じじいと楽しい予防接種
捕らえられた男がどうなったのか、想像もしたく無いのぅ
神が実在して時々降臨する様な世界で一番影響力のある神の厳命を無視して子供に危害を与えた神官…
それもその宗教が一番力を持っているこの学園内でやるとはのぅ
想像もしたく無い
で、今まさにそんな守られるべき子供達が泣き叫ぶ地獄絵図が繰り広げられておる
予防接種じゃ
こればかりはどこの世界でもそう変わらんのじゃのぅ
どうせこれも異世界からもたらされたのじゃろうが
『成分はただの生理食塩水の様ですが扱われている塩水が水神の奇跡により生み出されていて防毒、坊呪、疫病耐性などの効果があります。』
ガイダンスさんが教えてくれる
医療と魔法の融合とは現代医学より進んどるかもしれんのぅ
『水神の加護によりより上位の能力を得ていますがトラブルを回避する為に接種される事を推奨します』
ガイダンスが注射を受けろと言っておるが流石にそれはワシでも解るがのぅ
それはそれとして毎回教えてくれて助かるのじゃ
『お役に立てて何よりです』
そう言うとガイダンスさんの気配は消える
「では次、カタナさん」
いつの間にやらワシの番になっとった
「腕を出してくださいね」
回りの子供は抵抗を試みている様じゃがワシは気にせず手を差し出す
「じゃあ消毒しますね」
そう言うと係の人は濡れた布でワシの腕を拭く
アルコールじゃない?
『水神の加護による聖水です、アルコール消毒より効果的で痛みも緩和する様です』
ガイダンスさんが教えてくれる
メイスイ様、思いの外仕事されとるのぅ
「終わりましたよ、我慢出来て偉いですね」
ガイダンスさんと会話しとる内に予防接種は終わっておった
『体内に水神の力を直接取り込んだ事で念話(水神)のスキルを獲得しました、何時でも水神と頭の中で会話する事が可能になりました』
ガイダンスさんの声がする
あまり欲しくない機能じゃのぅ…
その後も子供達の阿鼻叫喚は続き夕方には全員無事に予防接種を追えるのじゃった
「みんな、お疲れ様、今日はみんな偉かったから全員にスタンプを押してあげるよ」
夕方のホームルームで担任のスタンプ先生がそう言うと人差し指を振る
すると全員の顔の前にハンコが出現して全員の額にスタンプしていく
『今ので学園の新入生全員にスタンプを押した様です』
ガイダンスさんが教えてくれる
物凄い人数じゃろうに恐ろしい精度と魔力量じゃのぅ
「そうそうカタナくん、学園長先生が君を呼んでいるから後で学園長室に行ってね、場所は解るよね?」
不意にスタンプ先生がワシに声を掛けてくる
「解りました」
ワシは何も考えずにそれを了承する
内容は大方見当が付くのじゃが
「成績優秀で早くも学園長先生に直接褒められるからって調子に乗らないで欲しいですね」
ナスビの声が聞こえてくるが多分見当違いじゃぞナスビ
そう言えばナスビの身体測定の結果はどうだったのじゃろうか?
『中の下といったところでしょうか、ステータスは低くないのですが活かし切れていない様です』
ガイダンスさんが教えてくれる
まあ、修行の方針は人それぞれじゃから何とも言わんがボチボチ基礎は始めんと厳しいんじゃないかのぅ
余計なお世話かも知れんが
どうにもここに居るとどうしても親目線になってしまっていかんのぅ




