じじいの土産
コボルトの件と悩みの種じゃった風評問題が片付きワシは学校に帰る事にした
何時もの広場で遊ぶ子供の輪の中にコボルトの子が交じっておるのを見てワシは子供の柔軟さに感心するばかりじゃ
「お帰りですかカタナ様?」
ワシに声を掛ける者がおる
新村人で漁師達を束ねておる男、アミシじゃ
「漁の調子はどうですか?」
ワシはアミシに問う
「連日の大漁で怖いくらいです、他所に売っても安定供給が可能な程です」
アミシが言う
獲れ過ぎるくらい獲れているという事じゃろうか
「なので保存の為に干物にしたり塩漬けにしても居るんですよ」
男は楽しそうに言う 無理もない、魔獣に追われ漁が出来なくなって燻っておったのじゃからな
「その魚って学校の生徒に食べさせられる量とかって獲れますか?」
ワシはアミシに問うた
これだけのごちそうを独り占めするのも寂しいからのぅ
それに学園都市で評判になれば自ずと販路が広がると言う物じゃ
ワシは頭の中のそろばんを弾く、損して得取れじゃ
「そうですなぁ…量が量ですので頻繁には無理ですが学園都市に卸せるとなれば漁師にとっては誉れです、喜んでやらせて頂きますよ」
アミシは胸を張って言う
それ程の価値があるのじゃのぅ
『母神教は世界最大の宗派ですので納品される物は一流の証しとなります』
ガイダンスさんが教えてくれる
国どころか世界に認められた一流の証しというところかのぅ
神の奇跡で湧いて出てくる魚じゃ、品質じゃそこらの魚とは比較にならんじゃろう
「取り敢えず学園長先生に食べて貰いますのでサンプルを用意してください」
ワシはアミシに指示を出す
「え、聖人様にですか?それは一大事ですこうしてはおられません」
アミシはそう言うと一目散に走っていく
そう言えば学園長は総本山の幹部の一人とか言っておったのぅ
『学園長、ルーズ・ワルドは母神教序列二位の聖人であり各国の国王に比肩する権威を持っています』
学園長はそんな名前しとるのじゃのぅ
そこじゃない?
何にせよこれで気に入って貰えれば御の字じゃのぅ
ワシはその足で湖の社へと向かう
社…ワシは祠を作れと言ったのじゃがのぅ、気のせいか以前より立派になった気がするのぅ
『気のせいではありません、建造物だけで30%大きくなっています』
ガイダンスさんが教えてくれる
あ奴らワシの許可無くそんな事を…
もう一寸した神殿と化したそれをワシは呆れながら眺める
社の前でワシはかしわ手を打って祈る
大漁祈願
漁師の安全祈願
水神の暴走抑制祈願
実在して希に人と接触をしてくる上位存在とやらに祈りを捧げる事に意味はあるのかのぅ?
ワシは社に鎮座する本人とは似ても似つかぬ賢そうは女神の像を見てため息を吐く
その女神の像は凛々しく賢そうな姿で優しげに天を仰いでおるが、実際のメイスイ様はと言うと…
少し悲しくなりワシは考えるのを止める
「ここにおいででしたかカタナ様」
先ほど別れたアミシが現れる
手には袋を持っておる
ワシが袋に気付いたのを見てアミシが言う
「村の特産にと考えております乾燥させたイズナとイズナの塩漬け、それにイズナの薫製です」
イズナ?
『この湖で取れる鮎の名前です、この湖ではコイズナ、マイズナ、バケイズナの三種が取れます』
ガイダンスさんが教えてくれる
「本当はバケイズナのステーキを食べて欲しいんですがね、生の輸送はちょっと厳しくて」
アミシは言う
村から学園都市まで半月近く掛かるからのぅ
『アイテムボックスの内部は仮の神域に近く時間の流れが存在しませんので生のまま短期間に大量の輸送が可能です、ただしねだんは以前購入されたアイテムボックスの比ではありません』
ガイダンスさんが提案してくれる
それはとても魅力的な提案じゃのぅ
溜め込んだ小遣いはたけば買えるかのぅ
取り敢えずそれは後で考えるとするかのぅ
「解りました、取り敢えずぼくがアイテムボックスを持っていますから何匹か生の物も用意してください、学園長先生にはそれを食べて頂きます」
ワシはアミシに指示を出す
「解りました、では早速」
アミシはワシに袋を渡すと再び走り去って行くのじゃった




