7話
おっと、俺としたことがはしゃいでしまったぜ。母さんに怒られちまった。
これからの方針を考えなきゃな。
『スナッチ』は強い。いや、強すぎる。
これがほかの奴にばれると厄介だ。幸い、今回のゴブリン騒ぎである程度の日数を誤魔化せるだろう。
なら、何も行動せずにいるのが良いのかと言えば、たぶんそうなんだろう。
けど、それは俺の心情的に許せない。復讐だ。学校の奴らに復讐してやる。奴らのスキルは俺のものだ。
一番目に3人組のスキルを奪うか?確か、あいつらの内のニックが解析系スキルを持っていたはずだ。
『スナッチ』の効果はまだ「奪う」ということしか分からない。複数のスキルがあったら、全部奪うのか?1つだけか?それを確認するためにも解析系スキルは絶対にいる。
……いや。待て。ああああああああああああああああああああ!
気づいてしまった。今こんな場所にいるわけにはいかない。今がチャンスなんだ。これ以上のチャンスはあと3週間では来ない!
自分の部屋から飛び出して、1回に向かう。
「父さん、母さん用事ができた。ちょっと外に出てくるよ!」
俺は二人の制止を無視して、木刀を片手に外に飛び出した。
今、東側の防壁付近は激戦のはずだ。たくさんのゴブリンと人が死んでいるだろう。
死人に口なし。
スキルを奪われ死んでも、ただの戦死だ。たぶん、『スナッチ』でも死人からスキルは奪えないだろう。
俺に疑いの目は向けられず、俺は強くなる。
天才だ。悪魔的発想だ。笑いが止まらない。
「あはは、あはははははは!!」
もうすぐだ、もうすぐ防壁だ。進化の時だ。
「ふぅ、やっと着いた。でも、予想通りだ。いかにゴブリンキングでも今回は数が少なすぎだ。
ゴブリンばっかり死んでる。それに、ちらほら騎士が死んでるか。
もっと、騎士には死んでもらった方が、やりやすいけど、負けたら元も子もないか。
戦線が前の方にあるけど、後ろから奪ってやるよ。」
本当に笑いが止まらない。ニヤけてないかな。
よし、後方に追いついた。ここから始める。
戦闘はだいぶ収束しているけど、気を抜いたら死ぬな。スキルを奪いたいが、命の方が大事だ。
慎重に行く。
でけーな、あのゴブリン。300mは離れてるのに、でかさ・異様さが群を抜いてる。あれが、ゴブリンキングか。戦ってるのは、騎士団長達か。勇ましいね。
よし、決めた。団長達が倒すまでしか奪わない。追撃戦になっても変な行動をしていたらさすがに怪しまれる。それに、あまり姿は見られたくない。
「あいつは確か、同じクラスのリックだっけ。
いつも実技で火炎魔法ぶつけやがって、毎度死にかけだわボケ。あいつから行く……!」
後ろから静かに近づいて行く。
よし、行くぞ!使うぞ!『スナッチ』!
……?なんだ?発動したのか?よくわからん。なんか変わったか俺?まあ、前の時も違いなんて分からなかったしな。生徒手帳見ればいいか。
名前:ネクロ
歳 :18
性別:男
レベル:16
スキル:スナッチLv1
強化Lv9
あっ、レベル上がってる。ってそっちじゃない!火炎魔法を奪えてない!なんで?
あの時と何が違う?やっぱり『スナッチ』には、発動条件があったかのか?
その時気配に気づいたのか火炎魔法のリック君が振り向いてしまった。
「!お前いたのか!?落ちこぼれが何まだ生きてんだ。さっさと前線行って死んで来い!」
と同時に胸ぐらをつかまれ反射的に手を握ってしまった。
「チッ!汚ねえ手で触んじゃねーよ。……おい、何に睨んでんだよ。」
『スナッチ』!!
発動した。が、失敗したのが分かる。感覚的過ぎて表現できないけど、とにかく失敗した。
発動条件はとりあえず整っているんだろう。使いまくってやる!!
『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!『スナッチ』!!
!!成功した!
7回使って1回成功か。まだ、どのくらいの確立かわかんないな。いいとこ10~20%か?
そう思うと、ゴブリン戦は本当に運がよかったな。あのゴブリンにあったのは不運だけど。
「おい!!いつまで睨んでるんだよ!!ぶっ殺され」
「!」
横合いから1匹ゴブリンが抜けてきた。すぐに握ってた手を放して、一目散に俺は逃げる。
俺が逃げても、やつは不快に思うだろうが、俺が戦っても弱いのは知っているから、疑問には思わないだろう。それに奴は死ぬ。どうでもいいことだ。
「!??なんで火炎魔法が発動しない!?まだ魔力は残ってるのに!
ぐああああぁぁあああああ!!!痛いいいいいい!」
「ゲギャギャギャギャ!」
うわ。あれは痛いわ。棍棒じゃなくてナイフだもん。治癒魔法持ちがいないと死ぬな。
あんな奴はどうでもいい。それより、ステータス確認だ。
名前:ネクロ
歳 :18
性別:男
レベル:16
スキル:スナッチLv1
強化Lv9
火炎魔法Lv17
よし。火炎魔法が手に入った。強いな。年齢に見合ったレベルだ。ちょうどいい。
次だ。あの女にしよう。確か名前はフラン。サウロと同じ「剣術」持ちだ。
実に使える。このままだと、パンチ・キックで切り抜けないといけないからな。
次は正々堂々と近づく。さっきの反省だ。後ろから『スナッチ』を使っても、効果はないみたいだからな。ボロボロだな。第一声は大丈夫ですか?でいいや。優しくしとけばいいだろ。
「だだだだ大丈夫ですか?」
噛みすぎだろ。女だからって緊張しすぎ。これだから童貞は。
「……あんた。いたのね……。」
『スナッチ』!!
チッ!!だめか。発動条件が足りない。発動してない。おそらくだが、あとは接触が必要だ。
ゴブリンは足を触ったし、火炎魔法は手を触った。そして、触り続ける必要があるな。
難度高いな、オイ。
それでも、破格のスキルだ。
「後方に行こう。回復薬もあるだろうし、治癒魔法持ちがいるかもしれない。」
座り込んでいる彼女に、手を差し伸べるが、
「……。」
くそが!触らない。手を借りようか迷っているな。自分一人では立てないが、こいつの手はかりたくない、とか思ってるんだろうな。
「どうしたんだ?早く行かなくていいのか?けがが悪化するぞ?」
冷静に、怒るな、顔に出るなよ。
「……分かったわよ」
かかった!!
『スナッチ』!! 『スナッチ』!! 『スナッチ』!! 『スナッチ』!!
よし!今回は4回で成功した。
と同時に、
「「「「「ウオオオオォォオオォオ!!!」」」」」
……倒しちゃったか。まあいい。
フランは生き残るだろうが、どうとでもなるだろう。この怪我だ。すぐには復帰できまい。
フラウを後方に預けたが、治癒魔法持ちはいなかったようだ。治癒魔法はかけるタイミングが命だからな。遅くなれば遅くなるほど、治りも遅くなる。運が俺に味方している。
後方から離れ、家へと帰る。あれ以上残っても意味ないしな。
お楽しみのステータス確認だ。
名前:ネクロ
歳 :18
性別:男
レベル:16
スキル:スナッチLv2
強化Lv9
火炎魔法Lv17
剣術Lv20
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