瞳は父や祖父のそれの様な安心感を与えてくれる
同じ子供なのにとライバは不思議に思った
彼の物語は今ここから始まる




