じじい試験を受ける
「試験と言っても難しい話じゃない」
ソーディアス王立初等学園の学園長ロゥリィは語る
「授業で使ってる魔獣をただ倒せば良い、簡単だろ?」
ロゥリィは笑う
その姿は本当に年端も行かぬ少女の様じゃ
80過ぎとるそうじゃが
「実技試験という事で宜しいですか?」
ワシはその愛らしい笑顔など気にも止めず真剣な顔で答える
「左様、出てきた魔獣をただ蹴散らせば合格だよ」
ロゥリィは更に続ける
「未来のある若者に危険な思いをさせる訳には行かないから本当に危険なら此方が勝手に試験を止めて君を助けるから安心して戦いなさい」
ロゥリィはそう言って微笑む
彼女の子供好きも真実なのじゃろう
「解りました」
ワシは短くそう返す
「武器も魔法も好きなだけ使いたまえ、強力な結界が張ってあるから施設が壊れる事は無いからね」
ロゥリィが言う
ルールつまり無用という事じゃな
「壊しても怒らないでくださいね?」
ワシは念の為に確認を取る
「ふふ、言いおる、君のお父様でも結界は破れなかったよ、約束しよう怒らないよ」
無知な子供を見るかの様にロゥリィは優しく笑う
パーパスも壊せない結果のぅ
ただワシも使ってる武器の魂喰らい…触れたものの能力を吸収する剣で何が出来るのかよく解っとらんからのぅ
万が一が無いとは言い切れん
「ありがとうございます、学園長様」
ワシはペコリと頭を下げる
「ほう、良く見ると君、可愛いね」
お辞儀をするワシにも聞こえる声でロゥリィが囁く
ワシはその声に寒気を感じた
あの神にしてこの信者ありじゃのぅ…
少ししてワシは闘技場に案内された
そこは野球場程の広さで何より…
「カタナ様ぁっ」
ワシの付き添いで来ておる執事長のアルが大声で声援を挙げる
それどころか沢山の学園関係者や児童が見物をしておる
「Cランクの魔獣を単独撃破した英雄の戦いだからね、生徒の勉強の為に見学させておくれ」
近くに居たロゥリィがワシに言う
「見るのは構いませんが、面白い物では無いですよ?」
ワシの戦い方は何と言うかこう、淡白で泥臭いからのぅ
英雄とは程遠いのじゃよ
「好きな様に戦いたまえ、私は上の客室で見ているからね」
そう言うとロゥリィは手を振りながら去っていく
「はてさて、何が出てくるのかのぅ」
久しぶりにこの身体でじじいの言葉が出る
そうこうしている内に入り口が閉じられ闘技場に閉じ込められる
それと同時に反対側の入り口が開き何かの足音が聞こえてくるのじゃった
ガイダンスさん…
ワシはガイダンスさんを呼びつける
入り口から何かが飛び出した刹那、ワシの魂喰らいは巨大な刀に変貌する
出てくるかどうかの状態で何もさせて貰えず哀れな魔獣は超巨大な軍刀に真っ二つにされてしまう
『魂喰らいの効果によりスキル、隠密走行Lv35を獲得しました、これにより隠密走行Lv1を習得しました』
何もせんのに何か貰ってしもうた
因みに何が出てきたのじゃろうか?
『現れたのはDランクの魔獣アサシンタイガーという肉食獣です、密林の暗殺者と呼ばれる害獣の一種に分類されていてその鋭利な牙はコレクターには高値で売れるそうです』
ガイダンスさんが教えてくれる
子供相手にいきなりDランクとはやってくれるのぅ
ワシは魂喰らいをキーホルダーサイズに戻し腰に着ける
周囲はあまりの出来事に理解が追い付かず静まり返る
まあ、やっとる事はただのインチキじゃからのぅ、褒められたもんじゃあるまいよ
「良いですぞ、流石はカタナ様ぁっ!」
アルが一人手を叩いてはしゃいでいる
その声に我に返った連中が次々に声を挙げて割れる様な喝采へと変わっていくのじゃった
「大口叩くだけの事はあるわね、流石は豪傑剣士のご子息、と言ったところかしら?」
ロゥリィだけが他とは違うところを見ていた
魔獣登場口の僅かな刀傷がそこにはあった




