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24話

 ジェネラルの死亡と『付与魔法』による強化がなくなり、ゴブリンたちはあっという間に片づけられた。


 『付与魔法』をかけてやったノールは大笑いしながらゴブリンを切り刻んでいた。

 『土石魔法』持ちを倒したのもノールである。

 鋭い石を飛ばしまくるゴブリンだったが、フィジカル・アップしたノールを捉えることはできず、あっけなく死んだ。


 魔石を回収したいが、(コロニー)の魔石は二束三文にしかならないので、義勇兵は皆放置して斡旋所に戻った。

 死体処理は騎士団がやっておけ。なんもやってねーんだから。



 最後の方に斡旋所に帰り、成功報酬を貰い帰ろうとすると、暴走しているセラさんが接触を謀ってきた。


 「アイラちゃん!大丈夫でしたか?怪我してません?

 ああ、なんて危ない場所に送ってしまったんでしょう!力がない自分が恨めしい!!」


 そう言いながら、クンカクンカスーハスーハーしている。

 ちょっと羨ましい……。

 俺もやってみようかな。


 「アイラ、俺もやらしtガハァ!!」


 ごく自然に近づいたら二人に殴られた。アイラは分かるけど、なんでセラさんまで?


 「お、お兄ちゃん何する気!?」

 「何する気ですか!?ネクロさん。この変態、ロリコン、変質者!

 ……まさか……、いつもこんなことを?……やっている?

 馬鹿な……私のアイラちゃんに限ってそんなことは……ありえない、ありえnガハ!」


 いつものように受付嬢に殴られ、奥へ連れて行かれる。

 違うのは羨ましさと恨めしさが混濁した目で凝視されているだけだ。


 やっていないぞ。そんなことは。今日が初めてのアピールだ。

 なんだかんだ言っても18歳の男だ。溜まるものは溜まる。

 近くにこんな美少女がいたら、あふれるリビドーを抑えるだけで精一杯だ。

 ちょっと悪乗りしただけ。そんだけ。ほんとに、まじで。手は出さない。13歳だよ?


 「ノール、アイラ帰るぞ」


 「うーい」

 「う、うん」


 ちょっと顔が赤い。その表情はヤバい。そそるものがある。

 落ち着け俺。性犯罪者になりたいのか。


 ノールもちょっとはアイラを守れ。双子だろ。





 翌日、壊れた弓を買いなおそうと露店に行く。

 いつもの所だ。


 「おい、また壊れちまったぞ。お次は弓だ。どうなってんだ、この店は。」


 「『スキル持ち』と戦ったのか?運が悪い奴らだな。」


 スルーされた。前は「……かえれ」とか言ってたのに。


 「頑丈なやつが欲しい。ゴリラが使っても壊れない感じで。」


 背中をアイラが小突いてくる。言い方が悪かった。

 女の子にゴリラはないわ。


 「50,000ユグまで出す。良いの持ってきてよ。」


 「あいよ」


 奥に行って何本か持ってくる。

 あれいいな。真っ白だ。アイラの髪と同じ。


 「アイラ、あの白いのはどうだ?似合ってると思うんだが。」


 「お兄ちゃんがそう言うならあれでいいよ。」


 「試さなくていいのか?」


 「私にとってはただの攻撃手段だから。

 加護があるうちは使い勝手はあんまり変わらないの。

 私が重視するのは、頑丈さだけ。」


 そうなのか。『弓の加護』すごい。


 「馬鹿力出して壊れなければいいわけか。」



 今度は全力で殴られた。


 



 今日から5層に入る。

 ここにいる魔物は『譲渡』のリンゴと同じように有名な魔物だ。


 名前はバクバク。4足獣で雑食の魔物だ。特段危険な攻撃は持たない。

 というより、攻撃してこない。走って逃げる。そりゃもう走る。走って走って走りまくる。


 それでもダメなとき奴らは消える。

 唐突に目の前から消える。

 奴らは全員『スキル持ち』の珍しい魔物だ。

 『空間魔法』を持つ。奴らは命の危険を感じると文字通り「瞬間移動」して逃げる。


 故に、バクバクの魔石は数が少ない。

 さらに、だれもが欲しがる理由がある。

 やつらの魔石は「無限収納」という道具に加工される。


 さすがに無限とはいかないが、かなりの重量を無視して持ち運ぶことができる便利アイテムになる。

 これが高い。とてもじゃないが手が出ない。詳しい値段は知らないけど、見たことすらない。

 騎士学校でも見たことがない。それくらい貴重なものになる。

 

 「……という魔物なんだ。俺の言いたいことが分かるか?」


 「わかんねぇ」

 「わかりません」


 2人とも素直だ。そのまま健やかに育ってほしい。


 「俺は『空間魔法』が欲しいってことだ。俺自身が「無限収納」になる!」


 「「おお~」」


 「しかし、俺では近づいたところで瞬間移動されて逃げられる。

 そこで、アイラ様の出番です!矢で仕留めてほしい。」


 「?殺したら『スナッチ』は使えないんじゃねーの?」


 「そうだな。動けなくしてほしい。」


 「それでも、瞬間移動されるじゃん。」


 なるほど。知らないのか。


 「魔法を使う時はすんげぇ集中しないといけないんだ。

 矢で貫かれて魔法を発動できるとは思えない。」


 「なるほどねー」


 納得してくれたか。

 

 「アイラ。頼んだぞ。」


 「任せてよ、お兄ちゃん。」


 


 いた。バクバクだ。俺も『空間魔法』持ちになれる。超便利。


 「アイラ」


 「うん」


 ドキドキしながらバクバクを見つめる。

 早く欲しいな。


 アイラが矢を放った。イェイ!いただき!


 

 ……は?いない?

 

 矢は奥の壁に突き刺さっている。


 「……躱されました。」


 「……マジかよ」


 あの野郎。こっち向いてなかったのに、瞬間移動して避けやがった。



 

 「……なにか案はあるか?」


 その場で作戦を募るが、 


 「あれは無理だろ、ボス。」


 俺もそんな感じがする。


 「……お兄ちゃん。『隠密』は使わないの?」


 その手があったか!


 「よし!それで行こう!」


 全然使ってなかったから、存在を忘れてた。




 再びチャレンジだ。グフフフ。『空間魔法』イタダキィイ。


 『隠密』を使い、後ろから近づく。

 すでに抜いてあった剣を上段に構え、一気に振り下ろす。



 ……は?いない?



 「……ボス」

 「……お兄ちゃん」


 くそ。結構恥ずかしい。


 「『隠密』でも駄目か。次、なんかあるか?」


 諦めないぞ!


 「いや、ボス、無理だろこれだけは。どうやって攻撃あてんの?」


 「……死んだふり作戦。」


 ナイスだ!アイラ!

 

 「それだ!」



 近づいてこなかった。くそ!




 「次」


 諦めない。


 「いや、無理だって。帰ろうぜ。」


 やはり、不可能なのか。

 アイラ、頼む!


 「……帰りましょう」


 「……帰ろうか」


 無念だ。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。

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