25話
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こんなに嬉しいことはありません。
これからも『青年ネクロの成り上がり』をよろしくお願いします。
あれから10日経ち、『スキル持ち』にも会わず運のいい日々をネクロたちは過ごしていた。
今日でその運も終わりを告げる。
真夜中。午前3時くらいだろうか。3人一斉に目が覚める。
ついに恐れていたことが起こった。
「まずい」
おそらく「暗殺者」だ。『索敵』に引っかかったやつがいる。屋上だ。
こんな時間にこれはおかしい。
奴隷商がついに乗り込んできたか?
いや、今はそうじゃない。安全を確保しなければ。
「二人とも気づいているな?」
「うん」
「はい」
2人には日ごろから「暗殺者」が来る可能性について説明していた。
慌てている様子はない。
「できるだけ静かに準備しろ。おそらく、狙いは俺だろう。
ノールはアイラの護衛だ。」
「「了解」」
さすがに室内では長剣は振り回せない。短剣をを持ったところで相手に変化があった。
屋上から落下してる!このまま乗り込んでくるつもりか!?
「お前ら構えろ!」
「「え?」」
窓の外を警戒する。ここから来るつもりだ。
ついに窓ガラスを蹴破り、侵入してきた。
先手必勝!
着地を狙い、心臓めがけて短剣を突き出す。
が、つき伸ばした腕を極められ、顔面にパンチをもろに食らう。
さらに、呻いているところに回し蹴りが直撃して、部屋のドアを吹き飛ばしながら廊下に出る。
「ごほっ」
吐血した。内臓にダメージを食らってしまった。『生命力』があるからそこまでのことではないが。
追撃はやまない。俺に向かって駆け出し、とび蹴りを浴びせようとするが、間一髪転がって回避する。
強い。今までで最強だ。『剣術Lv22』を回避し、『体術Lv18』以上の体術を発揮し、『強化Lv10』をものともしない攻撃力を持っている。
『解析』
名前:アイビス
歳:11
性別:女
レベル:18
スキル:暗殺術Lv28
何だこの強さは。ノールとアイラより強い年下が存在したのか。
何より『暗殺術Lv28』が驚愕に値する。
レベル28はすごい。これでは技術的に俺が勝てる要素はない。
違うそんなことではない。
11歳の少女が『暗殺術』を持っている。どんな人生を送ってきた?
『暗殺術』は後天的スキルに属する。ほぼ確実に先天的には発現しない。
理由は獲得条件にある。
『武器術』『体術』『隠密』の複合スキルだからだ。この3つが存在しないと発現しない。
スキルを3つも『譲渡』してもらう資金力、本人の適正、死と隣り合わせの厳しい訓練の果てに発現する。
泣きそうだ。
怖いのもあるが、この子の人生自体が悲しい。
これが30のおっさんだったら何も思わなかった。
しかし、11。若干11歳の少女だ。誰だこんな仕打ちをしたやつは。
アイビスという少女は俺に顔を向けていない。
ノールとアイラ?させない。
「おい」
ゆっくりとこちらを見る。
「……なに?」
「狙いは俺だろ?二人には手を出さないでくれ。頼む。」
「……でも、あっちが襲いかかってきそうよ?」
まずい!
「二人とも手を出すな!!殺されるぞ!」
「でも!」
ノールが叫ぶ。
「これは命令だ!」
アイビスを睨んで立ち上がる。
「俺が殺されたら、二人とも故郷へ帰れ。
金も少しはある。今のお前たちなら頑張れば帰れるはずだ。」
「ボス!」
「お兄ちゃん!」
二人の声は無視だ。
「……遺言?」
「そんなところだ。俺を殺しても二人は殺さないでくれ。」
「……いいわよ。ターゲットじゃない。」
短剣はさっき落した。徒手空拳で戦うしかない。
でも、相手は武器を使うだろう。死ぬ。
「いくわよ」
速い!
アイビスは小さい体を潜らせ、ネクロの懐に入り肘を入れる。
そのまま掌底で顎を打ち抜き、意識を狩りとりに来る。
まだ終わらない。左腕を極め、そのまま一本背負いをした。折れた。
「があああぁぁあ!!」
痛い痛い痛い痛い!!!左腕がブラブラだ。勝てる気がしない。
でも、
「……ぐぅ、……なぜ、武器を、使わない?」
「できるだけ、痛めつけろっていう注文があるのよ。めんどくさいわ。」
最悪の注文だ。
しかし、これは勝機だ。俺を格下扱いしてる。
「武器は最後に使うわ。毒を塗りこんであるから、いっぱい苦しんでね。
まだ、体術で行くから覚悟しておいて。」
何分殴られ続けた?もう片目も塞がってる。
奥でアイラが泣いてる。ノールは今にも飛び出しそうだが、ちゃんと命令を守ってくれてる。
安心だ。
「そろそろ、終わらせるわ。」
ナイフを取り出した。毒付だったな。
これを待ってた。これを逃したら死ぬ。俺は弱者だ。お前より弱い。
アイビスは完全に油断している。そうじゃなかったら、わざわざ宣言しなくていい。
奴は知らない。俺に『生命力』『毒耐性』『剛腕』があることを。
チャンスは1回。一世一代の作戦。来い。捕まえてやる。
アイビスが走ってくる。
しかも壁を走って、右側から来てる。わざわざ目が塞がっていない方から来た。
確定。侮っている。
首と肩の境目?の所に、深々とナイフが刺さってくれた。
「ボス!!」
「おにいちゃああん!いやああぁあぁ!!」
大丈夫だ。二人とも。賭けは俺が勝った。
素早くアイビスの腕を掴む。
「……離しなさい。」
「いやだね」
『剛腕』全開!!折れろ!!
「がああぁぁぁあ!!離せ!!離せよ!!」
余裕がないな。
掴んだままアイビスを壁に全力でたたきつける。
「ごあ!」
壁に放射状のひびが入り、縫い付けられたように引っ付いている。
これで終わったとは思わない。
右肩からアイビスに突撃して、結果的に壁を壊しながら、部屋の中に再度入室した。
アイビスは部屋の中央で大の字で転がり、まだ動こうともがいている。
タフなやつだ。
アイビスに跨り、右拳を腹に振り下ろす。
「かっ!!」
やっと動かなくなってくれた。死んだわけじゃない。
ちゃんと胸が上下している。真っ平らだ。
首のナイフを抜いていると、ノールとアイラが入ってきた。
「おにいちゃあああん」
泣きながら抱き着いてくる。
「ボス、大丈夫なの?」
「『生命力』と『毒耐性』があるから大丈夫だ。」
アイラの頭をなでながら、指示を出す。
「ノール、この子を抵抗しないように縛ってくれ。
アイラは武器を取り上げろ。」
「わかったよ」
「ゔ、ゔん、わがった」
泣きながらも、アイビスの体を弄っている。
いけない気持ちになりそうだ。
回復薬を飲みながら一つの決心をしていた。
この子も引き取る。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
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