8話
家への帰り道、俺は今かなり焦っている。
「なんだこれ?何でこんなにフラフラなんだ?」
足取りがおぼつかない。戦場から撤退したはいいが、少し経ったくらいから、調子が悪い。
こんなことは初めてだ。
「ああもう、ゴブリンいるじゃねーか。
無理だ。今だけは自信がない。」
1匹が行きたい方向で、うろちょろしている。遠回りするしかないか。
ゴブリンに見つからないように、右に曲がる。
目的地から離れたくないから、左への曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
「あっ、すんません」
「ギ?」
ゴブリン!棍棒もってやがる!
「グァ!」
ゴブリンが棍棒を横薙ぎにしてくる。
だめだ、避けきれない。
「ガッ!」
よかった。腹に受けたけど、そこまで痛くない。『強化』様々だ。
手には木刀がある。フラフラだけど、反撃しないといつか死ぬ。
「ハァ!」
片手で相手の肩口を狙う。そのあとは、首に突きをくれてやる。
「ギョ!?」
うわ、なんだこの手ごたえ。
いや、チャンスだ。
「もう一発!オラァ!」
「ゴギョ」
完璧に入った。木刀が首に吸い込まれていったと言っていい。
ここから、滅多打ちに入る予定だったけど、首の骨折ったな。
すごいな。すごいって今まで何回言った?そんなことはどうでもいいか。
これが、『剣術Lv20』の力か?
いや、そんなことはないか。それだったら、俺は学校の演習で死んでる。
『強化Lv9』もかけ合わさってのこの力か。
たしか「剣術」は、技術の取得が主だったスキルだったはずだ。力はそこまで上がらないと勉強した。
剣が思い通りに行ったのは『剣術』のおかげ、2撃で倒せたのは『強化』のおかげだな。
「……もういい。早く帰ろう。疲れた。」
もう戦わないと心に決めつつ、家路についた。
家に到着して、両親の言葉を無視して2階に上がり、ベッドに飛び込んだ。
「……もうだめ。よく生きてたな俺。
下手してたら、さっきの戦闘で死んでたぞ。」
そして、あっという間に寝てしまった。……いろいろ考えたかったのに。
翌朝、習慣化しているランニングと素振りをこなし、朝食を食べて学校に向かった。
ランニングの時に用心して木刀を持って行ったけど、ゴブリンはいないみたいだった。
騎士団がちゃんと片づけてくれたみたいだ。
教室に入るとかなりざわざわしていた。
もしかして、俺のスキルがばれた?
……違うな。クラス内でもいないやつがいるみたいだし、みんな怪我をしている。
昨日のことで興奮しているのか。最低でも火炎魔法君とフランちゃんは来ないだろう。
「よーし、お前ら席に着け。今日は授業せずに、防壁付近の処理を行う。」
先生がそう言うと、皆移動を開始した。
俺も行かなきゃな。一つだけ試したいことがある。
「あーと、ネクロだけはちょっとこっち来てくれ。」
まずい。なんだ?何を聞かれる?致命的なミスを犯したか?
「はい、なんですか?」
顔に出すな。後ろめたいことは何もやっていないんですぅ。
「お前、昨日どこにいた?」
嘘をつくか?いや、フランには顔を見られてる。ここは正直に言った方が無難だ。
一緒に戦闘に参加できなかったのは俺のせいではない。ここは本当だ。
「昨日はいつもと同じように、森で暴行を受けていました。
気絶してしまって、気づいた時にはあたりが暗くなっていました。」
先生は俺がいじめられているのは知っているはずだ。疑問をはさむ余地がない。
「そうか。まあいい。お前も防壁に向かえ。」
「わかりました。」
結局、何が聞きたかったのかわかんないな。
さて、防壁だ。試したいことがある。
死人からスキルを奪えるかだ。
皆なかなか作業をしないな。まあ、できればしたくはないよな。
そんな中率先して働く俺。社畜だな。
『スナッチ』!!
……やっぱりだめか。仕方ない。期待はしてなかった。
これができたら、大量殺人鬼になってたかもしれんしな。
あとは、目をつけられないように、適当に働くか。
作業終了後は、現地解散になった。昨日の今日だし、ちょうどいい。
『スナッチ』について考えたかったんだ。
3人組に捕まらないように、そそくさと帰った。
つーか、昼飯食ってない。今日はいいか。晩飯たくさん食べよ。
自分の部屋に戻り、考える。
まずは、『スナッチ』について分かってることもまとめるか。
1.相手のスキルを奪うことができる。
2.発動条件がある。
3.確率は10~15%くらい
4.現状15回程度使うと、フラフラになってしまう。
4番が一番嫌だな。学校で使いまくる予定だったのに。
1日10回までに抑えるか。これだけ使えば、1回は成功するはずだ。
そうなると、だれを狙うかが重要だな。のこりあと20日で卒業だ。
休みも入れれば、14、5日ってところか。
1日1つ奪えば、かなりの数奪れるな。
でも、それはできない。さすがに、14、5人もスキルがなくなれば怪しまれる。
何個奪うか……。どんな種類を奪うか……。
……3個にしよう。3人組からだ。あいつらなら、発動条件も満たしやすいし、解析系スキル持ちもいる。
サウロ、リック、アバンそれぞれ、『剣術』『解析』『体術』のはずだ。
『索敵』も欲しいけど、だれが持ってるかは知らない。
『解析』があれば、誰が持ってるかは分かる。
『索敵』持ちがいれば、その時に奪えばいい。
スキルを奪えば、やつらの人生は大きく狂う。楽しみだ。
名前:ネクロ
歳 :18
性別:男
レベル:16
スキル:スナッチLv2
強化Lv9
火炎魔法Lv17
剣術Lv20
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