じじい帰る
「本当に送らなくていいんですかい旦那?」
アッシェがワシに問う
ワシが一人で帰ると言ったからじゃ
「飛んで帰れば三日で帰れますので」
ワシはアッシェに返す
馬車では十日以上掛かる道のりも飛翔の魔法で飛べば三日もあれば帰れるのしゃ
「カタナ様、このバケイズナとマイズナもお持ちください」
アミシがザルに入った獲れ立ての魚を渡してくる
「ありがとうございますアミシさん」
ワシはアミシに礼を言いながらそれをアイテムボックスに収納する
「それでは皆さん、また来ますので」
ワシはそう言うと皆に見送られながら飛翔の魔法を使う
身体を風が纏う感覚を覚えると共にワシは宙に舞う
飛翔の魔法は便利じゃ
陸軍出身のワシには空の良さはイマイチじゃったがこうしてイザ飛んでみると戦闘機乗り達の気持ちも多少は理解出きる
しかしこんなに便利なのになんで飛んで移動する奴が少ないのかのぅ
その答えは直ぐに解った
『後方から接近する魔獣があります』
ガイダンスさんが警告する
後ろを見ると大きな鷲がこちらに向かってくる
『Cランクの魔獣のロック鳥です、巨大ですがそれだけの魔物です』
ガイダンスさんは簡単に言うがまるで爆撃機の様じゃ
ロック鳥は大きな口を開けて突っ込んでくる
ワシをエサだと思っとるのかのぅ
食われる刹那ワシは身を翻してかわす
早いのは早いが小回りは利かない様じゃな
ワシは速度を上げてロック鳥に近付き軍刀を実体化させ切り付ける
「ギェェェ!」
ロック鳥は痛みからか怒りからか咆哮をあげる
しかし相変わらずイマイチ攻撃が通らんのぅ
『魂喰らいがスキル鷹の目を獲得しました、スキル鷹の目Lv1を習得しました』
ガイダンスさんがスキルの獲得を告げる
ワシの軍刀は魂喰らいといって切ったもんのスキルをコピー出来るらしい
そんな事よりも鷲じゃなく鷹じゃったか
素人のワシにはよく解らんのぅ
ワシはロック鳥の背に乗り雑に切って回る
それを振り下ろそうとロック鳥は懸命に暴れておるがワシも飛んどる訳じゃから振り下ろされる事はない
あまり使いたくは無いのじゃが仕方がないかのぅ
ガイダンスさん、スキル虚竜化を使いますぞ
虚竜化は物体の大きさを一時的に変えるスキルで火力不足のワシの最大の切り札じゃ
『スキル虚竜化を発動します』
軍刀は一瞬の内に20メートル程の巨大な刀になる
巨体を誇るロック鳥もこれには堪らず刀に貫かれ絶命する
『称号小さな撃墜王を獲得しました』
飛行機乗りでもないのに撃墜マークを付けてしもうた、
少し嬉しいのぅ
『魔力が間もなく尽きます、墜ちる前に着陸する事を提案します』
ガイダンスさんがガス欠が近い事を告げる
これはいかんとワシは慌てて陸地に降りる
予定ではもう少し先に行けるつもりじゃったのじゃがのぅ
『戦闘により僅かに魔力の消費が増えました』
ガイダンスさんが教えてくれる
なるほどのぅ
そもそもワシはそこまで魔法は多用せんからガス欠も始めてじゃが放って置けばその内回復するじゃろう
気楽にワシは周囲を確認する
どうやら森の中の様じゃ
嘆きの森程の禍々しさみたいなもんは感じぬが生き物の気配は感じるのぅ
まだ明るいがワシは野宿の準備を始める
森は直ぐに暗くなるからのぅ
幸いにして野宿に必要な物は学園都市を出る前に大体買ってあるからアイテムボックスの中から取り出せばちょちょいのちょいじゃ
『アイテムボックス発動の為の魔力が足りません』
ガイダンスさんが言う
ぐぬぬっ、魔力使うのじゃのぅ
まあ、魔道具じゃからそりゃそうじゃな
仕方無くワシは近くに墜落したロック鳥の羽根をむしり簡易的なテントにした
取り敢えずこんなもんで十分じゃろう
ついででロック鳥の肉で飢えを凌いでその日は終えるのじゃった




