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23話

 『スナッチ』の上限回数は約15回。無理すれば20回使えるかもしれないが、どうなるか分かったもんじゃない。

 奪えるのは1個と考えるか。


 「俺は『土石魔法』がいいな。ボスが使ったらカッコいい魔法になりそう。」

 「私も『土石魔法』がいいです。カッコいいお兄ちゃんが見たいです。」


 デュフ!そんなこと言われたらしょうがないな~

 『土石魔法』にしよっかな~


 戦況を見る。勝っても負けてもいない。勝っていない?


 「なあ、おかしくないか?こっちの数は2倍以上なのに、敵を圧倒していない。」


 「ホントだ。ゴブリンのくせにいい動きしてんな。」

 「なかなか強いわ」


 いや、動きがよすぎる。

 ほとんどレベル10前後なのに、あれはおかしい。


 ……『付与魔法』か。ここまでとは。ぜひ欲しい。戦況も一変できるだろう。


 「よし、『付与魔法』を奪うぞ。いいな。」


 ノールが大声を上げて抗議する。


 「ええ~!!『土石魔法』はどうすんだよ。」


 「無視だ。」


 「ぶー!」


 変な声出すな。


 「お兄ちゃんがそういうなら、仕方ないよ。ノール。」

 「……そうだけどさー」


 「悪いな。でも、『付与魔法』が今の状況を生み出している。

 このままじゃ負ける可能性もある。

 それにこれだけ強力な魔法なら、あって損はない。」


 完璧な理論だ。


 「でも地味じゃん。」


 否定はしない。むしろ同意する。


 「『スナッチ』に余裕があれば、『土石魔法』も奪う。

 これでどうだ?」


 「……それならいいよ」


 よし。


 「行くぞ。」


 「「了解!」」




 『付与魔法』持ちのゴブリンに接近する。

 雑魚ゴブリンは他の義勇兵と戦って、こっちには気が向いていない。


 「ノール。手足を切断していいぞ。奴に攻撃手段はない。

 完璧な後方支援タイプだ。

 ただし、殺すなよ。『スナッチ』が使えない。」


 「わかってるって。」


 ようやく『付与魔法』持ちがノールに気付くが、もう遅い。


 『双剣術』の蹂躙が始まる。


 「オラァ!」

 「ぎゃば!」


 右腕が飛ぶ。流れるように次の斬撃につなげる。


 「もう一発!」

 「ギイィ!」

 

 左腕も飛んだ。骨をちゃんと断ち切っている。いい武器だ。

 続けざまにしゃがんで横に一閃。終わったな。


 「ラアァ!!」

 「グゥイ!」


 両足も切断した。要求通りだ。『スナッチ』を使いやすい。


 「……弱すぎだろ。この前のオークくらいは手ごたえが欲しいわ。」


 ノールがゴブリンの頭を足で小突き、こっちに戻ってくる。


 「ボス、終わったらジェネラルの方行っていい?」


 不満そうに言っている。そんなに弱かったか。


 「『土石魔法』はいいのか?」


 「どうしよう……」

 

 悩んでるな。『スナッチ』の結果でどうするかは変わってくる。

 ゴブリンに近づき、頭を掴んで、目を覗き込む。


 『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』『スナッチ』



 ……13回。もう今日は無理だ。

 

 ゴブリンに止めを刺すため、上に放り投げる。

 『強化』『剛腕』『剣術』を使って、落下してくるゴブリンを胴体で真っ二つにした。


 「ボス、どんな力してんだ……」

 「お兄ちゃん……」


 やばい!引かれちゃった!

 やっといてなんだが、俺もドン引きだ。

 

 周りを見ると、義勇兵優勢になってる。『付与魔法』の効果が切れたか。

 もう少しで終わるな。ジェネラルもここからは遠すぎて、ノールがつくころには終わってるな。

 ……『付与魔法』を試すか。


 「アイラ、この場所からジェネラルを殺せるか?」


 「ちょっと厳しいかも。『スキル持ち』でしょう?

 この距離じゃ威力が足りないかも。」


 「じゃあ、これでどうだ?」



 『付与魔法』(フィジカル・アップ)



 「わっ!これ凄いね、おにいちゃん!

 これならいけるよ!」



 アイラが矢をつがえて、狙いを絞る。

 

 あれ?弓がギシギシいってる。大丈夫か?


 アイラは一拍おいて矢を放つ。

 200m先のゴブリンジェネラルの頭が消失した。

 司令塔の無くなった体が地面に倒れる。

 周りの義勇兵も突然のことに固まっている。



 「「「……」」」


 魔力を込めすぎた。これじゃ、アイラが化け物みたいじゃないか。


 しかも、弓も壊れた。アイラが涙目になっている。


 「ア、アイラ。悪かったな。ちょっと魔力を込めすぎた。

 調節が効かなかったんだ。ゆるs」

 「アイラすっげーー!やべーよ!あの威力!!

 ボス!俺にも『付与魔法』かけて!!ちょっと殺ってくる!」


 空気嫁。まじで。アイラ泣いちゃっただろうが。


 「うわーーん!」


 「あ?何泣いてんだ、アイラ?

 それより、ボス!早くかけて!魔法!プリーズ!」



 勝手にしてくれ。


最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。

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