じじいと使者
寮という名の離れの一軒家に帰ると見覚えのある男がワシを待っておった
「こんなに朝早くからどうされたのですか、アッシェさん」
そこに居ったのは小間切れアッシェの二つ名を持つ若い荒くれ物を束ねておるマフィアのボスじゃ
故あって今はワシの下に仕えておる
「朝早くからすんませんね旦那、緊急事態ってヤツでしてすっ飛んで来やした」
言い方は飄々としたもんじゃが穏やかな話という訳でも無さそうじゃ
「ラゴウ村に入植希望って連中が居ましてね、俺らでは判断しかねるので一度来て欲しいんでさ」
アッシェは難しそうな顔で言う
「どの様な方なのですか?」
ワシはアッシェに問う
「事前情報があると判断が鈍るかも知れません、村に来て直接判断してください」
アッシェは申し訳無さそうに言う
「解りました、では学園に届け出する必要も有りますので少しお待ちください」
ワシはそう言うとアッシェと別れる
何時もの様に朝食を済ませワシは学園の事務局へと足を運んだ
「申し訳ございますがカタナ様のお歳で領地運営の為の長期休学というのは前例が無く事務局では対応しかねます、学園長に判断を仰いで居りますのでお時間を頂けますか?」
事務局のお姉さんがワシに済まなさそうに言ってくる
それもそうじゃろうな
暫くして休学の許可が降り、ワシはその足でまだ早いのじゃが学校へと向かう
「おや早いね、カタナくんおはよう」
スタンプ先生がワシに声を掛けてくる
「おはようございます先生」
ワシは元気に挨拶をする
「申し訳ありませんが仕事で暫くここを離れねばならなくなり挨拶に参りました」
ワシは事情を伝えられる範囲で伝える
「なる程ねぇ、カタナくんも村一つとは言え代官だもんね」
スタンプ先生はどうやら納得してくれた様じゃ
「じゃあ社会体験授業の一環として単位はあげるから気を付けて行くんだよ」
スタンプ先生はそう言ってワシを見送ってくれた
単位はありがたいのぅ
「お待たせしましたアッシェさん」
ワシは諸々の手続きを済ませてアッシェと合流する
「滅相もございません、迷惑お掛けしてどうもすみませんです」
ワシの声を聞いたアッシェが恐縮する
学園からラゴウ村までは片道で半月程懸かる結構な長旅じゃ
ある程度の準備も必要になる
「旦那、魔道具にアイテムボックスってのがあるらしいですぜ」
アッシェが切り出してくる
アイテムボックスとは何じゃろうか?
『Q&A:アイテムボックスとは>空間転移魔法の応用で所持している物を一時的に別の空間に保管しておけるアイテムです、非常に便利ですが値が張るのが難点と言えます』
ガイダンスさんが教えてくれる
「じゃあ買ちゃいますか」
ワシは購入を決める
言うて高いもんでもあるまい
「大金貨二枚になります」
担当の人が値段を言う
目玉が飛び出る程の値段じゃった
買えなくは無いのじゃがのぅ
「ではよろしくお願いします」
じゃがワシは購入した
採算度外視の百貨店でこの金額じゃと他所じゃ幾らするか解った物ではないからのぅ
「本来であれば学生は学園内の通貨しか使えませんが、カタナ様には学園長より特に配慮する様にと申しつかっておりますのでソーディアス正通貨でのお買い物頂けます」
担当の人は言う
やはり学生は外からの財産の持ち込みは厳しいのじゃのぅ
ワシは数ある物の中から腕輪型の物を選んだ
指輪型とか便利そうじゃが腕輪型だと咄嗟の防具になるやも知れんからのぅ
「証文を書きますので支払いはランス家にお願いします」
そうしてワシは証文にサインをする
こんな大金当たり前じゃが持ち歩いたりはせんからのぅ
その後ワシらは必要な物資をアレやコレや買い込みアイテムボックスに放り込んだ
さて、ラゴウ村に行くとするかのぅ




