じじいと数字
次のテストは算数じゃな
一応二桁の足し算まで有るのか
初頭教育の出だしにしては割りと高度なものを出して来るのはおそらくこの世界の子供達の自立思考の高さから来る物じゃろう
皆ワシ程では無いにせよ当たり前の様に家業を手伝っておるからのぅ
数字はあまり得意とは言わぬがこのくらいは楽勝じゃよ
と書いていると手元にテンキーとかいうボタンが出現する
『計算機機能が搭載されています、よろしければお使いください』
ガイダンスさんが言う
流石のワシもこのくらいなら普通に解けるのじゃが…
そもそもこれ、ある程度基本が出来てないと使いこなせない気がするのじゃが
『必要なら別の演算機能も用意しています』
ガイダンスさんが教えてくれる
便利じゃのぅ
最早ガイダンスさんではなくこんぴーたーさんじゃな
『今まで通りガイダンスで結構です』
ガイダンスさんに断られてしもうた
『それではお困りでしたら何時でもお呼びください』
そう言うとガイダンスさんの気配が消える
算数のテストも速やかに終わらせたワシは今度は手紙を書く事にした
昨日メイスイ様と話をした通信の話じゃな
拝啓ラゴウ村の皆さん…
祠に置いてある鏡で通話が可能である旨をワシは書き留める
ワシは意地でもアレを神社や神殿とは認めてやらん
立場有る身というのも勿論有るのじゃが、ワシは祠を作れと言ったのじゃ
プンスカプン
手紙を書き終える頃にはテストは終わりを告げる
「何か一生懸命書いていたけど何を書いていたんだい?」
答案用紙を渡しに行くとスタンプ先生に再び声を掛けられる
「手紙です、ぼくこれでも村を一つ預かる代官なので」
ワシはそう言って笑う
「公務かい、精が出るね、普通は送料取るけど公務なら送料は国にツケて置くよ」
スタンプ先生が言う
成る程、普通は有料なのじゃな
そして背後から怪しい気配がする
「ぐぬぬ、私と同じ歳なのに村を一つ管理しているとは…」
ナスビが嫉妬とも羨望とも取れぬ怪しげなオーラをワシに向けておる
「知らないのですかマナビス様、カタナ様は廃村に巣食っていた魔族とドラゴンを倒して村を解放されたのですよ、その村に近隣の魔物被害を受けている方を受け入れて管理されているんです」
モブデス嬢がナスビにワシの事を教えておる
ドラゴンと言っても大きく見せ掛けてるだけのオオトカゲじゃったがのぅ
「わ、解っていますともそんな事、私だって軍勢を預けて頂ければそのくらい」
知らないと言われてるプライドが傷付いたのかナスビは声を荒げる「まあまあ、機会は何時でもありますよ、嘆きの森周辺はそんなところばかりですから」
ワシが会話に割って入る
モブデス嬢にやつあたりするのはちがうからのぅ
それはそれとしてバンゾーなら自分でやっつけると言ったじゃろう
子供とはいえ…いや、子供だからこそか、自分でやると言えないのはソーディアスの貴族として如何な物なのかのぅ
そう言えばバンゾーの奴は静かじゃがどうした?
奴ならいの一番に会話に入って来そうなのじゃがのぅ
…ダメだ、寝ておる
先ずは己に打ち勝つところからやらせんといかんのかも知れんのぅ
基礎を作る前の土台作りの為の整地をする前の草むしりから、といったところかのぅ
気持ち良さそうにイビキをかくバンゾーの姿を見てワシはその果てしなき道に途方にくれるのじゃった




