じじい決闘(デュエル)
名付けて派手にやれば噂を聞き付けてエサが食い付く作戦、大成功じゃ
「知ってるぜ神のカードなんだろ、それ寄越せよ」
だらしなく肥え太った無精髭のおっさんがワシに何か言っておる
「差し上げる理由がありません」
ワシは努めて冷静に断る
正直あの楽しそうで元気なクラマに手を挙げる泣かせたというだけで腸は既に煮えくり返っておる
「反抗的だな、痛い目見なきゃ解らないみたいだなぁ」
そう言うと男は指をポキポキと鳴らす
関節痛めるからあんまり良くないのじゃがのぅ
「痛い目ですか」
ワシはそう言うと腰に着けているキーホルダー状の刀のオモチャを実物の大きさに変える
尤も、正確にはワシが生前使っとった三式軍刀のレプリカじゃが
「どう痛い目を見せて頂けるのか楽しみです…」
ワシは人様に向けてはならん様な殺気を男に向ける
「けっ、魔法の剣かよ」
男はワシの気配を読み取れないのか刀を見ても尚余裕を見せておる
「そんなもんで異世界転移者様がビビるかっての」
そう言うと男は名刺入れの様なケースから一枚のバトモンカードを取り出す
「俺のチート能力はカードの具現化だ、お前なんか俺の魔獣に掛かれば相手じゃ無いんだよ」
そう男が言うとバトモンカードが光り、中から魔獣が姿を現す
「いけ、グレートウルフっ」
出現した魔物に男が指示を出すがワシはその狼を一刀で切り伏せる
「なっ…」
その状況に男が短く声を出す
「私はベビーフェンリルを単独撃破しています、今さら下位種のグレートウルフでは勝負になりせんよ?」
ワシは益々凄んでみる
「クソチート野郎め」
男がなんか言っとるがそれはお互い様じゃろう
「だったらコイツはどうだ!」
男は次はゴブリンシャーマンを召喚する
じゃがワシはそれを魔法を発動する前に切り捨てる
「前衛無しで魔法使い出すとか素人ですか?」
ワシはそう言って男に近付く
そんなワシを見て男がニヤリと笑うのをワシは見逃さんかった
ガイダンスさん、地下に毒水を撒く魔法は無いかのぅ
『後の土壌の汚染などを配慮するとあまりお勧め出来ません、代案として土中の石を虚竜化で巨大化させて対象を潰す事を進言します』
ガイダンスさんがアドバイスしてくれる
確かに土を汚すのは良くないのぅ、採用じゃ
『スキル虚竜化を発動します』
ガイダンスさんが言う
虚竜化は対象を一時的に大きくしたり小さくしたり出来るスキルじゃ
一瞬地震の様に地面が揺れ軽く隆起したがすぐに元通りになる
「地下の伏せカードはこれで無効になりましたよ」
ワシの言葉にようやっと状況を理解出来たのか男は逃走を図る
が、日頃から運動しておらんのか本気を出すまでもなくワシはそれを追い越して回り込む
「まさか弱い子供からは暴力で略奪するのに相手が強ければ逃げるなんて言いませんのね?」
ワシは軍刀を相手の鼻っ柱に向けて言う
「あなたは三つの理由で詰んでいます、一つは強盗を繰り返した事、二つはその対象に子供を選んだ事…」
そう言うとワシは軍刀をくるりと返して男の頭を軍刀で殴る
「最後は王位継承者の私を襲撃してしまった事ですね、もう聞いていないでしょうが」
峰打ちと言っても鉄の塊で殴られたんじゃ、無事では済むまい
そこに騒ぎを聞き付けた学園都市の守衛が駆け付ける
「何が起きたのですか?」
守衛の一人がワシに問う
「噂のカード強盗に襲われたので返り討ちにしました、この方カードを実体化出来る能力者らしいので捕らえたらすぐにカードを探して全て取り上げてください」
ワシはそれだけ伝えるとその場を離れる
『スキル具現化の取得に成功しました、スキル具現化を習得しました』
ガイダンスさんのメッセージが頭の中に聞こえてくるのじゃった




