22話
「予想を超えて上手くいったな。こっちの被害は0だし、もう少し狩ってから帰るぞ。」
ひとしきり喜んだ後に、そう切り出した。
「「はーい」」
10匹倒して、迷宮を後にした。
斡旋所に行き、アイラがセラさんにモフられている間に換金してもらい、宿に帰る。
「第2回迷宮反省会~、ぱちぱち~」
「「ぱちぱち~」」
拍手してくれる。お父さん嬉しい!
「何か反省がある人ー?」
「ボスが何か気づいたんじゃねーの?」
俺をなんだと思ってるんだ。
「人それぞれなんかあるだろ?今回俺から言うことはない。かなり上手くいったしな。」
「はい!」
アイラが元気よく手を上げる。なんだろ?
「うむ、アイラちゃんどうぞ!」
「お兄ちゃんは剣で戦わないの?」
ぐっはぁ!!人がちょっと気にしていたところを……。
しかし、そのための反省会だ……。
「……その、ぶっちゃけ近づきたくないっていうか。『火炎魔法』も使えるし。
それに、俺はもともと長剣の方が得意なんだ。
長剣が新品で買える金が入ったら、『スキル持ち』でも接近戦をするよ。
接近戦の方が色々とスキル的に有利だし。それでも、最後は『火炎魔法』に頼ることになる。」
言い訳くさい。かっこわる。
「それに、二人のコンビネーションは完璧だ。俺が入り込む余地がない。
下手に俺が加わるより、魔力全開でぶっ飛ばした方が早いかなーと」
喋れば喋るほど、かっこ悪い。
「そっか、お兄ちゃんにもいろいろあるんだね。
でも、コンビネーションなんてやってないよ、私たち。」
「は?いや凄かったじゃん。二人の連携。
そりゃもう相手が不憫になるくらいの。」
刀傷と矢でえらいことになってたぞ、あのオーク。
「ボス、あれは俺がやりたいように動いてるだけ。
『弓の加護』持ちのアイラがミスる事なんてない。
だからこそ、昨日のポイズンスパイダーは慌てたんだけど。
俺が前で斬ってちょっと隙を作れば、アイラが勝手に弓を命中させるよ。」
強すぎだろ。
「そうよ、お兄ちゃんが前で戦っても変わらないわ。
心配しなくてもお兄ちゃんには当てないから。」
それなら大丈夫か。
「じゃあ明日俺の長剣を買いに行く。
オークの魔石が40,000ユグで買い取ってもらえたからな。」
「「はーい」」
あれから5日。武器も買い4層でもちゃんと狩りをやっている。
『スキル持ち』には会っていない。
2日連続で会う方が不運なだけだ。
今日も狩りを終え、斡旋所にいるときに事件は起こった。
カンカンカンカンカンカンカン!!
「「「「「「!!」」」」」」
斡旋所内にいる全員に緊張が走る。
巣からの襲撃だ。
騎士団仕事しろ。
ノールとアイラは呆けている。分かっていないか。
情報は
『西』
『ゴブリン』
『ジェネラル』
『500』
「義勇兵の皆さん!!襲撃です!敵はゴブリンジェネラル。数は500!
カウンターで緊急討伐依頼書を受け取り、西へ向かってください!!
成功報酬は一人100,000ユグです!!」
アイラに抱き着き興奮していたセラさんが仕事をし始めた。
びっくりだ。
「100,000もいいのか!?」
「やるぜ!」
「西だな!」
「キングだったら逃げてたが、ジェネラルならいける!!」
100,000ユグという大金に皆が飛びつく。
街の危機だ。滅ぶよりマシなのだろう。
「ボス、どうすんの?」
「行くしかないだろう。一応任意だが、俺たちには金が必要だ。
この機会は逃せない。全部で30万だ。
露店でありったけの矢を買ってから行くぞ」
「「了解!」」
市場へ急いでいく。
いつもの時間なら露店に人は少ないが、商機とみて武具店多くある。
それでも、いつもの露店に行く。
「やっぱりいたか。おい、矢を全部よこせ」
「兄ちゃん、来ると思ったぜ。
300本用意した。30,000ユグだ。」
「ほらよ、ちょっとは割り引け。」
銀貨30枚を渡す。
「まいど、嬢ちゃん頑張ってな!」
「はい!頑張ります!」
一人100本持って、西へ急ぐ。
すでにかなりの人数が集まっていた。
騎士団は少ない。50人程度だ。全員『スキル持ち』だが、心許ない。
義勇兵は多い。4~500はいるだろう。
これなら、ゴブリンと同程度だ。勝ち戦だな。
10分ほどでゴブリンが視界に入ってきた。
「アイラ、最初はお前が行け。お前の弓なら開幕で300匹殺せる。
目についたやつから攻撃しろ。」
「はい!」
500人の先頭に立つ。ノールも俺もアイラの護衛だ。
後ろの人間どもから大声が上がる。
「嬢ちゃん何やってんだ!下がってろ!」
「邪魔だ!」
「女子供は帰れ!」
言いたい放題か。まあ見た目がこれじゃな。
「黙ってろ!!」
アイラが一喝する。白髪美少女に怒られて全員黙ってしまった。
なんだこれ。
音はゴブリンの足音だけだ。誰もしゃべらないし、動いていない。
「いきます」
アイラが矢を放つ。
凄まじい速さだ。
手元がどうなってるかわからない。
「ギャ!」
「ブ!」
「あべし!」
全部額のど真ん中に命中させてる。
死体が量産されていく。
「うおおおお!!」
「すげえ!」
「嬢ちゃん、そのままぶっ殺せ!」
そんな掌返しを聞きながら、どんどん矢を補充していく。
消費が激しすぎる。
絶え間なく矢を放っている。一人で何人分の仕事してるんだ。
だめだ。
なくなる。
「アイラ、ストップだ。もう撃つな。」
「いいんですか?いつも使ってる矢が残ってますが」
「それを撃ったら身を護るものがなくなるだろうが。とっとけ。」
「了解」
後ろを振り返って叫ぶ。
「おい!野郎ども!家のアイラがこんだけ頑張ってんのに、まだ後ろにいる気か!?
恥ずかしくないのか!!さっさと殲滅して来い!」
「お前だってなんもやってねぇぞ!」
「どうでもいい!行くぞ!」
「嬢ちゃんだけにいいとこ取らせないぜ!」
義勇兵たちが一斉に駆け出す。騎士団は動いていない。
くそが。てめぇらの職務怠慢が招いた事態だろうが。死ね。
奪おうかな?難しいか。
「ボス、俺たちも行こうぜ!」
「そうだな」
『解析』!!!
名前:ゴブリンジェネラル
レベル:25
スキル:槍術Lv14
名前:ゴブリン
レベル:16
スキル:土石魔法Lv9
名前:ゴブリン
レベル:16
スキル:付与魔法Lv10
『スキル持ち』が3体も。
「『スキル持ち』が3体いる。」
すぐにノールが聞き直す。
「スキルは?」
「『槍術』『土石魔法』『付与魔法』の3つだ。」
ノールとアイラがニヤリと笑う。
俺もニヤケが止まらない。
「「「どれを奪おうか」」」
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
評価や感想をいただけると、一段と頑張れます。




