じじい時を待つ
ワシの中にワシの知らない記憶が
ハモンが手帳を持って王城へ赴く事になった
最早ワシに出る幕は無さそうじゃからのぅ
そこで久しぶりにオニ達の住むラゴウ村に視察に行く事にした
「お久しぶりにございます、カタナ様」
出迎えたのは村のオニ達を取り仕切る老人…の姿をした少年
鬼を支配する能力を持った鬼の特殊個体のソンじゃ
「その後村はどうですか?」
ワシはソンに訪ねる
「はい、オニの入植は進んでおります、あと近隣の村からの流入も増えておりまして…」
ソンは少し困った様な顔をする
「何か問題でも?」
この時代、人口はパワーじゃから人が居て困る事は無いハズじゃがのぅ
「食料問題が起きていまして…開墾のペースが追い付いておりません、後なのですが…」
ソンの言葉はどうにも歯切れが悪い
「私達の間で無用な気遣いは必要ありませんよ」
ワシの言葉にソンは思い口を開く
「はい、近隣の魔物から逃げる様にこの村に人が入るのは良いのですが、ヒト種が増えた事で我々に対する当たりが日増しに強くなっておりまして…旧村民の方々は我々を守ってくれておるのですが中々どうして難しく…」
相互の誤解が解けた連中と後から来た連中とで温度差が生まれている、といったところかのぅ
あっちも此方も上手くいかん物じゃ
「私の方で預かりましょう」
ワシはぷりちーに笑ってソンに返す
偉いさんが雁首揃えて難しい顔しとっても仕方がないからのぅ
しかし改めて見てみると村の発展は目覚ましいの一言じゃ
ドワーフの職人が住み着く様になってからは家や施設の建築速度が劇的に向上したのがよく解るのぅ
「そろそろウド商会の支部も考えないといけませんかね」
ワシは誰に言うでもなく呟く
ウド商会はこの村の目の前に広がる魔物や魔族の巣窟となっている嘆きの森で取れる生きた宝石とも評される上質な木材の取引をワシが唯一認めておる王都にある材木商の事じゃ
以前から遠くて手間だからラゴウ村に支店が作りたいと言われておった
森の魔物や魔族が村を時々襲撃するのが懸念材料じゃがのぅ
一度それでこの村は滅んでおる
「ガイさんと三人でお話しましょう」
ガイはこの村が滅びる以前の村の村民の代表であり村の再建が始まった事を知って帰ってきた連中の一人じゃ
ワシはソンに提案して旧村民集会所で話し合う事にした
ヒト族とオニ族で集会所を別けるのは分断の切っ掛けになるという理由でワシがここを多目的会場として誰にでも解放せよと強目に命令しとるから人だけで集まる事はほぼ無いようじゃ
「俺達もちょっと頭を抱えておりまして…」
ガイはワシが切り出すより前にワシに漏らす
まあ、そうじゃろうな
「あなた方でも説得は難しいのですか?」
オニはかつてこの世界を支配していた上位種族によって生み出された合成種族であり人類を弾圧する側じゃったからのぅ
とは言えそれはもう数百年も前の話じゃ
愚かな因習に振り回されとる場合ではない
「どうにも魔族とオニの区別が付いてない様でして…」
ガイは疲れた顔で言う
相当な負担になっておるに違いない
「新しく入ってきた連中をまとめる奴が居ないのも問題でして…個々人で好き勝手に噂を吹聴するので手が付けられません」
ガイもソンも相当に疲弊しておる様じゃ
「解りました、一度私が彼らと話をしてみましょう」
七歳児に色々とやらせるとは困った大人達じゃ




