じじいVSイライザ
コボルトを恐れるのまではまあ解る
じゃが後から来て先に居たオニにまで文句を言うの違うじゃろうに
目の前でヒステリックに騒ぐ連中に怒りより呆れが先に来てしまう
「後とか先とか関係ありません、この国はヒトの国です」
市民団体を自称する連中の代表のイライザは言う
「ソーディアスは古い歴史の中で王族にエルフの血が混ざった事もありヒトの国とは一概には言えませんよ?」
ワシは反論する
古代の科学文明が滅んだ後に暫くの間エルフによる魔法文明が栄えた歴史がありその際にエルフの王族と交わった者がこの国の建国の父であるというのは歴史の授業で学ぶレベルの話じゃ
「エルフは立派なヒトです、差別はしないでください!」
イライザはキンキンと吠える
煩いのぅ
「私にはエルフとオニとコボルトとヒトの違いがよく解りません」
ワシは率直な意見を言う
ワシは戦前の生まれじゃからな、八紘一宇なんて言葉も学校で教え込まれとる
今の若いもんにそれをどうこう言う気は無いがこういう異種族が同じ国に住んどる世界では流石に思うところはある
「ヒトと魔族の違いも解らないなんて話にならないですよ」
イライザは言う
一々腹の立つ小娘じゃのぅ
ババアじゃが
「オニは魔族ではありませんよ?」
ワシは的確にツッコミを入れていく
その内ボロも出すじゃろう
「オニは大昔の人が作った兵器です、生き物ですらありません、そんな事も知らないのですか?」
イライザは言う
「母神様に赦され人類として生きる事が認められて居ますよ、まさかあなた母神教の教義に従わないのですか?」
母神教は国どころかこの世界の最大宗教じゃからのぅ、これ出されたら勝てまいよ
「ググッ…ですがコボルトは違いますから、彼奴らはバケモノです」
オニの話が不利と見るや話をすり替えてくる
後でワルド様にコボルトも赦して貰えないな聞いてみるとするかのぅ
「コボルトはこの村の代官である私が赦しましたよ」
ワシはイライザの言葉をにこやかに流す
「そんなの横暴だ!」
イライザは大声をあげる
ガイダンスさん、面倒くさいのでなんか黙らせる手段無いですかのぅ
『村に流れているオニに対する悪意のある噂の出所はこの市民団体による物です、調査したらホコリどころか粗大ゴミが落ちてくると思いますよ』
ガイダンスさん、便利サポート機能どころかジョークまで言う様になりおった
じゃが良い情報じゃのぅ
「あなた方が村で不穏な噂を流して村人の対立を煽っているという情報があります、調べて厳重に処分する事としましょう」
ワシは冷たく言い放つ
「…そんな、デタラメですしそんな話今は関係無いじゃないですか!」
イライザは突然ぶっ込まれたワシの発言に困惑し抗議する
「あなた、誰に物を言ったのか少し冷静になって考えた方が良いですよ?」
ワシも腐っても王位継承者じゃからのぅ
意見を言うまでは良いのじゃが議論吹っ掛けていい相手かは考えんといかん
「誰か?」
ワシが声を掛けると新旧村民、オニ、ドワーフ、コボルトの若い連中が市民団体を取り囲む
「やっとお声を掛けてくださいやしたか旦那、こんな連中の話に耳貸すとかお優し過ぎますぜ」
アッシェがワシのところにやってくる
「彼等をご存知なんですか?」
ワシはアッシェに問う
「例の糞野郎の手先でさ、村を分断して混乱させたかったんでしょうね」
アッシェは苦虫を噛み潰した様な苦々しい顔をして言う
「まあ、いい機会になりやした、旦那のお陰で一網打尽でさ」
アッシェは苦笑混じりに言う
こういう時に暗部に精通しとるこの男がおると楽で助かるのぅ
「ではアッシェさん、確認と取り調べはお任せします」
ワシはアッシェに丸投げする事にした
「旦那、それってそう言う事で良いんですよね?」
アッシェはワシに確認を取る
「私はお任せしただけですよ、あと例の案件との繋がりについてもお願いします」
例の案件…
ジョンの政敵である公爵との繋がりは言うまでも無かろう
「ではマース商会ではなく個人的にやらせて頂きます」
アッシェは言う
マース商会は例の公爵の取り巻きに理不尽に潰されたアッシェの父がかつて営んでおった商会じゃ
この名で仕事をせんという事はマフィアのボスとして仕事をするという事じゃ
「よろしくお願いします」
実質的な死刑宣告をワシはするのじゃった




