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じじいと大和国

少しばかり早起きしてしまったのでワシは早朝の散歩をしとった

早朝どころかまだ日も出とらん訳じゃが

薄暗い夜道を一人歩いておると目の前に男の影が見える

「あれぇ、なんでこんな時間にガキが彷徨いてんだ?」

長い髪をポニーテールにひて後ろにまとめ、着流しで帯に刀を一本差しておるその風体は浪人の様じゃった

「あなたこそ土地の方には見えませんがここにどの様なご用件でしょうか?」

ワシはその浪人風の男に問うた

「カッ、なんだぁこのお上品なガキは?」

浪人風の男はワシの言葉遣いが癇に障ったのか毒づく

「まあ何でも良い、可哀想だが見られたからには死んで貰うぞガキ」

そう言うと男は腰の刀を抜く

あの抜き方、素人じゃな

ワシはそう思いつつ腰のキーホルダーの刀を実体化させる

「ケッ、テメェみたいなガキが刀なんて武士の魂一丁前に握ってんじゃねえよ」

男はそう吠えると同時にワシに切りかかって来た

体格差で押し通すつもりだった様じゃがそれなりに鍛えとるワシを動かす事が叶わず突進は止められる

「ケッ、やるじゃねえか、よっ」

男がそう言うとそのままワシに蹴りを入れようとする

じゃがワシは自分の軍刀の柄を男の脚に振り下ろす

振り下ろした軍刀の鞘で脛を打ち付けられた男が堪らず距離を取る

生前のワシの流派の刀を使った近接打撃術じゃ

「小賢しい真似しやがって…」

そう男は言うと一瞬姿が消えて突如ワシの前に現れる

男は刀をワシに振り下ろすが虚しく刀は空を切る

「チイトとかいう奴ですか、あなた異世界人ですね?」

ワシは男に問う

「ああそうだよ、俺様は大和国の神撰組の隊士だ、と言えばその意味は解るよなぁ」

男は自信満々に言うがさっぱり解らん

ガイダンスさん、どういう意味か翻訳して欲しいのじゃが?

『大和国は中央大陸の東の外れにある島国ソラを占拠している異世界人達が自称している国家の名前で神撰組はそこの特殊部隊です、おそらくは昨日捉えられたカード狩りの奪還をしに来た物と思われます』

ガイダンスさんが教えてくれる

「よく解りませんが昨日捉えられた不審者を取り戻しに来たんですか?」

ワシは男に問う

「ギャハハ、あのキモオタ野郎が不審者か、こりゃ良いぜ」

男はワシの言葉にゲラゲラと笑い出す

「ああそうだよ、あんな不審者でも我が国の民なんでなぁ」

男は再び刀を構え直す

「お前達、そこで何をしている」

騒ぎを聞き付けた衛兵が数人の冒険者を引き連れて駆け寄る

「チッ、皆殺しにするのは訳無いが少々面倒臭ぇ…命拾いしたな、運の良いガキだぜ」

男はそう言うとまた消えてしまう

今度は先程の様な殺気は感じない、逃げおったのぅ

引き際は弁えておるという事か

ワシは軍刀をキーホルダー状に戻して腰に取り付ける

「君、大丈夫かい?」

衛兵が声を掛けてくるのでワシは状況を伝える

「あのカード狩りを取り戻しに…解りました、本件は学園長に報告致します」

衛兵はワシにそう伝えると早々に立ち去る

あんなのがゴロゴロと居るのか、少々厄介なお願いをされてしまったのかも知れんのぅ

少し空が明るくなって来たのでワシは衛兵の詰所へと向かった

カード狩りの尋問をする為にじゃ

面倒な事にだけはならん事を願うばかりじゃ

「なんだよお前」

詰所に行くなり不審者かワシを睨み付ける

「先程神撰組を名乗る方に会いましたが心当たりはありますか?」

ワシは不審者に問うた

「しっ神撰組だと!?ししし、知らないよ俺は何にも知らないよ」

男は明らかに動揺している

「あなたは大和国の国民だから連れ帰ると言っていましたが?」

ワシは襲撃された時の話をする

「誰だベラベラとしゃべりやがって、その上こんなガキに負けて逃げてんじゃ無えよ」

ワシの言葉を聞いた男は激しく動揺して騒ぎ出す

「じゃあお話、詳しくしましょうか」

ワシはぷりちーに微笑んで見せたのじゃった

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