じじいと野心家
「はい、次は闘技場だよ、まあ君達は先輩達の戦いの見物…見学が主な利用法だね」
スタンプ先生、今見物って言ったのぅ
ここはワシが試験を受けた時に使った場所じゃな
今も高等部の生徒同士で模擬線をしていて激しい切り合いや高度な攻防が繰り広げられておる
「因みに売店があってポップコーンがコスパ良くて見学にはオススメだよ」
スタンプ先生、生徒の鍛練が完全に娯楽扱いじゃのぅ…
中世にポップコーンはない?
この世界は異世界人がアホほど居る事を忘れてはいかん
「先生ぇ」
生徒の一人が手を上げる
「はい、そこのキミ」
生徒を指差し質問を許可する
「お金の持ち込み禁止されてましたけどどうやって買うんですか?」
生徒は質問する
入学前の説明によると学園では児童の格差を無くす為に金銭の持ち込みや仕送りは全面禁止らしいのじゃ
「いい質問だね、今年の生徒は本当に質がいい、この学園では月に一度学園からお小遣いが支給されるんだよ、みんな同じ額を貰うからお金の使い方も勉強しようね」
スタンプ先生は笑顔で答える
それを聞いたワシはハモンが学友と駄菓子屋で買い食いをしたと言っていた事を思い出した
「先生、ちょっと俺も良いですか?」
ハンゾーが手を上げる
「いいねいいね、質問どんどん頂戴」
スタンプ先生絶好調じゃのぅ
「俺達もこの施設使えるんですか?」
ハンゾーはワシがさっき言った様な事を言う
「どうだろうねぇ、一定の技量のある生徒なら認めても構わないけど全員って訳には行かないかな」
スタンプ先生がワシを見て言う
多分ワシは行けるのじゃろう
「俺、立派な戦士になりたいんですよ、立派な戦士になってスゲェ冒険者になるんです」
ハンゾーは鼻息荒く語っとる
確か彼は農家の出身で戦闘系スキル無かった様な気もするがのぅ
まあ、レバニラくんの様に努力したら開眼する事もあるやも知れんが、そこから一流を目指すのはしんどかろうのぅ
「そうだねぇ、取り敢えず十歳から基礎体力訓練が始まるからそれまでに高等部の先輩と同じくらいになれたら良いけど今はどちらにしてもダメだよ」
スタンプ先生はハンゾーを優しく諭す
「チェッ、今すぐにでも戦いたいのに」
ハンゾーは口を尖らせ拗ねる
どうしてそんなに戦士になりたいのかのぅ
「あの…」
ワシも恐る恐る手を上げる
「うん、カタナくんは好きに使って、魔獣は申請しないと使えないから対戦は高等部の先輩が基本になるけどね」
質問をする前に答えられてしもうたが、正直彼らでは相手にならんのぅ
また近隣の魔族や魔獣を苛めるかのぅ
『施設の性質上近隣の護衛は鉄壁なので近隣ではEランク以上の魔獣は滅多に出現しませんしゴブリンの集落も存在しません』
ガイダンスさんにも先に答えられてしもうた
これは少し問題かも知れんのぅ
実戦に勝る鍛練は無いからのぅ、困った物じゃ
「先生、そんな事よりお腹空きました」
生徒の一人が愚痴を漏らす
そろそろ昼飯時かのぅ
ソーディアスは比較的農業が盛んで肉体労働者が多い事もあり一日三食が基本となっておる
主食は芋やパンで肉は普段滅多に食わん
味付けはシンプルじゃが奥深くて豊かじゃ
「そうだね、そろそろお昼にしようか、さっき話した食堂の見学も一緒にしちゃおうか」
スタンプの提案に生徒達は喜びの声を挙げるのじゃった




