じじいの姉再び
食堂に到着する
食堂?
最早二百人は収容出来る多目的ホールじゃ
結婚式とか普通に出来そうな広さをしておる
「かーたーなー」
聞き覚えのある声が物凄い勢いで近付いてくる
回ひ…
こちらの思考すら凌ぐ早さで抱きつかれる
「ぬぐぐ、苦しいです…姉上…」
こんな事が出来る人物はワシが知る限り1人しか居ない
姉のシスじゃ
大賢人マナ・ライによって生まれた時に強化魔法を施されたとかで常人にはあり得ない動きをする
正直この娘でも王噛の単独撃破は可能じゃろう
「かーたーなー、可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い」
そして何よりワシへの愛が重い…
「姉上、みんなが見ていますので…」
恥ずかしさもあり苦しさもありワシはどうにか逃れる為の口実をひねり出す
言われてシスが周囲を見渡す
そこには突然の事で混乱していたり引いている子供達の姿があった
「……」
くんかくんかくんかくんか
ええい、無言でワシの頭の匂いを嗅ぐのも止めるのじゃ
「い…一旦落ち着こうか、シスくん…」
スタンプ先生が止めに入る
「キシャァァァッ」
弟を放すまいとシスは奇声を挙げる
ここまでじゃったかのぅ?
「シスくん、あまり困らせるならスタンプを押すよ?」
スタンプ先生がいつになく冷たい視線をシスに向ける
「はぁい…」
それを見て何かを察したシスがおとなしくワシから離れる
駄女神様の適当な名付けのせいで名は体を表すからのぅ、スタンプ先生の名前にも何かあるとは思っておったがシスすら従わせるとは恐るべしじゃな、スタンプ先生のスタンプ
「久し振りに家族に会えて嬉しいのは分かるけど今は食事の時間だからね、おとなしく席に戻りたまへ」
にこりと笑いながらスタンプ先生がシスに指示を出す
「みんな、びっくりさせてごめんね、じゃあご飯にしようか」
スタンプ先生が手をパンと叩いて笑顔で生徒達に言うと、それまで静かだった生徒達に活気が戻る
「ごめんねカタナくん、君のお姉さん君が大好きだから注意してねって連絡は来てたんだけどここまでとは思っていなかったよ」
スタンプ先生がワシに耳打ちする
「あはは、二年ぶりの再会で少し悪化してただけだとは思います」
ワシはそんなスタンプ先生に苦笑しながら答える
スタンプ先生が言うには伝統的に新入生は初日は高等部のお兄さんお姉さん達と食事をする事になっておるらしい
ちょうどシスがワシと入れ違いで高等部に進学していたので同じ食事の場になってしまった様じゃな
で、父パーパースが出世して叔父である国王のジョンが婚約発表をした二年前のパーティーの時以来の再会でテンションがおかしくなってしまったと
そんなところじゃろうか?
それにしても益々手の付けられない強さになっておる
特にあの速さは異常過ぎるじゃろ
『解析の結果シス・ランスのランクはSマイナス、もう一国の英雄クラスです』
ガイダンスさんが教えてくれる
解析機能まで付いたのは凄いのぅ
それと一国の英雄?
それならワシじゃなくシスに魔王倒させたら良いのでは無かろうかのぅ
という身も蓋も無い現実がワシの脳裏を過るのじゃった
「料理がまだ届いていない子は居ないかな?、居ないようだね、じゃあみんな料理を作ってくれた方達と豊かなソーディアスの恵みに感謝して頂きましょう」
「「「いまだきます」」」
スタンプ先生の号令と共に多くの子供達のいまだきますの声が食堂に響き渡るのじゃった




